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平成十六年十二月十四日受領
答弁第四一号

  内閣衆質一六一第四一号
  平成十六年十二月十四日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員佐藤謙一郎君提出高速横浜環状道路南線に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員佐藤謙一郎君提出高速横浜環状道路南線に関する質問に対する答弁書



一―1について

 プルーム式及びパフ式は、特異な地形や気象などの条件下でない限り、地域特性等を考慮した係数を適切に設定することにより、地形条件も考慮した大気汚染の影響を予測することができる一般的な手法であり、その有効性は多くの実験検証により立証されているものと考えている。

一―2―@について

 先の答弁書(平成十六年八月十一日内閣衆質一六〇第四一号。以下「先の答弁書」という。)一についてで述べたとおり、建設省関東地方建設局(現在の国土交通省関東地方整備局。以下「関東地方整備局」という。)が、平成七年十二月五日から平成八年十二月四日までの間、高速横浜環状南線の公田、神戸橋及び田谷の三地区において実施した気象調査(以下「本件気象調査」という。)の分析結果においては、谷部に位置する公田及び神戸橋の二地区と比較的平坦な地形に位置する田谷地区とで風向・風速及び逆転層の状況に関して同様の傾向が観測され、公田及び神戸橋の二地区に特有の気象状況が存在するとは考えられないことから、当該路線の環境影響評価にプルーム式及びパフ式を適用することは問題ないと考えている。

一―2―Aについて

 プルーム式及びパフ式は、大気拡散現象を説明する移流拡散方程式から理論的に導かれた予測式であって、その有効性は多くの実験検証により立証されているものと考えている。

一―2―Bについて

 プルーム式では、煙流の中心軸が地表面と平行になると考えられるため、地形の凸凹により排出源と予測点の地盤高が異なる場合であっても、予測点の地表面からの高さを変数として用いることによって適切に予測を行うことが可能であると考えている。

一―2―Cについて

 一―2―Aについてで述べたとおり、プルーム式及びパフ式は、大気拡散現象を説明する移流拡散方程式から理論的に導かれた予測式であって、その有効性は多くの実験検証により立証されているものと考えている。

一―3について

 お尋ねの「自主環境アセス」については、入力パラメータ等の条件設定の詳細が不明であり、その予測結果について判断することはできない。
 先の答弁書二の1の@についてで述べたとおり、神奈川県において実施された高速横浜環状南線の環境影響評価(以下「本件環境影響評価」という。)は、「建設省所管ダム、放水路及び道路事業環境影響評価技術指針について」(昭和六十年九月二十六日付け建設事務次官通達。以下「技術指針」という。)等に基づき行われており、二酸化窒素の予測については、一―2―@についてで述べたとおり、プルーム式及びパフ式を用いて適切な手法で実施されたものと承知している。

二―1―@について

 一―3についてで述べたとおり、本件環境影響評価における二酸化窒素の予測については、技術指針等に基づき、適切に実施されたと考えている。
 また、関東地方整備局において、今後、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第六条第一項の規定に基づき定められた「国土交通省政策評価基本計画」(平成十六年七月三十日国土交通省省議決定)のYの3で定める個別公共事業の再評価(以下「再評価」という。)を実施するに当たり、二酸化窒素についても、最新のデータ及び予測手法を用いて、環境影響の照査を行う予定である。

二―1―Aについて

 一―2―@についてで述べたとおり、本件気象調査の分析結果においては、谷部に位置する公田及び神戸橋の二地区と比較的平坦な地形に位置する田谷地区とで風向・風速及び逆転層の状況に関して同様の傾向が観測され、公田及び神戸橋の二地区に特有の気象状況が存在するとは考えられない。
 また、本件気象調査の分析結果については、平成九年六月五日に公表されている。

二―1―Bについて

 関東地方整備局において、二酸化窒素に係る環境影響の照査を行う際には、道路構造及び交通条件が変化するごとに区間を分割し、その区間において、地域を代表する地点、特に二酸化窒素の影響を受けるおそれがある地点及び住居等の環境を保全すべき対象等への影響を的確に把握できる地点において、二酸化窒素の予測を行う予定である。

