質問本文情報
令和七年五月二十二日提出質問第二〇一号
米の価格高騰対策に関する質問主意書
提出者 竹上裕子
米の価格高騰対策に関する質問主意書
日本保守党は減税を通じた経済活性化を重点政策項目に掲げている。ところが、一頃の倍という米価高騰は家計の財布を直撃し、経済の下押し圧力となる看過できない事態が続いていると考える。
昨年来、米の価格は上がり続けており、総務省が公表している消費者物価指数(令和二年基準)によると本年三月の米類の指数は対前年同月比プラス九十二・一%の百九十五・三ポイントとほぼ二倍となっている。米の民間在庫が不足しているとの声は昨年の春には広まっており、国会においても度々政府の対応について質疑が行われたほか、備蓄米の放出も求められていたところである。当時政府は令和六年産米が流通すれば価格は落ち着くと説明していたが、その後も米の価格が安定することはなく、本年二月に、当初は否定していた備蓄米の放出(政府備蓄米の買戻し条件付売渡し)を決めた。しかし、これまでの三次にわたる放出後も米の価格は高止まりしている。こうした状況が長期化すれば国産米から消費者が離れることも懸念され、米の価格を適切な水準で安定させるための取組は急務であると考える。これらを踏まえ、以下質問する。
一 政府は需要に見合うだけの米はあると繰り返し主張しているが、政府公表資料にあるとおり、米の民間在庫は昨年、一昨年と比べて大幅に減少している。民間在庫の少なさが関係者に米の安定供給について不安を抱かせ、価格高騰の一因となったとも考えられるが、政府は現在の民間在庫量を適正な量と考えているのか。また、適正な民間在庫量をどの程度と考えているか。
二 農林水産省が公表している米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針(令和七年三月)において、令和七/八年主食用米等需要量は六百六十三万トンと推計されている。
1 この需要見通しに在留外国人や訪日外国人旅行者による需要は含まれているか。需要見通しの算出方法とともにそれぞれ明らかにされたい。
2 令和六/七年及び令和七/八年におけるこれら外国人の米の需要見通しをそれぞれ可能な限り示されたい。
三 令和五/六年の需要実績は需要見通しを二十万トン以上上回り、令和六年度の精米消費量も前年より増加している。
1 農林水産省は、需給見通しの推計の際に、需要が上振れすることも想定し、ある程度幅を持たせて算出すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 今般の米の価格の高騰について、政府は流通の滞りを理由としている。そうであれば今後は円滑に流通するよう主食用米の増産推進等の施策が必要ではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
四 政府は精米歩留まりについて、令和五年産米は八十八・五%、令和六年産米は八十九・五%としているが、令和五年産米及び令和六年産米の令和七年五月末現在における精米流通量への影響をどの程度と評価しているか。政府の見解を示されたい。
五 今般の備蓄米の放出等により、原則百万トン程度とされる米の備蓄量は大幅に減少していると考えられる。一方、原則一年以内とされていた備蓄米の買戻しは原則五年以内に延長された。米の備蓄については、米の供給不足に備えるという備蓄米の趣旨を踏まえるとともに、これまで入札を見送っている令和七年産米の備蓄用の買入れによる国産米価格への影響、財政負担等を考慮して、いわゆるミニマム・アクセス米等の輸入米を備蓄米として活用すべきとの意見もあると承知している。政府は、米の備蓄量をどのように百万トン程度まで戻すのか、今後の方針を示されたい。
六 政府は、水田活用の直接支払交付金等の交付により飼料用米や新市場開拓用米(輸出用米等)の作付を奨励することで事実上の減反政策を継続している。作付段階で米の用途を決める現行制度は、主食用米が不足している場合に他の用途の米を主食用米に切り替えることが原則としてできず、柔軟性に欠ける仕組みであると考える。米の不作などにより需給見通しと実績値との差が生じた場合に対応できるよう、生産者が米の収穫後に米の用途を決められるような仕組みを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
七 ミニマム・アクセス米については、最大十万トンに限り主に主食用米として輸入(いわゆるSBS枠)され、その他は加工用や飼料用として販売等されていると承知しているが、令和五年度及び令和六年度のミニマム・アクセス米の用途別販売量及び販売先をそれぞれ可能な限り明らかにされたい。
八 本年四月の財政制度等審議会財政制度分科会における財務省提出資料において、米の国内需給の調整弁として、SBSの入札の前倒しやSBS枠の拡充などを提言しているほか、現在行われている米国との関税交渉の中で米国産米の輸入拡大が政府内で検討されているとの報道があると承知している。国産米の価格高騰等を背景に輸入米への需要が高まっているが、輸入米への過度な依存は将来的には国産米の安定供給に打撃を与えることになりかねないと考える。政府において米の輸入拡大に関し何らかの検討が進められているのであれば、その検討状況を明らかにされたい。
九 米の価格高騰への対策としては、新型コロナ禍でのいわゆるアベノマスク配布のように、政府が各世帯へ備蓄米を無料配布することもあり得るかと考える。現状の備蓄米放出の効果については、ほとんど米価が下がっていないことから問題があると考えているが、政府の評価とともに、米の価格安定のための今後講ずる予定の施策を示されたい。
右質問する。