答弁本文情報
平成十六年四月九日受領答弁第四九号
内閣衆質一五九第四九号
平成十六年四月九日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員照屋寛徳君提出普天間飛行場代替施設としての軍民共用空港の事業主体に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員照屋寛徳君提出普天間飛行場代替施設としての軍民共用空港の事業主体に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「軍民共用空港」は、法令上の用語ではなく、沖縄県知事が平成十一年十一月に示した「代替施設は、民間航空機が就航できる軍民共用空港とし、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものであること」との考え方を受け、「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(平成十一年十二月二十八日閣議決定。以下「政府方針」という。)において用いたものである。
すなわち、政府方針において、普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という。)については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)に基づき我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)の使用に供している普天間飛行場の「移設に伴う機能及び民間飛行場としての機能の双方の確保を図る」という意味で、「軍民共用空港を念頭に整備を図る」こととしたものである。
代替施設の建設については、民間飛行場としての機能にのみ供される施設の設置が予定されている区域(以下「民間区域」という。)を含め、防衛庁設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第五条第十九号及び第四十二条の規定に基づき防衛施設庁が行うこととしている。
お尋ねの「軍民共用空港の設置・管理者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、代替施設の建設に当たり必要とされる環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)、公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)等の定める手続については、防衛施設庁が行うこととしている。
また、代替施設の管理の在り方については、今後、関係機関と協議を行いつつ検討することとしている。
防衛施設庁は、防衛庁設置法第四十二条において、同法第五条第十九号に掲げる事務をつかさどるとされ、同号の掲げる事務については、「条約に基づいて日本国にある外国軍隊(以下この条において「駐留軍」という。)の使用に供する施設及び区域の決定、取得及び提供並びに駐留軍に提供した施設及び区域の使用条件の変更及び返還に関すること」と規定されているところ、その範囲については、同号に規定する施設及び区域の「決定、取得及び提供」そのものではなくとも、これらの遂行に密接なかかわりのある事務も同号の事務の範囲に含まれるものと解している。
民間区域は合衆国軍隊の使用に供する施設及び区域そのものではないが、一についてで述べた沖縄県知事の考え方を受けて軍民共用空港を念頭に整備を図ることとしたという経緯を踏まえれば、代替施設の建設においては民間区域の建設が不可欠の前提となっていると認められ、民間区域も含め代替施設全体が不可分一体のものとして扱われるものであることから、民間区域の建設についても同号の事務に含まれるものと考えている。
お尋ねの「共同使用」がどのような使用形態のものを指すのか必ずしも明らかではないが、現在、日米地位協定第二条1に基づき我が国がアメリカ合衆国に提供している施設及び区域のうち合衆国軍隊の航空機が配備されている飛行場で我が国の民間航空機の定期便(以下「民間定期便」という。)が乗り入れているものを指すとすれば、これに該当するのは、三沢飛行場である。
三沢飛行場については、日米地位協定を実施するため、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律(昭和二十七年法律第百十号)、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律(昭和二十七年法律第二百三十二号。以下「特例法」という。)等が適用される。
三沢飛行場は空港整備法(昭和三十一年法律第八十号)に基づく空港として指定されておらず、また、特例法第一項の規定に基づき航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第三十八条第一項の規定は適用されないので、お尋ねの「設置・管理者」とは、これらの法律にいう「設置」及び「管理」ではなく、一般的な意味で同飛行場を設置し管理している者を問うものであると解してお答えすると、同飛行場の施設については政府が設置し、合衆国軍隊が日米地位協定第三条に基づき管理しており、また、民間定期便が同飛行場に乗り入れるため使用されている右施設以外のエプロン、航空旅客ターミナル等については国土交通省東京航空局及び民間事業者が設置及び管理を行っている。
代替施設については、日米地位協定に基づき合衆国軍隊の使用に供され、民間航空機が乗り入れることができるという点においては、四についてで述べた三沢飛行場と同様のものとなると考えている。
代替施設を空港整備法に基づく空港として指定し、整備することは考えていない。
代替施設のうち、合衆国軍隊の使用に供する区域については特例法第一項の規定に基づき航空法第三十八条第一項の規定は適用されず、また、民間区域についてもそれのみでは飛行場としての機能を有しないものが予定されていることから同規定は適用されないと解している。
代替施設の管理及び運営の在り方、代替施設に設置される個々の施設に対する関係法令の具体的な適用等に係るその他のお尋ねについては、今後関係機関と協議しつつ検討することとしているため、お答えする段階にはない。