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平成十六年八月十一日受領
答弁第四一号

  内閣衆質一六〇第四一号
  平成十六年八月十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員佐藤謙一郎君提出高速横浜環状道路南線に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員佐藤謙一郎君提出高速横浜環状道路南線に関する質問に対する答弁書



一について

 プルーム式及びパフ式は、特異な地形や気象などの条件下でない限り、地域特性等を考慮した係数を適切に設定することにより、地形条件も考慮した大気汚染の影響を予測することができる一般的な手法である。
 高速横浜環状南線においては、国土交通省関東地方整備局(旧建設省関東地方建設局。以下「関東地方整備局」という。)が、平成七年十二月五日から平成八年十二月四日までの間、公田、神戸橋及び田谷の三地区において気象調査を実施しており、当該調査の分析結果においては、谷部に位置する公田及び神戸橋の二地区と比較的平坦な地形に位置する田谷地区とで風向・風速及び逆転層の状況に関して同様の傾向が観測され、公田及び神戸橋の二地区に特有の気象状況が存在するとは考えられないことから、当該路線の環境影響評価にプルーム式及びパフ式を適用することは問題ないと考えている。

二の1の@について

 高速横浜環状南線の環境影響評価(以下「本件環境影響評価」という。)については、神奈川県において、「環境影響評価の実施について」(昭和五十九年八月二十八日閣議決定)、「建設省所管ダム、放水路及び道路事業環境影響評価技術指針について」(昭和六十年九月二十六日付け建設事務次官通達)、「神奈川県環境影響評価条例」(昭和五十五年条例第三十六号)、「神奈川県環境影響評価技術指針」(昭和五十六年告示第三百十二号)及び「横浜市環境影響評価指導指針」(昭和五十五年一月十四日横浜市公害対策局作成)に基づき行われており、二酸化窒素の予測については、一についてで述べたとおり、プルーム式及びパフ式を用いて適切な手法で実施されたものと承知している。

二の1のAについて

 関東地方整備局において、今後、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第六条第一項の規定に基づき定められた「国土交通省政策評価基本計画」(平成十六年七月三十日国土交通省省議決定)のYの3で定める個別公共事業の再評価(以下「再評価」という。)を実施するに当たり、二酸化窒素について、最新のデータ及び予測手法を用いて、環境影響の照査を行う予定である。

二の1のBについて

 二の1のAについてで述べた環境影響の照査を行う際には、二酸化窒素に係る環境影響を評価するために必要な情報を適切かつ効果的に把握できる地点において予測を行う予定である。

二の2の@について

 御指摘の公田インターチェンジから西ヶ谷までのトンネル(以下「本件トンネル」という。)の区間について、埋立土層等と本件トンネルとの位置関係については、本件環境影響評価に係る環境影響評価書の縦断図にその位置関係が表現されており、これにより把握が可能と考えている。
 また、本件トンネルの区間の地盤沈下の影響及びその対策方法については、本件環境影響評価において評価がなされていると承知している。

二の2のA及びBについて

 本件トンネルにおける地盤沈下の影響及びその対策方法については、本件環境影響評価において、その対策工法として「山岳トンネル構造の施工にあたっては、地山に密着した支保(吹付けコンクリート等)を施工し、背面の空隙を無くすとともに、必要に応じて縦縫地工法等の地山補強工法を採用することから沈下は最小限に抑えられ、周辺に対する影響は小さいものと考えられる。」とされている。本件トンネルの事業者である日本道路公団において、本件環境影響評価の方針に基づき適切な工法の検討を行い、本件トンネルの施工による地山の緩みや地下水位の低下による周辺への影響をできる限り小さくするための工法を採用するものと考えている。

二の2のCについて

 本件トンネルの東坑口付近における地下水位等の地盤調査については、関東地方整備局横浜国道事務所において、平成八年度に実施したものである。
 当該地区は主に掘割構造であり、本件環境影響評価では、掘割構造部の「施工にあたっては、土留め壁からの地下水位の漏水を最小限に抑えるため、地下連続壁工法に代表される止水性の高い工法を採用することにより、周辺に対する影響は小さいものと予測される。」とされており、日本道路公団において、本件環境影響評価の方針に基づき止水性の高い工法について検討を行い、周辺に対する影響ができる限り小さくするための工法を採用するものと考えている。

二の2のDについて

 本件環境影響評価においては、地盤沈下について環境保全目標を達成できると評価されているものと承知しており、本件環境影響評価は適切なものであると考えている。なお、日本道路公団において、必要に応じて地下水等に関する調査を行うとともに、その調査結果の説明を行い、適切な事業実施に努めるものと考えている。

二の3について

 お尋ねの振動の環境予測のやり直しが必要と考えるトンネルとは、開削トンネル部のことを指すものと思われるが、本件環境影響評価において、供用中の開削トンネル構造上部における現地調査結果を示しており、その振動レベルが最大で三十九デシベルから四十四デシベル程度であったため、トンネル部による影響はほとんどないと考えられることから、開削トンネル部の予測評価は、実施する必要がないものとされていると承知している。

二の4について

 本件環境影響評価において、低周波空気振動の予測については、環境保全目標を達成できると評価されているものと承知している。
 また、関東地方整備局において、今後、再評価を実施するに当たり、低周波空気振動についても実態の把握に努めるとともに、最新のデータ及び予測手法を用いて、環境影響の照査を行う予定である。

