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答弁本文情報

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平成十三年十一月二日受領
答弁第三号

  内閣衆質一五三第三号
  平成十三年十一月二日
内閣総理大臣 小泉純一郎
       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員小沢和秋君提出わが国周辺に遺棄された旧軍化学兵器の実態解明と無害化についての質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小沢和秋君提出わが国周辺に遺棄された旧軍化学兵器の実態解明と無害化についての質問に対する答弁書



一について

 苅田港内で発見された旧日本軍(以下「旧軍」という。)の化学弾と認められるもの十八発並びに同港内及び関門港新門司区沖で発見された旧軍の化学弾の可能性のあるもの三十九発については、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(平成九年条約第三号。以下「化学兵器禁止条約」という。)の規定に従い、早期かつ安全に廃棄すべく、関係地方公共団体とも連携しつつ廃棄の計画等について所要の調整を行っているところであり、今後処理を進めていくに当たっては、現状と今後の見通しを含め、関係住民に必要な説明がなされるよう努めてまいりたい。
 また、お尋ねの苅田港等の周辺海域の調査については、今後、実施の必要性を含め関係省庁等の間で連携を密にして検討してまいりたい。

二について

 お尋ねの「旧軍毒ガス弾等の全国調査」(以下「旧軍毒ガス弾調査」という。)については、昭和四十八年に大久野島毒ガス問題関係各省庁連絡会議により取りまとめられた「旧軍毒ガス弾等の全国調査の結果について」等において、調査方法及び調査結果を既に公開しているところである。
 旧軍毒ガス弾調査は、旧軍の化学兵器等の保有及び廃棄の状況に関する資料のほとんどが終戦時に処分されてしまっていたこと、また、旧軍の機密に属していたと考えられる化学兵器等に関する情報に関与し得た人々の多くが故人となっていたこと等により、終戦後の旧軍の化学兵器等の廃棄の状況を把握することが困難な中で、可能な限り情報を収集して行われたものであり、その当時から更に三十年近く経過した現在、改めて旧軍の化学兵器等の廃棄状況について全国的に調査を実施しても、当時以上の情報を入手することは困難であると考える。

三について

 御指摘の「海洋投棄」については、旧軍毒ガス弾調査等において明らかにしたとおり、いずれの箇所についても化学兵器の有無の実地探査又は掃海等により、安全上何らの措置も講じていない箇所は残っておらず、また、屈斜路湖で調査の結果発見された老朽化した化学兵器については、化学兵器禁止条約の規定に従い、既に廃棄しているところである。
 なお、今後も国内で旧軍の化学兵器が発見された場合には、化学兵器禁止条約の規定に従い、廃棄することとしている。

四について

 旧軍関連の資料を保管している防衛研究所図書館には、例えば、陸軍科学研究所における化学兵器の研究経過の概要を示す資料や、くしゃみ剤など非致死性の化学剤を充てんした兵器を使用したことを示唆する資料等、旧軍の化学兵器の研究開発等に関する断片的な資料が存在するが、旧軍関連の資料の多くが終戦時に処分され断片的な資料しか残っていないことや、関係者の多くが故人となっていることなどにかんがみると、更なる調査を行い、旧軍による化学兵器の研究開発の全体像や実戦での使用例の全容を解明することは、極めて困難であると考えている。右に例示した資料を含め、防衛研究所図書館が保管する旧軍関連の資料については、プライバシーに配慮した上で原則として公開しているところである。

五について

 我が国における化学兵器の開発、製造及び流通の全分野において、いかなる企業や人員がいかなる体制及び態様で関与したか等については、調査した限りでは、政府内にこれらの全体像を把握することができる資料がないため、その全容を解明し、公表することは困難である。

六について

 旧軍の化学兵器等の製造、輸送、処理等によって被害を受けた者については、化学兵器の製造等を行っていた旧陸軍造兵廠忠海製造所ほか三か所の従業員のうち、旧陸軍共済組合又は旧海軍共済組合の組合員であった者に対しては、「ガス障害者救済のための特別措置要綱」(昭和二十九年二月十二日蔵計第二百八十号)等に基づき国家公務員共済組合連合会が、旧陸軍共済組合又は旧海軍共済組合の組合員であった者以外の者に対しては、終戦後当該四か所の施設で処理に従事した者と併せ、「毒ガス障害者救済対策事業の実施について」(昭和五十九年四月十日衛発第二百六十六号)の「毒ガス障害者に対する救済措置要綱」に基づき厚生労働省が、それぞれ医療費、特別手当及び健康管理手当の支給等を行うものとされており、また、右に述べた者以外の者に対しては、例えば、民間企業の従業員に関しては労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)、公務員に関しては国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)等により、被害を補償するものとされている。
 これらの制度に基づき、被害状況、被害内容等を調査・把握した上で、個々の事案に即して適切な措置が採られているものと考えている。



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