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令和七年三月十三日提出
質問第一〇四号

抗原原罪に関する質問主意書

提出者  原口一博




抗原原罪に関する質問主意書


 抗原原罪は、主にインフルエンザの感染において観察されている現象である。インフルエンザウイルスと同様に、新型コロナウイルスにおいても、漸進的に感染に関与するスパイクタンパク質が突然変異により変化していくため、抗原原罪と呼ばれる現象が起きることが既に示されている。例えば、一度インフルエンザに感染した人がその時のインフルエンザ株の持っていたエピトープ(抗体により抗原として認識される部位)以外のエピトープに対し、その免疫原性にかかわらず反応できなくなっている現象のことである。この現象は、二次反応におけるナイーブリンパ球(抗原による刺激をまだ受けていない幼若なリンパ球)と記憶リンパ球との相互作用によって説明される。免疫系の正常な働きによって抗体やエフェクターT細胞が獲得されると、それらは同じ抗原に対して反応するナイーブリンパ球が活性化されるのを抑制する。これは抗原にさらされていない個体に特異抗体やエフェクターT細胞を移入することで観察される。既に免疫されている個体に特異抗原を投与してもナイーブB細胞は反応を示さないが、他の抗原には正常に反応する。B細胞上の抗原レセプター(IgM抗体)が抗原抗体複合体を介してFcγRUのイソフォーム(FcγRUb)と架橋することでナイーブB細胞の活性化が抑制されるためであると考えられている。FcγRUbはB細胞のみに発現し、細胞内領域に食菌作用を抑制する配列をもつ。架橋によってB細胞抗原レセプターの活性化が抑制されるが、メモリーB細胞の反応は抑制されない。 類似した現象はT細胞、とりわけTc細胞にて観察される。同系マウスに感作T細胞を移入するとその抗原に対する特異的T細胞の活性化が抑制されるが、これはメモリーT細胞(CD8+)が迅速に活性化され細胞障害性を再獲得し、ナイーブT細胞(CD8+)を活性化するのに必要な抗原提示細胞を殺してしまうためであると考えられている。右記のように、以前に感染したインフルエンザ株(A株とする)と一部同様のエピトープを持つインフルエンザ株(B株)に感染したとき、A、B共通のエピトープに対する抗体は迅速に産生されるものの、Bには存在するがAには存在しないエピトープに対する抗体は対応するナイーブB細胞が抑制されるので、産生される抗体の量が著しく低くなる現象が見られる。Aと同じエピトープを持たない株(C株)に感染したときはこのような現象は見られない。新型コロナウイルスにおいても、以上のような抗原原罪が成立していることはXBB対応型mRNAワクチンを用いて行われたファイザー社発表の実験結果から既に明らかになっている(82nd meeting of VRBAC, June 15,2023)。
 この実験はマウスを用いて行われたものである。いわゆる武漢型mRNAワクチンを二回接種後、最初の接種から百五日後にオミクロン対応型二価ワクチンを接種し、さらにその二十九日後にXBB対応型ワクチンを接種したという実験の結果において最終接種の十六日後における抗体の中和活性を調べたものである。
 武漢型スパイクタンパク質に対する中和抗体値が十万百八であったのに対して、XBB.一.五変異型のスパイクタンパク質に対する中和活性はわずか千八百であった。抗原原罪が成立していないのであれば、XBB.一.五変異型のスパイクタンパク質に対する中和抗体価は、武漢型の起源株スパイクタンパク質に対する中和抗体と同様に誘導されなければならない。実際には十万に対して三千程度であり、この結果から抗原原罪が明確に観察されていることが明らかであると考える。これらを踏まえ、以下質問する。

一 右記データ以外の論文(Published December 21, 2022 N Engl J Med 2023;388:183-185)においても新型コロナウイルスのスパイクタンパク質で免疫した場合、抗原原罪が起きていることは示されている。XBB対応型ワクチンの段階で抗原原罪は明確に観察されており、新型コロナウイルスの変異が増えれば増えるほどワクチン接種で誘導される抗体の中和活性が低下していくことは明らかであると考える。このように追加接種の効果は極めて限定的であり、mRNAワクチン接種によって、多数の死亡者が報告されている状況を考えるとデメリットがメリットを大幅に上回っているとするのが妥当であると考える。このようなデータがあるにもかかわらず、政府が新型コロナワクチン接種を続けている理由、さらには定期接種を行っていく理由を示されたい。
二 厚生労働大臣が任命している厚生科学審議会や薬事審議会等の委員による新型コロナワクチンに関する審議(右記審議会に置かれた分科会や部会を含む。)の過程で抗原原罪という現象の存在が議題に上ったかについて示された上で、どのような審議が行われたかについて説明されたい。
三 令和六年度定期接種で使用している新型コロナウイルスに対するワクチンの抗原はJN.一変異型のスパイクタンパク質である。この抗原による中和抗体の誘導に関する実験結果について、政府はどのような結果により今般の定期接種に用いるワクチンを決定したのか、決定に至った過程を説明されたい。
 
 右質問する。

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