二の5について

 本件環境影響評価においては、大気中に浮遊する粒子状物質(以下「SPM」という。)は環境影響評価の項目とされていなかったが、その後、関東地方整備局において、「横浜市環境影響評価条例」(平成十年条例第四十一号)及び「横浜市環境影響評価技術指針」(平成十一年七月二十三日横浜市作成)に基づき、平成十二年三月に「高速横浜環状南線〔金沢区釜利谷町〜戸塚区汲沢町(横浜市域)〕事後調査計画書」を策定し、SPMについても事後調査を実施することとしている。
 また、関東地方整備局において、今後、再評価を実施するに当たり、SPMについても実態の把握に努めるとともに、最新のデータ及び予測手法を用いて、環境影響の照査を行う予定である。

二の6について

 本件環境影響評価において、騒音の予測については、必要な環境保全対策を実施することにより、環境保全目標を達成できると評価されていると承知している。
 また、関東地方整備局において、今後、再評価を実施するに当たり、騒音についても実態の把握に努めるとともに、最新のデータ及び予測手法を用いて、環境影響の照査を行う予定である。

二の7について

 都市計画道路上郷公田線については、横浜市において、「横浜市環境影響評価指導指針」に規定する開発事業に該当しないことから、環境影響評価は行われていないものと承知している。

二の8について

 本件環境影響評価については、大気汚染、地盤沈下、振動、低周波空気振動及び騒音等について環境保全目標を達成できると評価されているものと承知しており、本件環境影響評価は適切なものと考えている。

二の9について

 二の4について、二の5について及び二の6についてで述べた環境影響の照査については、再評価の資料と併せて公表する予定である。

三の1について

 模型実験については、「環境影響評価法第四条第九項の規定による主務大臣及び建設大臣が定めるべき基準並びに同法第十一条第三項及び第十二条第二項の規定による主務大臣が定めるべき指針に関する基本的事項」(平成九年環境庁告示第八十七号)において、環境影響の予測の一般的な方法として例示されており、関東地方整備局横浜国道事務所が行った御指摘の風洞実験についても適切な方法であったものと考えている。

三の2について

 大気質の予測に用いられる排出係数は、自動車の車種別に、速度変化を伴う走行試験の結果から、その平均走行速度と排出量との関係として算定されるものであり、加速や減速に伴う排出量の変化が考慮されたものである。

四の1について

 再評価に当たっては、その実施主体の長は、学識経験者等の第三者から構成される事業評価監視委員会(以下「監視委員会」という。)を設置して意見を聴き、その意見を尊重することとしている。また、監視委員会では、再評価の実施主体が作成した対応方針について審議を行い、不適切な点又は改善すべき点があると認めたときは、実施主体の長に対して意見の具申を行うこととしている。再評価において、住民からの意見を直接的に取り入れることとはされていないが、事業の実施に当たって、設計・用地説明、用地補償説明等を通じて、適切な事業説明が実施されるべきものと考えている。高速横浜環状南線においても、設計・用地説明などの説明会を行うほか、地元自治会との話合いを行うなど、住民からの意見を収集し、その反映に努めているところであり、引き続き、各種説明会等を通じて、住民等からの理解を得つつ、事業を実施してまいりたい。

四の2について

 御指摘の「総合評価表」とは、国土交通省の公共事業評価システム研究会において提案のあった「評価結果総括表」のことを指すものと思われるが、これは、公共事業の総合評価手法の一つの考え方として示された、公共事業の効果を数値化してこれらを総合化する評価の方法であり、今後多くの試行を通じて、より適切な方法に改善されるべきものであるとされている。
 道路事業における総合評価手法の導入については、現在、道路事業評価手法検討委員会(以下「検討委員会」という。)において議論されているところであるが、多様な道路整備の効果について数値化することやこれらの数値を総合化することなど、多くの技術的な課題があり、結論には至っていない。
 なお、国土交通省河川局所管事業における総合評価手法の導入についても、現在、河川事業の評価手法に関する研究会等において議論されているところであるが、道路事業と同様に多くの技術的な課題が提起されており、結論には至っていない。

四の3について

 高速横浜環状南線の再評価への総合評価手法の適用については、検討委員会における検討結果を踏まえ、判断したいと考えている。

四の4について

 監視委員会の審議については、審議方法を工夫すること等により、監視委員会の本来の機能を遂行できる状況にあると考えている。

五の1及び2について

 高速横浜環状南線については、平成二年八月以降、可能な限り、関係住民等の意向を把握し、これらの者の理解が得られるよう、事前説明会、都市計画の案に関する説明会及び公聴会、本件環境影響評価に関する説明会等が開催された上で都市計画決定されたものと承知している。また、都市計画決定後も、関東地方整備局及び日本道路公団においては、各種説明会の開催等を行ってきたところである。

五の3について

 高速横浜環状南線については、環境影響評価を適切に実施し、その後も補足的な調査を実施するなど周辺の環境保全に配慮して事業を進めているところであり、また、再評価も実施することとしている。これらにより周辺の環境保全が図られるものと考えており、今後とも都市計画に基づき適切に事業を実施していくこととしている。

五の4について

 高速横浜環状南線の釜利谷地区については、近郊緑地保全区域又は近郊緑地特別保全地区に含まれることから、首都圏近郊緑地保全法(昭和四十一年法律第百一号)等の法令を遵守した上で適切に事業を実施している。

六の1及び2について

 御指摘の四千三百億円は、現在までの事業進捗を踏まえ、総事業費を試算として整理したものであり、その主な増加理由としては、事業の進捗に伴う設計や用地調査結果等の精度の向上などが考えられる。

六の3について

 高速横浜環状南線については、再評価を通じて、総事業費及びその妥当性並びに費用便益性を客観的に評価し、公表することを考えている。なお、有料道路事業としての採算性については、建設大臣(当時)が有料道路事業を許可する際に、道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第三条第二項に基づき、日本道路公団から提出される申請書に記載された収支予算の明細等により適正であることを確認している。



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