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令和八年七月二十一日提出
質問第三八号

ギャンブルの日常化の防止等に関する質問主意書

提出者  西村智奈美




ギャンブルの日常化の防止等に関する質問主意書


 近年、我が国を含む世界各国において、ギャンブルは、デジタル技術とモバイル技術を駆使し、また、プロファイリングに基づくマーケティングを通じて、従来とは比べものにならないほどアクセスしやすくなっており、これに伴い、ギャンブル依存症及びこれに伴う多額の借金、失業、犯罪、家庭内暴力、精神疾患、自殺等の問題が急速に拡大・深刻化している。
 WHO等の国際機関は、ギャンブルを公衆衛生上の課題と位置付け、合法・違法の別を問わず、商業化・デジタル化の進展により、広告、スポンサーシップ、製品設計等を通じてギャンブルの日常化が進み、健康被害や社会的被害が拡大すると認識している。そのため、子ども・若者や社会的・経済的に脆弱な人々を含む人口全体を対象として、広告規制やアクセス制限、製品安全規制等により、日常生活におけるギャンブルへの曝露を減らす公衆衛生アプローチを推奨している。
 具体的には、ギャンブル産業が人気スポーツを協賛したり、社会的な交流の場にギャンブルを持ち込んだりすることをギャンブルの日常化として問題視し、スポーツや文化活動におけるギャンブルの宣伝、プロモーション、協賛等をやめさせるべきとしている(二〇二四年十二月WHO提言、同年十一月ランセット公衆衛生委員会提言)。
 ヨーロッパにおいては、二〇一八年のイタリアにおけるギャンブル広告の禁止(テレビ・ラジオ・ネット・SNS等幅広いメディアについて)を皮切りに、イギリス、ベルギー、オランダ、アイルランド等でもギャンブル広告規制が強化され、オーストラリアにおいても、現在、子どもたちをギャンブルから守るためとして政府が提出したギャンブル広告規制に関する法案(@子どもの活動時間帯のテレビ広告等の制限Aオンライン広告の制限B広告でのスポーツ選手や著名人の起用禁止等)が国会で審議中である。
 翻って、我が国の状況を見ると、人気俳優を起用した公営競技のCMが子ども達の活動時間帯のテレビや電車広告で流され、また、公営競技施設で子ども向けの遊具やイベントを設け、子ども連れの来場を促すなど、国際的な潮流に反すると思われるプロモーションが行われている。
 このような状況を踏まえ、以下質問する。

一 日本中央競馬会の二〇二六事業年度事業計画書では、「競馬への参加促進及び販売促進」として、「テレビCM等の広告や、SNSを中心としたWEBプロモーションを通じて、これまで競馬に触れたことのない方にも競馬の楽しみ方やスポーツエンターテインメントとしての競馬の魅力をお伝えするプロモーションを展開します。」「ご家族連れのお客様にもお楽しみいただけるよう、お子様向け施策の充実など環境の整備に取り組みます。」とあるが、このような事業計画を国として認可することに問題はないのか。
 前述のWHO等の提言その他のギャンブルの日常化を防止すべきとする国際的な潮流に沿うよう、事業計画の変更を求めるとともに、広告やプロモーションの在り方について指導監督を行うべきではないか。
二 「競輪第3次中期基本方針」(令和八年度〜令和十二年度)についての経済産業省の産業構造審議会 製造産業分科会 車両競技小委員会における検討の中で、「顧客の増加・エンゲージメント強化」の取組事例として、防府競輪場の子ども向け遊具設置の例が取り上げられ、このような取組を推進することが示唆されている。また、高松競輪場では、多額の予算を投じて、競輪を模した遊具やオブジェを配置した子ども用の遊び場を設けており、子どもの頃から競輪に親しませることを企図した施設の在り方が市民によって問題視され、訴訟事件にも発展している。
 ギャンブルの日常化を防止すべきとする国際的な潮流に反するこのような施行者の取組は問題ではないか。また経済産業省は監督官庁としてこれらを是正するための指導監督を行うべきではないか。
三 競艇についても、一般社団法人全国モーターボート競走施行者協議会が策定する事業計画等において「本場活性化事業」として新規顧客の獲得のためのプロモーションを行うことが定められ、その一環であるファミリー向け企画として、全国各地のボートレース場内にレースを想起させる遊具などが設置された親子の遊び場(BOAT KIDS PARK Mooovi)が設けられている。
 このような施行者の取組はギャンブルの日常化を防止すべきとする国際的な潮流に反すると考えるが、問題はないのか。国土交通省においては監督官庁として指導監督を行うべきではないか。
四 政府は、前述のWHO等の提言その他のギャンブルの日常化を防止すべきとする国際的な潮流を踏まえ、公営競技を中心に、広告、プロモーション等を通じたギャンブルの日常化の状況を把握するための調査を行うべきではないか。
五 政府は、我が国におけるギャンブル依存症の被害の拡大及び深刻化並びにギャンブルの日常化を防止すべきとする国際的な潮流、特に各国の動向を踏まえ、速やかに、ギャンブル広告の規制について検討し、実行に移すべきではないか。

 右質問する。

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