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平成十六年六月二十九日受領
答弁第一五七号

  内閣衆質一五九第一五七号
  平成十六年六月二十九日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員平岡秀夫君提出我が国の多国籍軍への参加についての政府見解に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員平岡秀夫君提出我が国の多国籍軍への参加についての政府見解に関する質問に対する答弁書



一及び四について

 いわゆる多国籍軍には、平成二年のいわゆる湾岸多国籍軍のように武力の行使自体をその目的・任務とするものだけではなく、様々な類型のものが考えられ、現に多様なものが現れているところであり、個々の事例によりその目的・任務が異なるので、自衛隊がその中で活動することの可否について一律に論ずることはできないと考えており、関連する国際連合安全保障理事会の決議、当該多国籍軍の目的・任務、編成など具体的な事実関係に沿って、我が国として憲法の禁ずる武力の行使を行わず、また、我が国の活動が他国の武力の行使と一体化しないことがいかに確保されるかということを基本として、その中で活動することができるかどうかを検討すべきものであると考える。
 ところで、政府がかねてより憲法上許されないと述べてきたいわゆる多国籍軍への「参加」とは、当該多国籍軍の司令官の指揮下に入り、その一員として行動することという限定された意味でのものであり、このような意味における「参加」が許されないと述べたのは、その目的・任務が武力の行使を伴う多国籍軍に右のような形態で「参加」すると、自衛隊の活動が武力の行使に及んだり他国の武力の行使と一体化することがないという前提を確保することが困難であると考えてきたためである。
 他方で、自衛隊の活動が武力の行使に及んだり他国の武力の行使と一体化することがないという前提を確保することが可能であれば、自衛隊がいわゆる多国籍軍の中で活動することは許されないわけではないと考えており、御指摘の秋山内閣法制局長官の答弁は、右のような考えに基づく当てはめの一例として、この答弁に示されているような類型の多国籍軍ができ、右に述べた前提が確保される場合には、自衛隊がその中で活動をすることも憲法上許されないわけではない旨を述べたものである。
 なお、今般、自衛隊は、国際連合安全保障理事会決議第千五百四十六号を受け、同決議に規定される多国籍軍の中でイラクにおける活動を継続することとしたが、これは、引き続き、我が国の主体的な判断の下に、我が国の指揮に従い、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク人道復興支援特措法」という。)及びその第四条に規定する基本計画に基づき人道復興支援活動等を行うものであって、当該多国籍軍の司令部の指揮下に入るものではない。

二について

 いわゆる「他国の武力の行使との一体化」の考え方とは、仮に自らは直接武力の行使をしていないとしても、他国が行う武力の行使への関与の密接性等から、我が国も武力の行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るとするものであり、他国の武力の行使に関連する我が国の活動が、当該他国の武力の行使と一体化するかどうかについては、一般に、我が国の活動の具体的内容等諸般の事情を総合的に勘案し、事態に即して判断すべきものであるが、一定の条件の下で、他国による武力の行使と一体化しない活動も存在し、例えば、イラク人道復興支援特措法等においては、我が国の活動をそれ自体は武力の行使ではないものに限定し、「現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。(略))が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域に限って実施することとするなど、我が国の活動が他国の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みを採用してきたところである。
 したがって、これらの法律を運用する場合に、当該法律の規定する要件を我が国が主体的に遵守し得ること、言い換えれば、当該法律の適正な執行が担保されていることが、とりもなおさず、活動の期間を通じて「他国の武力の行使と一体化しないことが確保される」ことになると考える。

三について

 お尋ねの参加が、いわゆる多国籍軍への自衛隊の関与の在り方としてどのようなものを想定しているのかは明らかではないが、自衛隊がある特定の多国籍軍の中で活動するために国会の承認を要するか否かについては、自衛隊が当該活動を実施する根拠となる法律の内容いかんによることとなると考える。



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