答弁本文情報
平成十五年四月十八日受領答弁第五一号
内閣衆質一五六第五一号
平成十五年四月十八日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員城島正光君提出第一五六国会に政府が提出した労働基準法の一部を改正する法律案に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員城島正光君提出第一五六国会に政府が提出した労働基準法の一部を改正する法律案に関する再質問に対する答弁書
一及び二について
労働基準法の一部を改正する法律案中労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十八条の二(以下「第十八条の二」という。)における「この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合」とは、使用者がその使用する労働者を解雇することが制限される場合が法律で規定されているものをいうものである(労働基準法第十九条等)。
一方、労働基準法の一部を改正する法律案による改正後の労働基準法第八十九条第三号(以下「第八十九条第三号」という。)は、就業規則において「解雇の事由」を記載することを義務付けるものであって、使用者の解雇に関する権利を制限することを規定している条文ではない。このため、お尋ねのように就業規則中に「解雇の事由」が記載されていることは、「この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合」に該当しない。
第八十九条第三号は、就業規則に記載された「解雇の事由」以外の事由によって使用者がその使用する労働者を解雇することを制限するという法律効果を有する条文ではないと解している。したがって、お尋ねの場合の解雇の効力については、第十八条の二の規定に基づいて判断されることとなる。
なお、第十八条の二は、御指摘の本文を規定するのみならず、ただし書において「その解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定するものであるから、お尋ねの場合の解雇の効力は、第十八条の二の本文とただし書に規定する内容を併せて判断されるものである。
第八十九条第三号は、就業規則において「解雇の事由」を記載することを義務付けるものであるが、当該就業規則に使用者がどのように「解雇の事由」を記載するかまでを定めたものではなく、また、当該就業規則に記載された「解雇の事由」以外の事由によって使用者がその使用する労働者を解雇することを制限するという法律効果を有する条文ではないと解している。
したがって、具体的な解雇の効力については、就業規則に記載された内容も含めて、第十八条の二の規定に基づいて判断されることとなる。