質問本文情報
令和七年六月十二日提出質問第二五八号
外国人による運転免許証の切替制度の悪用防止に関する再質問主意書
提出者 竹上裕子
外国人による運転免許証の切替制度の悪用防止に関する再質問主意書
私が提出した質問に対する答弁書(内閣衆質二一七第五六号。以下「本件答弁書」という。)において、「「外国免許切替者とそれ以外の者の交通事故」に関する実態の把握を始め、お尋ねの「交通事故を起こす危険性」の定量的な把握に努めてまいりたい。」、「「ホテル等を住所として本邦の運転免許証の取得」をしたことによる「事件・事故の捜査や反則金の納付等」への「支障」については、(中略)その有無を含め、把握に努めてまいりたい。」などの答弁が得られたところである。
一方で、令和元年に公益財団法人交通事故総合分析センターが公表したイタルダインフォメーションNo.一三二によれば、「観光・娯楽目的のレンタカーの相対事故率」は、日本人が二・五であるのに対し、居住外国人が日本人の約四倍(九・七)、訪日外国人が日本人の五倍以上(十三・八)となっている。この結果からは、外国人の方が事故を起こす危険性は日本人に比べて顕著に高く、両者の運転の安全性の水準に大きな差がある状況がうかがえる。この状況を前提とすれば、簡易的な運転知識等の確認では、通常の運転免許試験を受けた者と同水準の運転知識及び運転能力を有することの証明とはならないと考える。
また、前回の質問六に対する答弁が不十分であったと考える。
以上を踏まえ、再度質問する。
一 外国免許切替者が国外で自動車等を運転し、交通事故を起こす事例が多発すれば、本邦の運転免許証の信用が大きく失墜する事態にもつながりかねないと考えるが、政府は、外国免許切替者が日本国外で起こした交通事故の実態(交通事故の発生件数等)を把握しているか明らかにされたい。把握していない場合、その実態を調査する必要があると考えるが、政府の見解を問う。
二 本邦における日本人と外国人との交通事故を起こす危険性の差については、前記で明らかにされた相対事故率が参考になると考える。政府として、同センターの協力を得て、日本人と外国人の相対事故率の違いについての調査を行い、最新の結果を明らかにすべきと考えるが、政府の認識を問う。
三 いわゆるジュネーブ条約に基づく国際運転免許証を発給しておらず、「我が国と同等の水準にあると認められる免許制度」を有している国にも該当しない国については、当該国の運転免許保有者が本邦で自動車等を運転する際には、本邦の運転免許を取得する必要があるが、その際に、外免切替制度を利用することができる。外免切替制度における運転知識等の確認は、通常の運転免許試験に比べて簡易的なものであるため、外免切替制度については、各国の交通規制、交通事情や運転免許試験の水準の違い等を考慮して対象国を限定し、対象外の国の運転免許保有者については通常の運転免許試験を受験することとすべきと考えるが、政府の見解を問う。
四 政府は、本件答弁書において、運転免許証の券面に、短期滞在者の滞在予定期間(申請時の添付書類に記載されたもの。以下「滞在予定期間」という。)を表示することについて「慎重な検討が必要であると考えている。」としている。運転免許証の券面に在留期間や滞在予定期間(以下「在留期間等」という。)を表示することとした場合、何か具体的な問題が生じるおそれはあるか。政府の認識を示されたい。
五 道路交通法(以下「法」という。)第九十三条第一項第四号において、運転免許証には、免許を受けた者の住所を記載することとされているが、住所を記載することとしている目的は何か。
六 法第九十三条第一項第二号において、免許証の有効期間の末日が記載事項とされている一方で、在留期間等については、運転免許証の券面からは判別できない。そのため、在留期間等が終了しているにもかかわらず、運転免許証自体は有効であるという状態が生じ得る。
1 政府は、このような状態において、前記五の目的を果たせると考えているか。
2 在留外国人に対し、住所変更の届出を促すための具体的な取組を行っているのか。
七 有効期限内の運転免許証が様々な場面で本人確認の手段として利用されている実態に鑑みれば、滞在予定期間が終了した者が、「その時点における滞在先とは異なる住所」が券面に記載されている運転免許証を住所を証明する手段として利用することや、再入国後に運転免許証を「住所」を証明する手段として利用すること等により、犯罪や不正行為を行うことも可能となると考えられる。
在留期間等を運転免許証の券面に記載することは、滞在予定期間が終了した後や本邦に再入国した際に、運転免許証を「住所」を証明する手段として利用することの防止につながると考える。
また、本件答弁書の二の1についてでは、「交通事故が発生した場合には、(中略)都道府県警察が、当事者の運転免許証により住所を確認した上で、当事者からの聴取等により、その時点における滞在先の住所や当事者の連絡先等の把握に努めている」とされており、都道府県警察も、運転免許証の住所を第一に確認することとなる。そのため、住所の証明として有効な期間を明らかに経過している運転免許証であるかどうかが券面から判別できれば、現場の警察官の負担軽減につながると考えられる。
以上を踏まえ、運転免許証に在留期間を表示した上で、券面に記載されている住所や在留期間が変更となった場合の届出を徹底すべきと考えるが、政府の見解を、具体的な理由とともに示されたい。
右質問する。