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令和七年五月十五日提出
質問第一九〇号

学校における色覚の一斉検査に関する質問主意書

提出者  杉村慎治




学校における色覚の一斉検査に関する質問主意書


 かつて日本では、学校保健法(当時)等に基づき、小学四年生を対象とした色覚のスクリーニング検査(以下「色覚検査」という。)が学校において一斉に実施されていた。先天性色覚異常は視細胞の機能異常によるものであり、日本人男性の約二十人に一人、女性の約五百人に一人の割合で存在するとされる。
 しかしながら、学校保健法施行規則の一部を改正する省令(平成十四年三月二十九日文部科学省令第十二号)により、「色覚異常についての知見の蓄積により、色覚検査において異常と判別される者であっても、大半は支障なく学校生活を送ることが可能であることが明らかになってきている」などとして、学校における一斉検査は廃止され、現在は保護者等の希望による個別実施にとどまっている。この決定は、当時存在した進学・就職上の不当又は過剰な制限に対し、検査の結果を利用した差別的運用を防止し、進路選択の幅を広げるという観点から、一定の社会的意義を持つものであったと理解している。
 その一方で、色覚異常の有無を知らされないまま学齢期を過ごし、進路選択の時点で初めて診断され、就労上の制約に直面する事例も医療機関等には寄せられていると承知している。現在においても、色覚に強く依存する一部の業務では、職務遂行に際して色覚異常が支障となることがあると考える。また、色覚異常の程度や種類によっては、日常生活や教育活動において困難を抱える場合も少なくないと考える。
 近年、色覚を補正する眼鏡などの技術的支援機器の進歩や、色の見えにくさに配慮したユニバーサルデザインの普及が進んでおり、色覚異常を抱える人々が適切な合理的配慮を受けることで、学びや労働の環境を改善することが可能となった。これらのことから、色覚異常者本人が自己の色覚特性を早期に把握することが、その後の適切な環境選択につながると考える。以上のことにより、色覚検査の在り方を今日的な視点から見直すべきではないかと考える。
 これらを踏まえ、以下の事項について政府に対し質問する。

一 学校における色覚検査の一斉実施を中止したことにより、当事者が合理的配慮を受けるための機会を失う結果につながった事例について、政府はどの程度把握しているか。把握しているならば、可能な限りその事例を示されたい。
二 現在においても、色覚異常が進路選択や就業において影響を与える可能性があることを踏まえ、当事者が早期に自己の色覚特性を把握することの必要性について、どのように認識しているか。
三 厚生労働省あるいは他の関連府省庁において、色覚異常者に対する職業選択支援や就業上の配慮に関する啓発のためのパンフレット作成、ガイドライン整備などを行っているか。行っていない場合、今後取り組む考えはあるか。
四 色覚を補正する技術が進歩し、ユニバーサルデザイン等の導入が進んでいる中で、学校における色覚検査の一斉実施は、自己の色覚特性を早期に把握することに資すると考えられるところ、これを行っていない現状につきどのように考えるか。
五 色覚検査を、児童生徒等の健康診断における必須項目として再度加えることを検討する考えがあるか。
六 地方自治体や学校設置者が独自に色覚検査を一斉実施することについて、技術的助言又は支援を行う考えがあるか。
 
 右質問する。

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