答弁本文情報
平成十七年四月十五日受領答弁第四六号
内閣衆質一六二第四六号
平成十七年四月十五日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員松野頼久君提出「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物(オオクチバス)指定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松野頼久君提出「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物(オオクチバス)指定に関する質問に対する答弁書
一について
一月二十一日の記者会見における環境大臣の「オオクチバスを特定外来生物に指定すべき」という旨の発言は、オオクチバスが生態系へ及ぼす影響やオオクチバスが特定外来生物へ指定されることに伴う社会的経済的影響等について事務方から十分な説明を受けた上で、環境大臣として、必要なことを必要なときに指摘すべきとの考えに基づき行われたものである。
一月二十一日の記者会見における環境大臣の発言の中では、「本日また魚類の専門の方々がお集まりになる委員会がある。いろいろ政治的な判断などは、その後我々がするものであって、魚類の専門家の方は魚類の専門としての御意見を出していただければいいのではないか」という旨の発言をしているところであり、特定外来生物指定に係る専門家会合の審議に不当な影響を与えたものではない。
一月二十一日の魚類専門家会合における環境省自然環境局長の発言は、同日の環境大臣の発言を踏まえ、「担当の自然環境局としては、オオクチバスを特定外来生物に指定すべきという大臣の発言を前提に物事を考えたい。同時に今日これからしていただく御議論、それから三十一日の専門家の会合の御意見が重要であることは引き続き同じでありますので、闊達な御議論を是非お願いしたい」という旨を発言したものであり、専門家会合の審議に不当な影響を与えたものではない。
パブリックコメントとして寄せられた意見については、事務局及び専門家会合において、細かく内容の分析を行ったところである。寄せられた意見のうち、オオクチバスに係る科学的知見に係るものについては、これまでの専門家会合の検討過程において提起された内容であり、既にこの内容を検討した上で専門家会合の方針が決定されている。また、オオクチバスを特定外来生物に指定することによる社会的経済的影響に関する意見については、当該指定により釣りやいわゆるキャッチアンドリリースが禁止されるとの誤解に基づくものがあるなど、喫緊にオオクチバスを特定外来生物に指定する必要性を覆すものではない。さらに、今回の環境大臣の発言等による決め方に問題ありとする意見については、一についてから三についてまでで説明したとおりである。このため、専門家会合ではオオクチバスについて特定外来生物の第一次の指定対象に含めることが適切であるとの結論に至ったところであり、環境省としても、専門家会合の意見を踏まえて対応することとしている。本結論はパブリックコメントとして寄せられた意見を踏まえて出されたものであり、パブリックコメント手続の趣旨を否定するとの御指摘は当たらない。
オオクチバスについては、その生態系等に係る被害の状況を踏まえれば、その被害を防止することが喫緊の課題であり、第一次の特定外来生物の指定対象に含めることが適切であると考える。なお、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成十六年法律第七十八号)は、釣りそのもの及びいわゆるキャッチアンドリリースの行為を規制するものではない。
大韓民国では、環境省がオオクチバスの駆除を平成十六年から行っており、平成十七年二月までに約三万匹を駆除したと聞いている。その駆除のための予算額については承知していない。
平成十四年度に行われた「皇居外苑濠移入種対策」事業では、皇居外苑濠の一つである牛ヶ淵において投網等により平成十四年五月から十一月までの計十回、相当量のオオクチバスを駆除したところであるが、十一月以降は魚類の活性が鈍り深みに停滞することから、駆除を徹底するにはこれまでの漁具での捕獲は困難と判断し、掻い堀りを実施したところであり、この事実と環境大臣の発言は矛盾しない。
オオクチバスを含む魚類の生息実態については、自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第四条に基づく自然環境保全基礎調査のほか、地方公共団体等の取組の実態の調査、文献調査及び専門家に対して行ったヒアリングにより、その分布状況を把握している。また、オオクチバスによる魚類への影響に関しては、「皇居外苑濠移入種対策」事業の中で、オオクチバスの食性の調査を行っている。
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律及び同法に基づく特定外来生物被害防止基本方針は、お尋ねの釣りそのもの及びいわゆるキャッチアンドリリースの行為を規制するものではない。
環境省では、外来魚、マングース、アライグマ等の防除を実施するため「特定外来生物防除等推進事業」を講じており、平成十七年度の予算額は、二億四百万円となっている。また、水産庁では、都道府県や漁業協同組合が実施するオオクチバス等の防除や生息状況調査の取組に対し、財政支援を行っているところである。今後の防除の取組については、関係省庁間で十分連携して進めていくこととしている。
環境省においては、八についてで述べたとおりであり、オオクチバスの分布状況は把握しているが、全国規模での生息数の増減については把握していない。
水産庁においては、外来魚に関する全国規模での生息調査は行っていない。