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答弁本文情報

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平成十五年四月二十五日受領
答弁第三四号

  内閣衆質一五六第三四号
  平成十五年四月二十五日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員保坂展人君提出刑務官による受刑者暴行死傷事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出刑務官による受刑者暴行死傷事件に関する質問に対する答弁書



(1)について

 特別公務員暴行陵虐致死罪の公訴時効は、七年である。

(2)について

 平成八年から平成十四年までの間に全国の行刑施設(刑務所、少年刑務所及び拘置所をいう。以下同じ。)及び少年院で死亡した被収容者に係る施設名、性別、死亡時の年齢及び死亡の経緯について、受刑者に係るものは別表一、少年院の在院者に係るものは別表二のとおりである。
 罪名(非行事実)及び確定判決(保護処分の決定)については、これらを公にすると、特定の個人を識別することができることとなるため、答弁することは差し控えたい。

(3)について

 矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院をいう。以下同じ。)の被収容者が死亡した場合(死刑執行を除く。)には、矯正臨時報告規程(平成八年法務省矯総訓第五百二十号大臣訓令)に基づき、当該矯正施設の長が、法務省矯正局長及び当該矯正施設の所在地を管轄する矯正管区の長に対し、その都度、遅滞なく報告することとしている。
 このうち、被収容者の死亡が、自殺、作業上又は職業補導上の事故死、食中毒死等自然死以外のものによる場合及び被収容者に対する殺傷行為により生じた場合には、矯正緊急報告規程(平成八年法務省矯総訓第五百十六号大臣訓令)に基づき、報告を要する事実を知ったときは、直ちに電話又はファクシミリ通信により、当該矯正施設の長が、法務省矯正局長及び当該矯正施設の所在地を管轄する矯正管区の長に対し報告を行うとともに、速やかに書面による報告を行うこととしている。
 法務省矯正局及び矯正管区においては、これらの報告を受けた場合には、個別の事案ごとに内容を精査した上、より詳細な調査を指示して報告を求めるなどしているところである。

(4)について

 矯正施設において被収容者の死亡事案があり、当該矯正施設の長から法務省矯正局長に報告があった場合には、その中で特に重要と思われるものについて、法務大臣に報告することとしている。

(5)について

 刑務官は、原則として、人事院が実施する刑務官採用試験の合格者から採用している。採用に当たっては、同試験の合格者について、矯正管区又は行刑施設の幹部職員が採用面接を行い、積極性、堅実性、判断力等について、それぞれ具体的に評価し、刑務官として適正に職務を遂行できるかどうかを慎重に見極めた上、採用を行っている。

(6)について

 刑務官の研修制度には、刑務官として必要な学術及び技能を修得させるための基礎的教育訓練を行う初等科研修、初級幹部職員として部下を指導監督するに足りる学術及び技能を修得させるための教育訓練を行う中等科研修並びに上級幹部職員として部下を指導監督するに足りる学術及び技能を修得させるための教育訓練を行う高等科研修があり、昇任については、卒業した研修の種類により区分されたグループごとに管理する制度としている。
 すなわち、初等科研修のみ卒業した者については、主任矯正処遇官(公安職俸給表(一)四級)まで昇任できることとしている。また、国家公務員採用U種試験の合格者から採用され、又は初等科研修卒業後に競争試験による選抜を経て、中等科研修を卒業した者(更に高等科研修を卒業した者を除く。)については、行刑施設の係長等(公安職俸給表(一)五級)まで昇任できることとしているが、再度の競争試験による選抜を経て行刑施設の課長相当職等へも昇任できることとしている。さらに、国家公務員採用T種試験の合格者から採用され、又は中等科研修卒業後に競争試験による選抜を経て、高等科研修を卒業した者については、行刑施設の課長相当職以上へ昇任できることとしている。
 刑務官の勤務評定については、公正な人事配置等に資することを目的として、原則として一年に一回実施している。
 これらの研修や勤務評定は、おおむね適切に行われてきたものと考えているが、今後、これらの在り方についても十分に検討を行い、引き続き刑務官の人権意識の向上に努めてまいりたい。

(7)及び(8)について

 法務省矯正局は、刑及び勾留、少年院に送致する保護処分及び少年鑑別所に送致する観護の措置、補導処分並びに監置の裁判の執行に関すること等を所掌しているところ、これらの事務(関係法令案の作成等を含む。)は、検察官の行う事務と密接に関係があることから、一般に、法務省矯正局長には、検察官の行う事務にも精通し、専門的な法律知識と法律実務家としての豊かな経験を備えた検事が適任であるとして、法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)附則第四項の規定により、これまで検事が同局長に任用されているところである。
 このような任用は、他の官職と同様に、適材適所の観点から行っているものであり、一律に検事以外の者は同局長に任用し得ないと考えているわけではない。
 法務省において、調査し得た範囲でお答えすると、昭和二十七年六月三十日から昭和三十年六月三十日までの間、同局長(昭和二十七年六月三十日から同年七月三十一日までの間にあっては、法務府矯正保護局長)に、検事に任命される資格を有しない者が就いていた例がある。

(9)について

 法務省において、情願の裁決の決裁に関する文書が保存されている平成十年以降について調査したところ、法務大臣が情願の裁決を決裁した例は認められなかった。
 本年二月二十日以降、法務大臣は、法務副大臣又は法務大臣政務官に閲読させたものを除き、法務大臣に進達された情願書をすべて閲読している。

