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令和七年六月十三日提出
質問第二七七号

年金積立金管理運用独立行政法人の投資差止めに関する質問主意書

提出者  鈴木庸介




年金積立金管理運用独立行政法人の投資差止めに関する質問主意書


 ノルウェー政府年金基金グローバル(以下「GPFG」という。)は、ノルウェー財務省が所有し、同省に代わってノルウェー中央銀行の投資管理部が運用する、世界最大級の政府系ファンドである。この基金は、同省により定められた倫理ガイドラインに基づき、倫理評議会が企業の行動を監視し、倫理ガイドラインに抵触したと判断された企業を投資対象から除外することを勧告する仕組みを採用していると承知している。
 二〇二五年五月、GPFGはイスラエルのエネルギー企業であるパズ・リテール・アンド・エナジー社の株式を全て売却したと報じられた。これは、同社がイスラエル占領下のヨルダン川西岸にあるイスラエルの入植地に燃料を供給するインフラを所有・運営していたことが倫理ガイドラインに抵触したためとされている。また、二〇二四年十二月にも、GPFGは、同様の理由により、イスラエルの通信会社であるベゼック社の株式を全て売却したことが報じられている。
 一方、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)は、経営委員会の監督のもと、運用受託機関を通じて投資を行っている。GPIFは、法令上、株式の投資判断については、運用受託機関に一任することとされており、政府及びGPIFは、株式の個別銘柄を選定又は除外することはできないとされている。
 二〇二四年三月末時点において、GPIFはベゼック社の株式を時価総額で二億三千九百四十六万千三百十三円保有していたことが開示されている。
 そこで、以下質問する。

一 GPIFは、前述のパズ・リテール・アンド・エナジー社及びベゼック社の株式を現在保有しているか。保有している場合は、保有株式数及び時価総額について、政府の把握するところをそれぞれ可能な限り示されたい。
二 一に挙げた企業の株式をGPIFが現在も保有している場合、GPFGの倫理評議会が人権侵害等を理由として投資対象からの除外を勧告した企業に対し、日本のGPIFが引き続き投資している事実について、制度的及び倫理的観点からの政府の見解をそれぞれ伺う。
三 GPFGを含む世界最大級の政府系ファンドが、人権侵害の懸念を理由として特定の銘柄を売却した場合、当該銘柄の市場価値が下落し、それを保有し続けるGPIFの運用実績に悪影響を及ぼすと考えられる。これを踏まえ、GPIFは人権侵害が懸念される銘柄への投資を差し止める措置を制度的に設けるべきであると考えるが、政府の見解を伺う。
四 GPIFが採用している人権侵害等に関する監視基準は、ノルウェーの倫理ガイドラインと比較して、同様の厳格さや透明性を有していると考えるか。
五 年金積立金管理運用独立行政法人法第二十七条第一項に基づき、厚生労働大臣が「必要な措置をとること」を求めた前例はないとされているが、人権侵害等の懸念を理由に、厚生労働大臣が特定銘柄への投資を差し止める可能性又は権限はあるのか。
六 ノルウェーのケースを鑑みても、人権侵害等の懸念のある企業に対する投資は他国の投資機関が突然資金を引き揚げるといった株価等の下落リスクにつながるおそれがあると考える。こうしたリスクを避けるため、GPIFの資金が人権侵害等の懸念のない企業・証券に投資されるよう、運用受託機関との契約において、具体的な規定は設けられているか。
 
 右質問する。

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