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令和七年六月十三日提出
質問第二六七号

ハーバード大学の留学生受入れ停止により不利益を被る日本人学生等への支援に関する質問主意書

提出者  鈴木庸介




ハーバード大学の留学生受入れ停止により不利益を被る日本人学生等への支援に関する質問主意書


 二〇二五年五月二十二日、米国のトランプ政権は同国のハーバード大学に対し、留学生の受入れを停止させる決定を発表した。この決定は、現在在籍している学生及び将来の入学予定者の双方に適用されるものである。米国国土安全保障省が発表した声明によれば、同大学に在籍している全ての外国人学生は、他の教育機関へ転校するか、さもなくば在籍資格の喪失に伴い、合法的な学生ビザが取り消され、米国内の居住資格も失効することになるとされている。
 今回の決定は、二〇二五年四月以降、ハーバード大学とトランプ政権との間で続いてきた一連の対立の末に下されたものである。同月十一日、米国政府は同大学に対し、採用方針や学生規律に関する一連の改革要求を提示した。その中には「アメリカの価値観に敵対的な留学生の入学を拒否すること」という要求も含まれていたが、同大学側は同月十四日、全ての要求に応じないと回答した。その二日後、米国国土安全保障省は同大学に対し、留学生に関する広範な情報の提出を要求し、同大学が「ユダヤ人学生にとって敵対的な学習環境を作り出している」と非難した。同大学は情報を提供したものの、当局はその対応を不十分と判断し、最終的に留学生受入れ停止措置を下した。
 この決定は、現在ハーバード大学に在籍している大規模な留学生コミュニティに影響を及ぼし、その中には日本人学生百十名も含まれている。米国へは、独立行政法人日本学生支援機構のデータによれば、二〇二三年度には一万三千五百十七人の日本人学生が大学間交流協定等に基づいて留学しており、日本からの留学生のうちの十五%を占め、渡航先の中で最も多い割合となっている。今回の米国政府の決定によって影響を受ける学生の利益を保護するため、日本政府は速やかに対応策を検討する必要があると考える。
 日本人学生は、米国が懸念する中国などの競合的な政治体制の国の出身ではない。彼らは親密な同盟国として、日米間の相互理解及び二国間関係の強化に寄与する人材であり、米国教育機関における彼らの存在は長期的な協力関係の基盤を支えている。また、今後、米国留学を目指して準備を進めている有望な日本人学生たちが、こうした政治的混乱によって留学を断念する事態は、両国にとって大きな損失となるであろう。したがって、日本政府は留学生全体の禁止措置から日本人学生を除外するよう、米国との交渉を試みるべきであると考える。
 仮に交渉が不調に終わった場合には、米国から帰国を余儀なくされる学生への国内支援措置を講じる必要がある。東京大学はすでに、今回の措置によりハーバード大学で学べなくなった日本人及びその他の留学生を一時的に受け入れ、将来的に同大学への復学が可能となった場合に単位が認定されるように措置する方針を発表している。このような大学に対し、日本政府としてどのような支援が可能かを検討するべきであると考える。
 これらを踏まえ、以下の事項について政府に対し質問する。

一 日本政府は、米国政府によるハーバード大学における留学生受入れ停止決定に関して、正式に懸念を表明する又は米国政府と交渉を行う予定はあるのか。
二 東京大学をはじめとして複数の大学が、影響を受けた学生を一時的に受け入れる動きを示しているが、各大学に受入れ等の可能な支援策について検討を依頼することにとどまらず、これらの取組を支援し、さらに多くの国内大学の参画を促す予定はあるのか、政府としての方針を示されたい。

 右質問する。

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