(10)について

 情願は、行刑施設の処置に対し不服がある場合に、法務大臣等に対して行われるものであるところ、上級の行政機関である法務大臣としては、情願で指摘された事項につき、的確に指揮監督権限を行使するなどして、これを誠実に処理するに当たり、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第十八条第一項に基づき、法務大臣を助け、省務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する職務を有する者として置かれている法務事務次官や、同法第二十一条第一項並びに法務省組織令(平成十二年政令第二百四十八号)第六条第一号及び第五号に基づき、行刑施設の管理の適正につき責任を有する法務省矯正局にその長として置かれている法務省矯正局長に、必要かつ適切な範囲で専決による事務処理を行わせてきたものである。
 また、監獄法(明治四十一年法律第二十八号)第七条及び監獄法施行規則(明治四十一年司法省令第十八号)第四条の規定は、情願の裁決の決裁方法等について定めるものではなく、情願の裁決について、専決による事務処理を認めない趣旨のものであるとは解されず、御指摘は当たらないものと考えている。

(11)について

 矯正施設の被収容者の人権については、収容の目的を達成するために必要な限度において、合理的制限が加えられることはあるものの、十分に尊重されなければならないものであることは当然であると考えている。

(12)について

 矯正施設の被収容者の人権侵害を防ぐことに資する法令の規定としては、例えば、監獄法第四条第一項及び第七条、監獄法施行規則第四条から第九条まで、少年院処遇規則(昭和二十四年法務府令第六十号)第四条、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十三条、第百九十五条第二項及び第百九十六条等がある。

(13)について

 人権擁護法案において、人権委員会は、人権の擁護に関する施策を総合的に推進し、人権が尊重される社会の実現に寄与するという同法案の目的を達成することを任務とするとされており、国民の権利擁護を図ることをその任務とするとともに、人権侵害に関する調査及び救済措置としての調停・仲裁、訴訟援助、差止請求訴訟の提起等の職務の遂行のための法律的な専門性を有する職員を擁し、人権救済に対する専門的な知識・経験の蓄積を有する法務省に置くことが最もふさわしいと考えられることから、その外局として設置することとされている。
 また、人権委員会は、国家行政組織法第三条第二項に基づく独立の行政委員会として設置され、委員長及び委員の任命方法、身分保障、職権行使の独立性の保障等により、その職権の行使に当たっては内閣や所轄の大臣等から影響を受けることがないよう、高度の独立性を確保されているので、法務省が他面において行刑施設や少年院を管轄しているとしても、その外局として人権委員会を設置することに問題はないと考える。

(14)について

 名古屋刑務所において、お尋ねの「口裏合わせをするためのプロジェクトチーム」を編成したことはない。

(15)について

 名古屋刑務所で発生した刑務官による一連の受刑者致死傷事件については、矯正行政に対する国民の信頼を損なうものであり、矯正行政の改革を積極的に進めることによって、国民の信頼を一日も早く回復しなければならないと考えている。
 改革に際しては、刑務官の常識と世間の常識との間に、ずれが生じていないか、職員一人一人の自覚を促すなど、抜本的な意識改革を行う必要があると考えている。
 法務省においては、行刑運営の在り方全体を徹底して見直すため、有識者により構成される「行刑改革会議」を発足させたところであり、同会議からの提言も踏まえ、その具体的方策を検討してまいりたい。


別表一 受刑者 1/61


別表一 受刑者 2/61


別表一 受刑者 3/61


別表一 受刑者 4/61


別表一 受刑者 5/61


別表一 受刑者 6/61


別表一 受刑者 7/61


別表一 受刑者 8/61


別表一 受刑者 9/61


別表一 受刑者 10/61


別表一 受刑者 11/61


別表一 受刑者 12/61


別表一 受刑者 13/61


別表一 受刑者 14/61


別表一 受刑者 15/61


別表一 受刑者 16/61


別表一 受刑者 17/61


別表一 受刑者 18/61


別表一 受刑者 19/61


別表一 受刑者 20/61


別表一 受刑者 21/61


別表一 受刑者 22/61


別表一 受刑者 23/61


別表一 受刑者 24/61


別表一 受刑者 25/61


別表一 受刑者 26/61


別表一 受刑者 27/61


別表一 受刑者 28/61


別表一 受刑者 29/61


別表一 受刑者 30/61


別表一 受刑者 31/61


別表一 受刑者 32/61


別表一 受刑者 33/61


別表一 受刑者 34/61


別表一 受刑者 35/61


別表一 受刑者 36/61


別表一 受刑者 37/61


別表一 受刑者 38/61


別表一 受刑者 39/61


別表一 受刑者 40/61


別表一 受刑者 41/61


別表一 受刑者 42/61


別表一 受刑者 43/61


別表一 受刑者 44/61


別表一 受刑者 45/61


別表一 受刑者 46/61


別表一 受刑者 47/61


別表一 受刑者 48/61


別表一 受刑者 49/61


別表一 受刑者 50/61


別表一 受刑者 51/61


別表一 受刑者 52/61


別表一 受刑者 53/61


別表一 受刑者 54/61


別表一 受刑者 55/61


別表一 受刑者 56/61


別表一 受刑者 57/61


別表一 受刑者 58/61


別表一 受刑者 59/61


別表一 受刑者 60/61


別表一 受刑者 61/61


別表二 少年院の在院者


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