質問本文情報
令和七年三月二十五日提出質問第一二四号
再審請求中の死刑執行に関する質問主意書
提出者 藤原規眞
再審請求中の死刑執行に関する質問主意書
二〇二四年九月二十六日、静岡地裁で、袴田巌さんの再審請求で無罪が言い渡された。袴田さんの無実を認めようとしない検事総長の発言には、国民各層から厳しい批判が寄せられている。深刻な問題として、無実を訴え再審請求をしていた袴田さんは三十五年以上の間、絞首刑がいつ執行されるかという恐怖の中で心と身体に変調をきたし、拘禁反応と糖尿病と診断されている。
法務大臣は、二〇二四年十二月十日の記者会見において、同年九月、国際連合人権理事会特別報告者から、日本の死刑制度に懸念を示す書簡(特別手続による通知報告)を受け取り、十一月、ジュネーブ国際機関日本政府代表部を通じて同書簡に回答し、追加情報を提供したと発表している。
同報告者は、同書簡で日本政府に対し、@死刑執行の事前通告の欠如、A再審理中の死刑執行、B女性被収容者に対する性別に応じた措置の欠如、C絞首刑による死刑執行およびD死刑囚監房の状況の五事項について注意を喚起するとともに、死刑執行の停止の検討を要請していた。
十二月十日の記者会見において、法務大臣は、絞首刑についてはすでに最高裁が「他の方法に比して特に人道上残虐であるとする理由は認められない」との判断を示しており、政府も同意見であること、「極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考える国民が多数であること」、死刑の執行停止は、再開された場合に死刑確定者の期待を裏切ることになり、「かえって非人道的な結果」になりかねないことなどの所見を明らかにしている。
その上で、同書簡に対する日本政府の回答において、「日本政府は、死刑の執行を一時停止することは適当でないと考える」と結論付けている。
これらを踏まえて、以下質問する。
一 戦後、日本において再審請求中の死刑確定者について、法務大臣が死刑を執行した事例は何件あるのか。一九四五年から一九六五年まで、一九六六年から一九八九年まで、一九九〇年から一九九九年まで、二〇〇〇年から二〇〇九年まで、二〇一〇年から二〇一九年まで、二〇二〇年以降に分けて、それぞれ可能な限り示されたい。
二 現在、死刑確定者は何人であり、そのうち再審請求中の人は何人いるか。
三 法務大臣は、死刑執行に際して、再審請求中であるかどうかを斟酌しているのかどうか。しているとすれば、その際の再審請求に関する請求人及び検察官の主張を考慮しているのか。
四 袴田さんの死刑を執行しなかったのは、再審請求中であったからなのか。
五 袴田さんの再審無罪を受けて、今後、再審請求中の死刑確定者について、執行を停止する考えはあるのか、政府の見解を示されたい。
右質問する。