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平成十五年四月二十二日受領
答弁第五四号

  内閣衆質一五六第五四号
  平成十五年四月二十二日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員長妻昭君提出武力攻撃事態対処法案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出武力攻撃事態対処法案に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(以下「法案」という。)第二条第一号の「我が国に対する・・・武力攻撃」とは、基本的には我が国の領土、領海、領空に対する組織的計画的な武力の行使をいうと考える。
 特定の事例が我が国に対する組織的計画的な武力の行使に該当するかどうかについては、個別の状況に応じて判断すべきものであり、あらかじめ定型的類型的にお答えすることは困難である。

三の1及び2について

 お尋ねの「憲法に規定されているすべての権利」の意義については必ずしも明らかでないが、これが法案第三条第四項に規定する「日本国憲法の保障する国民の自由と権利」を指しているとすれば、その内容については、憲法が主としてその第三章において規定しているところである。すなわち、講学上は、生命、自由及び幸福追求権とされる第十三条並びに法の下の平等を定める第十四条をはじめとして、いわゆる精神的自由としての第十九条(思想及び良心の自由)、第二十条(信教の自由)、第二十一条(表現の自由)、第二十三条(学問の自由)、いわゆる経済的自由としての第二十二条(職業選択の自由)、第二十九条(財産権)、いわゆる人身の自由としての第十八条(奴隷的拘束及び苦役からの自由)、第三十一条から第四十条まで(法定の手続の保障等主として刑事手続に関する権利)、いわゆる社会権としての第二十五条(生存権)、第二十六条(教育を受ける権利)、第二十七条(勤労の権利)、第二十八条(団結権)に規定されている基本的人権等があると承知している。
 これらのうち、お尋ねの「いかなる理由があろうとも制約されない権利」としては、例えば、憲法第十九条の保障する思想及び良心の自由、憲法第二十条の保障する信教の自由のうち信仰の自由については、それらが内心の自由という場面にとどまる限り絶対的な保障であると解している。また、憲法第二十一条第二項にいう「検閲」とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指すと解しており、検閲について公共の福祉を理由とする例外を設ける余地がないものと解している。

三の3について

 法案第三条第四項において、武力攻撃事態への対処と国民の自由と権利との関係に関する基本理念を述べているが、これは、憲法における基本的人権についての考え方にのっとったものであり、法案に憲法の保障する国民の自由と権利が制限される根拠となる規定が設けられているわけではない。
 なお、国民の権利及び義務に関する措置については、法案に示された基本理念にのっとり、今後整備する事態対処法制において定めることとなる。

四について

 今後整備する事態対処法制において、アメリカ合衆国の軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)が実施する日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)に従って我が国に対する武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置に係る国民の権利及び義務に関する措置を定める場合は、法案に示された基本理念にのっとり、慎重かつ適切に検討することとしている。
 なお、武力攻撃事態においては、合衆国軍隊は、我が国に対する武力攻撃を排除し、我が国及び国民の安全を守るために行動することとなるが、我が国に駐留する合衆国軍隊は、一般国際法上我が国の国内法令を尊重する義務を有していること、また、武力攻撃事態において合衆国軍隊は日米安保条約及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)、国際連合憲章、国際人道法等の国際法に従って行動すること、にかんがみれば、武力攻撃事態における合衆国軍隊の行動が国民の基本的人権を不当に侵害することは一般に想定されない。

五について

 具体的事実関係についての「その全容」の公表がいかなるものを想定してのお尋ねなのか必ずしも明らかでないが、武力攻撃事態における対処措置の実施の状況に関する武力攻撃事態終了後の公表については、個別具体的に国民のプライバシー、自衛隊及び合衆国軍隊の秘密保全等の観点を考慮しつつ、慎重かつ適切に対応すべきものと考える。

六について

 事態対処法制の具体的内容については現在検討中であり、確定的なことは申し上げられないが、現時点においては、市町村の消防機関は、国の避難措置の指示を受けた都道府県の避難の指示の下、避難住民の誘導を行うほか、消火活動、救助活動等の役割を担うことを想定しており、市町村の消防団も、消防本部及び消防署の活動を補完し、これと連携しつつ、一定の役割を担うことを想定している。



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