二―2―@の(イ)について

 公田インタ―チェンジから西ケ谷までのトンネル(以下「本件トンネル」という。)と埋立土層等との位置関係については、本件環境影響評価に係る環境影響評価書の縦断図に表現されており、これにより把握が可能と考えているが、本件トンネルの事業者である日本道路公団において、必要に応じて関係住民に対して説明を行うなどにより、適切な事業実施が図られるものと考えている。

二―2―@の(ロ)について

 本件トンネルの区間における地盤沈下の対策方法については、本件トンネルの事業者である日本道路公団において、本件環境影響評価の方針に基づき適切な工法の検討を行い、本件トンネルの施工による地山の緩みや地下水位の低下による周辺への影響をできる限り小さくするための工法を採用するものと考えているが、その際には、工法の内容等について必要に応じて関係住民に対して説明を行うなどにより、適切な事業実施が図られるものと考えている。

二―2―Aの(イ)から(ヘ)までについて

 二―2―@の(ロ)についてで述べたとおり、本件トンネルの区間における地盤沈下の対策方法については、本件トンネルの事業者である日本道路公団において、本件環境影響評価の方針に基づき適切な工法の検討を行い、本件トンネルの施工による地山の緩みや地下水位の低下による周辺への影響をできる限り小さくするための工法を採用するものと考えているが、その際には、工法の内容等について必要に応じて関係住民に対して説明を行うなどにより、適切な事業実施が図られるものと考えている。

二―2―Bの(イ)について

 御指摘のボ―リング調査は、関東地方整備局横浜国道事務所において実施したものであるが、その関係文書については、本件トンネルの事業者である日本道路公団に引き継がれ、現在、日本道路公団において保存されている。日本道路公団においては、当該調査の結果について必要に応じて関係住民に対して説明を行うなどにより、適切な事業実施が図られるものと考えている。

二―2―Bの(ロ)について

 御指摘の地質・地下水の調査については、関東地方整備局横浜国道事務所において平成八年度に実施しているが、その関係文書については、本件トンネルの事業者である日本道路公団に引き継がれ、現在、日本道路公団において保存されている。日本道路公団においては、当該調査の結果について必要に応じて関係住民に対して説明を行うなどにより、適切な事業実施が図られるものと考えている。

二―2―Bの(ハ)から(ヘ)までについて

 本件トンネルの区間における地盤沈下の対策の工法については、本件トンネルの事業者である日本道路公団において検討中であると聞いている。日本道路公団においては、その検討結果等について必要に応じて関係住民に対して説明を行うなどにより、適切な事業実施が図られるものと考えている。

二―2―Cについて

 本件環境影響評価において、地盤沈下の予測評価については、技術指針等に基づき、適切に実施されたと考えている。なお、本件トンネルの事業者である日本道路公団において、必要に応じて地下水等に関する調査を行うとともに、その調査結果について必要に応じて関係住民に対して説明を行うなどにより、適切な事業実施が図られるものと考えている。

二―3―@及びAについて

 本件環境影響評価においては、トンネル部の振動の予測については、供用中のトンネルのうち開削構造でかつ土被りが約一メートルと浅いトンネルの区間の上部における現地調査結果を示しており、その振動レベルが最大で三十九デシベルから四十四デシベル程度であったため、高速横浜環状南線のトンネルによる振動の影響はほとんどないと考えられることから、トンネル部の振動の予測は実施する必要がないものとされていると承知している。
 また、都市計画道路上郷公田線については、横浜市において、「横浜市環境影響評価指導指針」(昭和五十五年一月十四日横浜市公害対策局作成)に規定する開発事業に該当しないことから、環境影響評価は行われていないが、事業者である横浜市において、周辺環境への影響に配慮しながら、適切に事業が実施されるものと承知している。

二―4について

 本件環境影響評価において、低周波空気振動に係る予測評価については、高速横浜環状南線の近傍に位置する主要地方道原宿六ツ浦線の笠間大橋を対象として、平成元年五月に現地調査を実施し、その結果が、「低周波空気振動調査報告書」(昭和五十九年十二月環境庁大気保全局作成)で示された市街地等で多様に存在する音圧レベルの範囲内となっていることから、環境保全目標を達成できると評価されているものと承知している。
 また、関東地方整備局において、今後、再評価を実施するに当たり、低周波空気振動についても、実態の把握に努めるとともに、最新のデータ及び予測手法を用いて、環境影響の照査を行う予定である。

