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平成十五年六月二十日受領
答弁第九二号

  内閣衆質一五六第九二号
  平成十五年六月二十日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員中川智子君提出新型肺炎(SARS)発生に伴う対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中川智子君提出新型肺炎(SARS)発生に伴う対策に関する質問に対する答弁書



一について

 中華人民共和国(以下「中国」という。)の北京市についての我が国の渡航情報に関しては、本年四月二十二日、同市における重症急性呼吸器症候群(以下「SARS」という。)の感染経路が明らかとなっていなかったこと、同市は我が国と地理的にも近く交流も盛んであること等を理由に、外務省において、同市について「渡航の是非を検討して下さい(不要不急の渡航については延期をおすすめします)」との危険情報を発出したが、その後の同市におけるSARSの拡大、長期化の状況及び万一在留邦人の近辺に感染者が発見された際の中国側当局によるあり得べき隔離等の措置にかんがみ、同月二十九日、従来の危険情報を更新し、同市の在留邦人で一時的に同市を離れることが可能な方は帰国の可能性を含め検討されることをおすすめしたものである。
 なお、御指摘の「その他の国が四月半ばまでに」講じた「帰国勧告等の措置」がどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、主要国のうち、渡航情報として、北京市に滞在している自国民について帰国又は帰国の検討を勧告した国は、現段階までに存在しないと承知している。

二について

 本年四月二十九日に在留邦人に対して帰国の可能性を含め検討されることをおすすめする旨の内容を含む危険情報を北京市についてのみ発出した理由は、一についてで述べたとおりである。

三について

 危険情報の発出又は解除については、諸般の事情を総合的に考慮して行ってきており、確定した要件があるわけではないが、本年四月二十九日に発出した危険情報のうち北京市の在留邦人に対して帰国の可能性を含め検討されることをおすすめする旨の部分については、中国側当局によれば、同市において新規患者報告数が五月二十六日以降十人未満にとどまっており、六月三日を最後に新規患者の報告がない等とされていることから、感染の拡大に一定の抑制が見られると考えられること、また、同市によれば、建物及び工事現場の隔離封鎖が同月五日に終了し、図書館や映画館も再開されつつある等とされていることから、市民生活の正常化に向けて段階的措置がとられていると考えられることを踏まえ、同月十日、これを削除し、危険情報を更新したものである。

四について

 在中華人民共和国日本国大使館(以下「在中国大使館」という。)においては、在留邦人に対する説明会の実施、在中国大使館のホームページへの掲載、緊急連絡網による連絡等を通じて、在留邦人及び旅行者に対しSARS関連情報を提供している。これらの情報には、在中国大使館において中国政府その他の関係機関、医療関係者等から収集した情報のほか、世界保健機関(以下「WHO」という。)から得た情報、外務省が発出する渡航情報、厚生労働省が講ずる各種措置に関する情報等が含まれている。

五について

 本年四月二十七日に日中友好病院が北京市におけるSARS治療専門病院に指定され、在留邦人を含め同病院の一般外来の受付が停止されたことを受け、同月三十日以降、在中国大使館は、在留邦人に対して、SARS以外の症状により受診する場合の医療機関を在中国大使館のホームページ等を通じて紹介してきている。

六について

 在中国大使館においては、医務官や領事部の担当職員により、SARSを含む医療関係の事項につき広く質問や相談に応じており、その旨をホームページ等を通じて紹介している。

七について

 外務省においては、これまで、在留邦人に対するSARS予防方法の説明、相談等のため、香港及び広州の総領事館に医師を出張させたところであるが、今後とも在留邦人の支援のため必要に応じて医療関係者の派遣を検討していく考えである。

八について

 外務省においては、中国政府奨学金による邦人留学生については、中国教育部に対し、当該邦人留学生が一時帰国した場合でも速やかに学業復帰ができるよう要請を行い、また、私費留学生については、個別具体的な支援依頼を受けて、各大学に対し、適宜要請を行っている。
 外務省が発出する渡航情報は、同省の所掌事務の一つである邦人保護を目的として、海外に渡航し、又は滞在する邦人が自らを守るために有益と考えられる情報を参考として提供するもので、法的拘束力をもって渡航を制限したり、又は退避を求めたりするものではなく、個々の渡航情報に基づきどのような行動をとるかは、個々の邦人又はその属する企業等の自主的な判断にゆだねられている。今般帰国された邦人留学生について、一時帰国の結果学費が返還されなかったとしても、その費用を支援することは考えていない。

九について

 平成十三年十月に政府が策定した「対中国経済協力計画」においては、大気汚染を含む深刻な環境問題、感染症問題、貧困地域に対する保健分野など、中国における地球規模の問題への対処等を重点分野として取り上げている。政府としては、中国側に対して、同計画の内容及びその考え方を説明し、中国側も、同計画の内容を理解し、政府に対して同計画を踏まえた要請を行ってきているところである。政府としては、今後とも、同計画に沿って中国に対する政府開発援助の実施に努めていく考えである。
 また、SARSの感染例の公表等については、川口外務大臣が本年四月に中国を訪問した際、李肇星外交部長に対し、中国がWHO等を通じ関連情報を適時適切に提供することを強く期待する旨申し入れており、中国は、WHO等を通じて、関連情報を明らかにしてきているものと承知している。



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