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令和七年六月十三日提出質問第二八二号
さとうきびの生産振興及び製糖企業の経営安定に向けた支援に関する質問主意書
提出者 屋良朝博
さとうきびの生産振興及び製糖企業の経営安定に向けた支援に関する質問主意書
さとうきび生産においては、生産者の高齢化や人手不足が課題となっているほか、生産資材価格の高騰が農業経営を圧迫しており、営農継続が危ぶまれる危機的状況に直面している。また、製糖企業は働き方改革に対応する取組を進めているが、人材確保に向けた労働環境の整備等が課題となっている。そこで、沖縄県・鹿児島県のさとうきび生産者及び製糖企業が意欲を持って生産に取り組み、経営安定が図られるよう、効果的な支援策を講じる必要があると考える。
これらを踏まえ、以下質問する。
一 農林水産省は、糖価調整制度の基盤となる砂糖勘定が巨額の累積赤字に陥っている中、二〇二四年度補正予算で糖価調整制度安定運営緊急対策交付金を措置するなど制度運用改善の施策を展開しているものの、累積赤字を解消し同制度を堅持していくためには不十分で、更なる取組の推進が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。
二 先般、閣議決定された食料・農業・農村基本計画では、さとうきびは二〇三〇年における生産量の目標が百三十三万トンと設定された。さとうきびの増産に当たっては、さとうきび増産プロジェクトに基づき各種施策が措置されてきたところであるが、現行のプロジェクトは二〇二五年度末が終期となる。次期のプロジェクト及び各種施策の措置が不可欠であると考えるが、政府の見解を示されたい。
三 農林水産省は、さとうきびの生産振興に向けて、担い手・作業受託組織の育成・強化、労働力確保のほか、土づくり、優良品種への転換、生産基盤の整備、省力化のための農業機械の導入等、生産性向上の取組を支援しているものと承知しているが、生産現場においては、様々な課題が山積している。
1 担い手不足解決に向けては、定年を機に就農する者の確保が重要であり、新規就農者育成総合対策の年齢要件緩和が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。
2 徳之島では天然記念物のアマミノクロウサギの増頭、生息域の拡大によるさとうきびの被害が増加し対策に苦慮していると承知している。被害防止対策の予算措置等の現状及び今後の方針についての政府の見解をそれぞれ示されたい。
3 ギニアグラスやカワリバトウダイのさとうきびほ場への流入による被害防止対策として、新たな選択性除草剤の開発と難防除雑草の管理の徹底が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。
4 ドローンによる散布に適した農薬は、さとうきびに関しては殺虫剤のみである。除草剤散布が可能となれば作業負担の軽減に繋がると考えられるところ、ドローンに適した除草剤登録の促進策について政府の見解を示されたい。
5 沖永良部島においては、農業機械車両の大型化が進んでいるが、車両総重量の増加によるコンクリートのひび割れ等が発生していることから、道路の舗装強化に向けた舗装基準の見直しが必要と考えるが、政府の見解を示されたい。
6 ほ場に面している道路には専ら農業用に使われていながら町道扱いのものが多く存在するが、この道路の保全管理に多面的機能支払交付金は利用できない。主な用途が農作業道である道路は農道・町道の区別なく同交付金の対象とする見直し及び農道・町道を一体的に整備できる新規事業の実施が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。
四 製糖工場の安定操業は、さとうきび生産の持続性を確保する上で不可欠であるが、一部の工場では老朽化が著しく、生産者からも建て替え等の対策を要望する声が多いと承知している。また、いわゆる働き方改革関連法への対応として、人材の確保や増員に向けた労働環境の整備が課題となっている。そこで、沖縄県・鹿児島県における製糖工場の計画的な整備及び労働力不足への対応に向けた国の支援が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。
五 沖縄黒糖は、加工黒糖及び輸入黒糖との競合等、不安定な需給バランスの下で厳しい販売環境にあることから、沖縄黒糖の販売促進及び流通体制の強化に向けた国の支援が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。
六 農業保険(畑作物共済・収入保険)は、現在、共済掛金及び保険料の半分を国が負担しているところ、生産者の負担割合を更に軽減するなどの方策により加入促進を図るべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。