二―5について

 本件環境影響評価において、騒音の予測については、技術指針等に基づき、適切に実施されたと考えている。
 また、関東地方整備局において、今後、再評価を実施するに当たり、騒音についても、実態の把握に努めるとともに、最新のデータ及び予測手法を用いて、環境影響の照査を行う予定である。

二―6―@について

 二―3―@及びAについてで述べたとおり、都市計画道路上郷公田線については、横浜市において、「横浜市環境影響評価指導指針」に規定する開発事業に該当しないことから、環境影響評価は行われていないものと承知している。

二―6―Aについて

 二―6―@についてで述べたとおり、都市計画道路上郷公田線については、環境影響評価は行われていないが、事業者である横浜市において、周辺環境への影響に配慮しながら、適切に事業が実施されるものと承知している。

二―7―@について

 本件環境影響評価については、神奈川県において、技術指針等に基づき、適切に実施されたと考えており、高速横浜環状南線について、環境影響評価を再度行う必要はないと考えている。
 なお、事業者である関東地方整備局及び日本道路公団において、必要に応じて一層の環境保全対策について検討するとともに、その検討結果について必要に応じて関係住民に対して説明を行うなどにより、適切な事業実施が図られるものと考えている。

二―7―Aについて

 二―7―@についてで述べたとおり、本件環境影響評価については、神奈川県において、技術指針等に基づき、適切に実施されたと考えている。他方、関東地方整備局においては、今後、再評価を実施するに当たり、最新のデータ及び予測手法を用いた環境影響の照査を行うため、御指摘にある実態の把握に努めることとしているものであるが、このことが、本件環境影響評価が適切であるか否かの判断に影響を与えるものではないと考えている。

二―7―Bについて

 二―7―@についてで述べたとおり、本件環境影響評価については、御指摘の大気汚染、騒音及び低周波空気振動に係る予測評価を含め、神奈川県において、技術指針等に基づき、適切に実施されたと考えており、高速横浜環状南線について、環境影響評価を再度行う必要はないと考えている。

三―1について

 先の答弁書三の1についてで述べたとおり、模型実験については、「環境影響評価法第四条第九項の規定による主務大臣及び建設大臣が定めるべき基準並びに同法第十一条第三項及び第十二条第二項の規定による主務大臣が定めるべき指針に関する基本的事項」(平成九年環境庁告示第八十七号)において、環境影響の予測の一般的な方法として例示されており、関東地方整備局横浜国道事務所が行った御指摘の風洞実験についても適切な方法であったものと考えている。

三―2について

 先の答弁書三の2についてで述べたとおり、大気質の予測に用いられる排出係数は、自動車の車種別に、速度変化を伴う走行試験の結果から、その平均走行速度と排出量との関係として算定されるものであり、加速や減速に伴う排出量の変化が考慮されたものである。

四―1―@及びAについて

 再評価は、事業採択後一定期間を経過した後も未着工である事業、事業採択後長期間が経過している事業等を対象に、事業の必要性等に関する視点や事業の進捗の見込みの視点等から行われるものであり、その実施主体の長は、その実施に当たっては、学識経験者等から構成される事業評価監視委員会(以下「監視委員会」という。)を設置して意見を聴くこととされている。このような再評価の実施に当たっては、住民からの意見を直接的に取り入れることとはされていないが、個別事業の実施に当たって、事業者において、設計・用地説明、用地補償説明等を通じて、住民に対し適切な事業説明が実施されるべきものと考えている。

四―2及び3について

 先の答弁書四の2についてで述べたとおり、国土交通省の公共事業評価システム研究会において提案された「評価結果総括表」は、公共事業の総合評価手法の一つの考え方として示された、公共事業の効果を数値化してこれらを総合化する評価の方法であり、今後多くの試行を通じて、より適切な方法に改善されるべきものであるとされている。
 道路事業における総合評価手法の導入については、現在、道路事業評価手法検討委員会において議論されているところであるが、多様な道路整備の効果について数値化することやこれらの数値を総合化することなど、多くの技術的な課題があり、結論には至っていない。

