答弁本文情報
平成十二年七月十四日受領答弁第九号
内閣衆質一四八第九号
平成十二年七月十四日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員保坂展人君提出中尾元建設大臣の受託収賄事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員保坂展人君提出中尾元建設大臣の受託収賄事件に関する質問に対する答弁書
一の(1)について
建設大臣は、内閣法(昭和二十二年法律第五号)、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)、建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)等に基づき、内閣を組織する国務大臣として閣議に参画するほか、行政事務を分担管理する主任の大臣である建設省の長として同省の事務を統括し、職員の服務についてこれを統督するものである。
建設大臣がその在任中に起訴された例はない。
また、建設大臣であった者が、その在任中の職務権限との関連で起訴された例もない。
建設省が調査した限りでは、公共事業の発注に関して建設省職員が起訴された事案は、平成五年以降で四件あり、その内訳は、収賄罪に係るものが三件、競売入札妨害罪に係るものが一件となっている。
公共工事の入札・契約制度については、平成五年の地方公共団体の長と建設業界をめぐる贈収賄事件を契機として、同年十二月二十一日の中央建設業審議会の建議を受け、平成六年度から大規模工事への一般競争方式の導入、中規模工事への公募型指名競争方式の導入、指名競争方式の運用における透明性・客観性の確保、入札監視委員会の設置等の措置を講じてきたところである。
建設省の個別の工事における指名業者の選定については、これを適正かつ厳正に行うため、予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)第九十六条第一項に規定する指名基準に基づき、工事の額等に応じて地方建設局長、事務所長等が、請負業者の選定の公正を確保するため各地方建設局等に設置されている入札・契約手続運営委員会の調査審議を経るものとしているところである。
平成七年度から平成十一年度までの間に建設省が若築建設株式会社に発注した工事については、別表のとおりである。
建設省においては、各地方建設局等に学識経験者等によって構成される機関として入札監視委員会を設け、発注工事に関して定期的に入札・契約手続の運用状況等について同委員会に報告するとともに、同委員会が抽出した工事について指名業者の選定手続の運用が適正に行われているかを審議していただくこと等により、入札・契約手続における透明性・客観性の確保に努めているところである。
建設省においては、歴代の建設大臣の就任の際に、当該建設大臣の個人的な知人等を招いて行うような就任祝いを行ったことはない。また、建設省の職員のみが出席して単に建設大臣の就任祝いを目的とするような会合を開いたこともない。
なお、建設省以外の者が主催する就任祝いについては、知り得る立場にない。
お尋ねの点については、捜査当局の捜査にかかわるものであることから、答弁を差し控えたい。
政府としては、政治倫理の確立については、基本的には、国会等の政治の場において議論され、判断されるべき事柄であると考えている。
なお、政府としては、国務大臣等について、資産の公開、営利企業の役員等との兼職の禁止等の申合せ等を行ってきているところである。また、政治資金の調達を政党中心に改めるため、政府は、政治資金規正法の一部を改正する法律案を第百二十八回国会に提出し、同法案は、同国会において、平成六年一月に成立している。
政府としては、お尋ねの「あっせん利得罪」の導入については、基本的には、国会等の政治の場において議論され、判断されるべき事柄であると考えている。
政府としては、公務員は国民全体の奉仕者としての自覚を持ってその職務の遂行に当たるべきものであり、行政機関の公務員が政治家、関係業界等との接触等に関し国民の疑惑や不信を招くことのないよう十分に留意することが必要であると考えている。
