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答弁本文情報

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平成十四年一月十八日受領
答弁第四八号

  内閣衆質一五三第四八号
  平成十四年一月十八日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員保坂展人君提出スティーブンス・ジョンソン症候群問題の解決前進のための質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出スティーブンス・ジョンソン症候群問題の解決前進のための質問に対する答弁書



1から3までについて

 医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法(昭和五十四年法律第五十五号。以下「機構法」という。)第二十八条第一項各号に規定する給付に関する制度(以下「救済制度」という。)は、医薬品の副作用による一定程度以上の健康被害(以下「副作用被害」という。)について、定型的な給付を行うことにより簡易迅速な救済を図ることを目的としており、将来発生し得る副作用被害に備えて医薬品製造業者等が共同で拠出し、発生した副作用被害に対して救済給付を行うという一種の保険原理に基づく制度である。
 機構法第二十八条第一項に規定する障害年金又は障害児養育年金(以下「障害年金等」という。)の支給に当たっては、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法施行令(昭和五十四年政令第二百六十八号)別表に定める障害の状態にあることが必要とされており、同表には障害を有する者に対する給付の基準となる国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)に基づく障害基礎年金(以下「障害基礎年金」という。)の障害等級と同様のものが定められているところである。また、眼の障害に関する評価基準について視力を基本とすることは、現場の眼科医の間に定着しており、現時点では客観的かつ公平な基準であると考えている。したがって、矯正後の両眼の視力の和が〇・〇八以下の者でなければ、同表に定める他の障害状態にある場合を除き、障害年金等を支給することは困難であると考えている。
 救済制度は、機構法附則第一条第二項に基づき、昭和五十五年五月一日以後に使用された医薬品が原因となって同日以後に医薬品の副作用による疾病にかかり、障害の状態になり、又は死亡した者に適用することとされており、同日前に使用された医薬品が原因となって疾病にかかり、障害の状態となり、又は死亡した者に対して救済制度を適用することは、救済制度の趣旨に照らし困難である。
 原因が不明であって、治療方法が未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾患のうち、希少性等を有するために全国規模で研究を行わなければ原因の究明及び治療方法の確立が進まないものについては、特定疾患対策研究事業として病因、病態等の研究を進めている。また、特定疾患対策研究事業の対象となっている疾患のうち、診断基準が一応確立したものであって、難治度及び重症度が高く、かつ、患者数が少ないため、医療費について一定の公費負担を行わないと原因の究明、治療方法の開発等に困難を来すおそれのあるものについては、特定疾患治療研究事業において医療保険給付等に係る自己負担分の全部又は一部を公費により負担しているところである。これらの事業の対象疾患の選定については、学識経験者から成る特定疾患対策懇談会において定期的に検討していただいた上で、その意見に基づいて行うこととしている。平成十三年三月に開催された特定疾患対策懇談会においては、スティーブンス・ジョンソン症候群は薬剤等の外来物質等に対するアレルギー反応によるものであり、一般的にはこれらの原因物質等を排除することにより治癒する旨の意見が述べられており、このような意見等を踏まえ、厚生労働省においてスティーブンス・ジョンソン症候群をこれらの事業の対象疾患とするか否かについて検討を行った結果、スティーブンス・ジョンソン症候群はこれらの事業の対象疾患として適当ではないと判断したところであり、御指摘のような再検討が必要であるとは考えていない。
 なお、スティーブンス・ジョンソン症候群の患者が救済制度又は特定疾患治療研究事業の適用対象とならない場合であっても、障害基礎年金、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に基づく保護等の支給要件を満たす場合には、その給付を受けることが可能である。
 また、スティーブンス・ジョンソン症候群の患者のうち、視力の著しい低下等により身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)別表に掲げる視覚機能の障害があるものについては、同法に基づき、その障害の程度等に応じ、市町村からガイドヘルパーの派遣、盲人安全つえ等の補装具の給付、更生医療の給付としての角膜移植の実施等の各種の保健福祉サービスを受けることができる。政府としては、引き続きスティーブンス・ジョンソン症候群の患者を始め視覚機能に障害を有する者に対する保健福祉施策の充実を図るとともに、当該施策の一層の周知に努めてまいりたい。
 さらに、厚生科学研究費補助金によるヒトゲノム・再生医療等研究事業において、スティーブンス・ジョンソン症候群等の難治性角膜疾患に対して羊膜移植が有効であることに着目した羊膜培養法等の研究及びスティーブンス・ジョンソン症候群等の薬物有害反応を未然に回避するために有効な方法を確立することを目的とした研究を実施しているところであり、これらの研究の成果がスティーブンス・ジョンソン症候群の予防及び治療にいかされるよう努めてまいりたい。
 政府としては、これらの施策を着実に実行することにより、スティーブンス・ジョンソン症候群に係る対策の充実を図ってまいりたい。

4について

 厚生労働省においては、医薬品等の安全性に係る情報の評価を行う場合には、医薬品等健康危機管理実施要領(平成九年三月三十一日厚生省薬務局長決定)に基づき薬事・食品衛生審議会の意見を聴くこととしており、同審議会の意見等を踏まえ、随時医薬品製造業者等に対して医薬品等の使用上の注意の改訂等を行うよう指導している。また、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第七十七条の三第一項に基づき、医薬品製造業者等に対して、医薬品等の副作用情報を医薬関係者等に迅速かつ的確に提供するよう指導しているところである。
 スティーブンス・ジョンソン症候群等の患者と医薬品製造業者等との直接の面談等の実施については、基本的に両者の間で話し合われるべきものであると考えている。また、厚生労働省においては、従来からスティーブンス・ジョンソン症候群等の患者の要望を伺ってきたところであり、今後とも適切に対応してまいりたい。



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