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令和八年七月一日提出質問第二七号
アッシャー症候群及び網膜色素変性症に係る治療アクセス等に関する質問主意書
提出者 小川淳也
アッシャー症候群及び網膜色素変性症に係る治療アクセス等に関する質問主意書
アッシャー症候群は、感音難聴と網膜色素変性症を併発する遺伝性疾患であり、視覚及び聴覚の双方に障害を生じ得る。とりわけ二型では、幼少期から難聴を有し、思春期から若年成人期に夜盲、視野狭窄等の視覚症状が現れ、その後進行する例が多いとされる。網膜色素変性症は、原因遺伝子、発症時期及び進行速度が多様であるものの、残存する視機能は失われれば回復が困難である場合が多い。
海外では、特定の原因遺伝子を標的とする治療、原因遺伝子を問わず幅広い患者を対象とする治療及び進行後の視覚機能の再建を目指す治療が並行して開発されている。例えば、網膜色素変性症に対する調節遺伝子治療OCU400は米国で第三相試験の登録を完了しており、アッシャー症候群関連網膜色素変性症に対する経口治療候補NPI-001は第一・二相試験の結果を踏まえた確認試験が計画されている。また、USH2A遺伝子エクソン十三変異を対象とする核酸医薬ウルテブルセンについても国際的な第二相試験が進められている。米国には、通常の治験に参加できない患者が一定の要件の下で治験薬を使用できる拡大アクセス制度も設けられている。
我が国においても、先駆的医薬品等指定制度、希少疾病用医薬品等指定制度、患者申出療養制度等が整備され、国内発の遺伝子治療等の研究開発も進められている。また、重度の視力低下を有する遺伝性網膜ジストロフィーを対象とするMCO-010が先駆的再生医療等製品に指定され、海外の新興バイオ医薬品企業の開発品を我が国へ導入するための国際共同治験ワンストップ相談窓口も設けられている。
しかし、海外で後期治験に進む治療候補について、日本人患者の国際共同治験への参加、国内での早期試験及び承認申請に必要なデータの収集方針が明らかでないものがある。また、治験又は治療の適格性が遺伝子型によって決まる時代になりつつあるにもかかわらず、包括的な遺伝学的検査へのアクセスは限定されている。さらに、患者申出療養を利用する場合も、未承認薬等の費用は原則として患者負担となり、実施計画を作成する医療機関及び製品を提供する企業の協力が必要であるため、高額な遺伝子治療等への現実的なアクセス手段になりにくい場合がある。
これらの疾患における数年の治療アクセスの遅れは、単なる待機期間ではなく、教育、就労、移動、自立その他の社会参加の機会に不可逆的な影響を及ぼし得る。政府は、海外の有望な治療候補を早期に把握して国内治験へつなげるとともに、遺伝学的検査、国際共同治験への参加及び治験対象外患者の早期アクセスを一体的に進めるべきである。
以上を踏まえ、以下質問する。
一 包括的な遺伝学的検査へのアクセスについて
治験及び治療の適格性判断並びに遺伝カウンセリングに用いるため、遺伝性網膜ジストロフィーが疑われる患者について、特定の承認済み治療の適応判定に限らない包括的な遺伝子パネル検査を保険診療で受けられるよう、保険適用の範囲を拡大すべきではないか。政府の見解、現在の検討状況及び実施時期の見通しを示されたい。
二 海外開発品の能動的な選定及び企業への働き掛けについて
厚生労働省、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、国立研究開発法人日本医療研究開発機構等が連携し、海外で第二相後期又は第三相に進む希少疾患治療候補を定期的に選定し、開発企業に対して日本を含む国際共同治験、国内治験又は同時申請を具体的に提案する仕組みを設けるべきではないか。
また、OCU400、NPI-001及びウルテブルセンについて、政府は開発状況及び我が国への導入可能性を把握しているか。各品目について、開発企業又は権利保有企業から対面助言、事前相談、治験届その他の相談又は申請を受けた事実の有無を、企業秘密に配慮しつつ可能な範囲で示されたい。
三 国際共同治験及び国内早期試験への参加支援について
海外で臨床開発が先行する希少疾患治療について、科学的に不要な場合には日本人のみを対象とする追加的な第一相試験を一律に求めず、日本人患者の国際共同治験への参加を促進する現在の考え方を、海外の小規模な開発企業にも分かりやすく周知し、個別相談を無償又は低額で提供すべきではないか。
また、国際共同治験への途中参加が困難な場合には、日本人を対象とする少人数の安全性・用量確認試験又は長期安全性試験を迅速に立ち上げるため、試験費用、治験製品の輸送、通訳及び翻訳、保険、製造品質への対応並びに国内治験管理人に係る費用を公的に支援すべきではないか。政府の見解を示されたい。
四 治験対象外患者の早期アクセスについて
治験の年齢、病期、遺伝子型その他の基準により参加できない患者に対し、安全性及び有効性に関する一定の科学的根拠がある場合には、拡大治験、患者申出療養等を通じて未承認治療へ適切にアクセスできるよう、希少疾患向けの標準実施計画、相談窓口及び迅速な審査手順を整備すべきではないか。
また、患者申出療養において、高額な治験製品又は未承認製品の費用が原則として患者負担となることが、事実上の利用障壁となっているとの認識はあるか。公的研究費、企業負担、基金その他の方法により、患者の所得によって治療機会が左右されない費用支援制度を設けるべきではないか。政府の見解を示されたい。
右質問する。

