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平成十六年八月十一日受領
答弁第三九号

  内閣衆質一六〇第三九号
  平成十六年八月十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員山井和則君提出医療的生活援助行為に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出医療的生活援助行為に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの行為が「医師の医学的な判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為」に該当するか否か、また、該当する場合の具体的な危険性及びその根拠については、個々の事例に即して判断されるべきものであり、個別にお示しすることは困難である。

二について

 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十七条は医師でない者が医業をなすことを禁止しているが、ここにいう「医業」とは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある「医行為」を反復継続する意思をもって行うことであると解しているところであり、お尋ねの行為が業として行われる「医行為」である場合には、例外的な場合を除き、介護職員は医師等と連携をとる場合であっても当該行為を行うことは許されていないものと考えている。

三について

 自動血圧測定装置を使用した血圧測定については、比較的正確な測定値を容易に得ることが可能となっており、こうした機器を利用して血圧を測定する行為自体は、非医療従事者でも行うことが可能である。ただし、自動血圧測定装置を使用して得られた血圧値を基に、診断を行うことは「医行為」に該当し、これを業として行う場合は医師による必要があるものと考えている。

四について

 医師法第十七条は公衆衛生上の危険を防止することを目的とした規定であるが、婚姻関係又は血縁関係を基礎とする家族という特別な関係にある者の間で「医行為」が行われる場合は、家族という特別な関係にない介護職員により業として「医行為」が行われる場合とは異なるものと考えている。

五について

 在宅筋萎縮性側索硬化症患者の喀痰吸引については、その危険性を考慮すれば、医師又は看護職員が行うことが原則であるが、筋萎縮性側索硬化症患者の在宅療養の現状にかんがみれば、在宅筋萎縮性側索硬化症患者に対する家族以外の者による喀痰吸引の実施について、「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」(平成十五年七月十七日付け医政発第〇七一七〇〇一号厚生労働省医政局長通知)で示した一定の場合には、当面のやむを得ない措置として認められるものと考えている。

六について

 患者の状況は疾病等により異なるものであり家族以外の者が喀痰吸引を筋萎縮性側索硬化症患者以外の者に行うことが認められるか否かについては、個々の事例に即して判断する必要があるため、お答えすることは困難である。

七について

 「介護サービス施設・事業所調査」(厚生労働省大臣官房統計情報部調べ)によれば、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第二十一項に規定する介護老人福祉施設(特別養護老人ホームであって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、日常生活上の世話、機能訓練等を行うことを目的とする施設をいう。)の平成十三年九月末の在所者数三十万九千七百四十人のうち、同月中に喀痰吸引の処置を受けた者の推計数は一万六百五十六人であり、このうち、在所施設内で喀痰吸引の処置を受けた者の推計数は九千四百六十八人である。



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