四―4について

 先の答弁書四の4についてで述べたとおり、監視委員会については、審議方法を工夫すること等により、その本来の機能を遂行できる状況にあると考えている。
 また、御指摘の事例は、「審議方法を工夫すること」には当たらないと考えている。

四―5―@について

 御指摘の環境影響の照査を実施するに当たっては、その時点で知り得る最新の予測手法を用いることとしている。

四―5―Aについて

 二―7―@についてで述べたとおり、本件環境影響評価については、神奈川県において、技術指針等に基づき、適切に実施されたと考えており、高速横浜環状南線について、環境影響評価を再度行う必要はないと考えている。

四―5―Bについて

 お尋ねの「実態の把握」とは、現地調査及び既存文献調査を行うことである。
 高速横浜環状南線については、神奈川県により環境影響評価が適切に実施され、その後も事業者において補足的な調査を実施するなど周辺の環境保全に配慮して事業が進められているところであり、また、今後、関東地方整備局において再評価を実施するに当たり、最新のデータ及び予測手法を用いて環境影響の照査を行うこととしている。これらにより周辺の環境保全が図られるものと考えており、今後とも都市計画に基づき適切な事業実施が図られるものと考えている。

四―5―Cについて

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、先の答弁書二の5についてで述べた大気中に浮遊する粒子状物質(以下「SPM」という。)に係る事後調査は、本件環境影響評価において環境影響評価の項目とされていなかったSPMについて、関東地方整備局及び日本道路公団において、事業の施工中及び完了後の環境影響を把握するため、実施するものである。

四―5―Dについて

 お尋ねの件については、日本道路公団から説明を受けていない。

四―5―Eについて

 御指摘の環境影響の照査の結果については、再評価の資料と併せて公表する予定である。

五―1について

 高速横浜環状南線については、平成二年八月以降、可能な限り、関係住民等の意向の把握が図られるとともに、これらの者の理解が得られるよう、事前説明会、都市計画の案に関する説明会及び公聴会、本件環境影響評価に関する説明会等を開催した上で都市計画決定されたものである。また、都市計画決定後も、関東地方整備局及び日本道路公団においては、各種説明会の開催等を行ってきたところであり、今後とも、可能な限り、関係住民の意向の把握が図られるとともに、これらの者の理解が得られるよう、説明会の開催等を行いつつ、都市計画に基づき適切な事業の実施が図られるものと考えている。

五―2―@について

 お尋ねの「当該地域周辺の小中学校における異常に高いぜん息罹患率」と「周辺地域が地形による大気逆転層の影響を受け易い地域であること」との因果関係の有無については、不明である。

五―2―Aについて

 高速横浜環状南線については、神奈川県により環境影響評価が適切に実施され、その後も事業者において補足的な調査を実施するなど周辺の環境保全に配慮して事業が進められているところであり、また、今後、関東地方整備局において、再評価の実施に当たり最新のデータ及び予測手法を用いて環境影響の照査を行うこととしている。これらにより周辺の環境保全が図られるものと考えており、今後とも都市計画に基づき適切な事業実施が図られるものと考えている。

五―3について

 御指摘のトンネルとは「(仮称)釜利谷トンネル」を指すものと考えられるが、当該トンネルは、神戸橋側坑口からの排出ガス量の低減を図るために、排出ガスを釜利谷地区側に誘導する施設を設置できる構造となっている。当該トンネルの事業者である日本道路公団において、この排出ガスによる釜利谷地区への影響について必要に応じて検討し、適切な事業実施が図られるものと承知している。

六―1―@について

 お尋ねにある「確定した予算無しで本事業を進めているのか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の四千三百億円は、現在までの事業進捗を踏まえ、総事業費を試算として整理したものである。

六―1―Aについて

 お尋ねの総事業費の主な増加理由としては、事業の進捗に伴う設計、用地調査結果等の精度の向上による工事費の増加や用地補償費の増加等が挙げられる。

六―2―@について

 御指摘の総事業費及びその妥当性並びに費用便益性についての評価の結果については、再評価の資料と併せて公表する予定である。

六―2―Aについて

 有料道路事業に係る国土交通大臣の許可は、道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第三条第三項において、収支予算の明細など申請書に記載された事項が適正であると認められる場合に行うことができるものとされており、当該収支予算の明細及び右の申請書に対する許可書については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に基づき開示することが可能である。



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