契約年月日 | 工事名 | 契約方式 | |
野坂浩賢建設大臣(在任期間 平成六年六月三十日から平成七年八月八日) | |||
一 | 平成七年五月一日 | 平成七年度富士海岸離岸堤等保全工事 | 指名競争入札 |
二 | 平成七年七月二十四日 | 新川橋下部その二工事 | 指名競争入札 |
三 | 平成七年八月四日 | 平成七年度遊水地土砂搬出工事 | 一般競争入札 |
森喜朗建設大臣(在任期間 平成七年八月八日から平成八年一月十一日) | |||
四 | 平成七年九月一日 | 神戸弁天共同溝補修工事 | 指名競争入札 |
五 | 平成七年九月二十五日 | 平成七年度四十二号大泊高架橋下部工工事 | 指名競争入札 |
中尾栄一建設大臣(在任期間 平成八年一月十一日から平成八年十一月七日) | |||
六 | 平成八年一月十六日 | 多摩宿舎新築(第二期)工事 | 随意契約 |
七 | 平成八年一月十八日 | 古川供給管共同溝工事 | 指名競争入札 |
八 | 平成八年一月二十四日 | 流水保全水路桂川伏越(その二)工事 | 随意契約 |
九 | 平成八年二月五日 | 神戸西バイパス永井谷ジャンクション下部工事 | 指名競争入札 |
十 | 平成八年三月八日 | 平井低水護岸工事 | 指名競争入札 |
十一 | 平成八年三月十五日 | 板橋浚渫工事 | 指名競争入札 |
十二 | 平成八年三月二十一日 | 新川橋下部その三工事 | 指名競争入札 |
十三 | 平成八年五月十五日 | 平成八年度富士海岸離岸堤等保全工事 | 指名競争入札 |
十四 | 平成八年八月十四日 | 福岡三号御笠川第十工区共同溝工事 | 指名競争入札 |
十五 | 平成八年九月二十日 | 平成八年度三百二号名東(V)共同溝その二工事 | 指名競争入札 |
亀井静香建設大臣(在任期間 平成八年十一月七日から平成九年九月十一日) | |||
十六 | 平成九年二月四日 | 石岡トンネル(その一)工事 | 一般競争入札 |
十七 | 平成九年三月十二日 | 平井浚渫工事 | 指名競争入札 |
十八 | 平成九年三月十七日 | 保全水路工事用坂路復旧その他工事 | 随意契約 |
十九 | 平成九年五月二十日 | 平成九年度富士海岸離岸堤等保全工事 | 指名競争入札 |
瓦力建設大臣(在任期間 平成九年九月十一日から平成十年七月三十日) | |||
二十 | 平成九年十月六日 | 平成九年度霞ヶ浦浚渫工事 | 一般競争入札 |
二十一 | 平成九年十二月十二日 | 佐久保東改良工事 | 指名競争入札 |
二十二 | 平成十年六月二十二日 | 平成十年度富士海岸離岸堤等保全工事 | 指名競争入札 |
関谷勝嗣建設大臣(在任期間 平成十年七月三十日から平成十一年十月五日) | |||
二十三 | 平成十年七月三十日 | 石岡トンネル(その一の二)工事 | 随意契約 |
二十四 | 平成十年七月三十一日 | 平成十年度 三百二号東部維持工事 | 随意契約 |
二十五 | 平成十年九月三十日 | 福岡二百二号外環状共同溝[W]−三工区工事 | 指名競争入札 |
二十六 | 平成十年十月二日 | 平成十年度 長島ダム唐沢地区斜面対策工事 | 一般競争入札 |
二十七 | 平成十一年一月六日 | 荒井地区下部工工事 | 指名競争入札 |
二十八 | 平成十一年三月十一日 | 大山崎保全水路(大山崎樋門伏越し工区)工事 | 一般競争入札 |
二十九 | 平成十一年三月十五日 | 舟橋高架橋下部その一工事 | 指名競争入札 |
三十 | 平成十一年三月十六日 | 下佐久間トンネル工事 | 一般競争入札 |
三十一 | 平成十一年五月十八日 | 平成十一年度富士海岸離岸堤等保全工事 | 指名競争入札 |
中山正暉建設大臣(在任期間 平成十一年十月五日から平成十二年七月四日) | |||
三十二 | 平成十一年十月六日 | 平成十一年度霞ヶ浦浚渫工事 | 一般競争入札 |
三十三 | 平成十一年十二月二十四日 | 長清堰改築工事 | 指名競争入札 |
三十四 | 平成十二年三月三日 | 志茂浚渫工事 | 指名競争入札 |