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令和七年六月十三日提出質問第二七二号
洋上風力発電の価格調整スキームに関する質問主意書
提出者 島田洋一
洋上風力発電の価格調整スキームに関する質問主意書
政府は、日本が目指す「二〇五〇年カーボンニュートラル」に向けては、再生可能エネルギー最優先の原則で導入拡大し、再エネを主力電源としていくことが必要との脱炭素原理主義的認識から、二〇二二年四月にFIP制度(いわゆるフィードインプレミアムの略称)をスタートさせた。資源エネルギー庁によると「再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進」する制度と説明されている。
本来、洋上風力発電事業への参入や撤退は、各企業の判断に任せるべきだが、政府は、調達価格等算定委員会で「価格調整スキーム」を作成し、建設期間における資材価格などのコスト上昇分を四十%までFIPの基準価格に転嫁するとしている。その分、電気料金の値上げとなって国民負担が増大すると考える。
同委員会の報告書には、「価格調整スキームを導入している他国においては、四十%より相当低い水準で上限を設定している例も確認されている」とあり、具体的には、「米国ニュージャージー州において、価格調整スキームにおいて反映する物価変動調整の上限はプラスマイナス十五%であるとされている」との記述がある。日本の四十%より二十五%も低い。
さらに政府は、過去に入札済みの事業にも価格調整スキームを遡及適用するとしている。入札者は入札参加の時点で、将来の物価上昇を織り込んで価格提示しているはずで、合理的な政策とは言い難く、当然、価格上昇分は国民負担となると考える。
そこで、以下質問する。
一 政府は、米国ニュージャージー州では十五%といった事実を把握しながら、なぜ四十%という高い数字に設定したのか。
二 政府は、国民負担増大を招く数字を、国会での議論、決定を経ることなく、公募制度の改訂で決めたが、民主主義の理念に照らして不適切な決定方法ではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 物価上昇で採算が合わなくなったなら、落札者が事業から撤退すれば、国民負担を増やさずに済む。電気代の値上げを避けるためにも、価格調整スキームの遡及適用はやめるべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
四 FIP制度下で四十%の価格転嫁が行われた場合の電力会社の買取総額及びいわゆる再エネ賦課金の総額がいくらになるか、それぞれの試算結果を可能な限り明らかにされたい。
右質問する。