答弁本文情報
平成十七年五月十七日受領答弁第六〇号
内閣衆質一六二第六〇号
平成十七年五月十七日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員島聡君提出対日投資の促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員島聡君提出対日投資の促進に関する質問に対する答弁書
一について
平成十五年一月に小泉内閣総理大臣が表明した対日直接投資残高の倍増目標は、当時入手可能であった直近の統計である財務省作成の「本邦対外資産負債残高統計」(平成十四年五月二十四日公表)に基づき、平成十三年末の対日直接投資残高の六・六兆円を基点とし、平成十八年末までの五年間でその倍増を目指すものである。政府は、この目標の達成に向けて、七十四の具体的な施策からなる「対日投資促進プログラム」(平成十五年三月二十七日)を策定し、その着実な実施に努めており、最新の「本邦対外資産負債残高統計」(平成十六年五月二十一日公表)によれば、平成十五年末の対日直接投資残高は、九・六兆円となり、二年間で対日直接投資残高が約一・五倍に増加したところである。政府としては、引き続き、同プログラムを着実に実施すること等により、対日直接投資の促進に努めてまいりたい。
第百六十二回国会に提出した会社法案においては、吸収合併等の場合に、消滅会社の株主等に対して、存続会社等となる会社の株式のみならず金銭その他の財産を交付することをも認め、いわゆる合併等対価の柔軟化を実現することを盛り込んでいる。これにより、外国企業が、その株式を合併の対価として、我が国における子会社を通じて、日本企業といわゆる三角合併等をすることも可能となると考えている。会社法案は、いわゆる合併等対価の柔軟化を実現することによって、外国企業による対日直接投資の手段を多様化することに資するものであって、外資への規制強化を行うものではないから、会社法案のうちいわゆる合併等対価の柔軟化に関する部分をその余の部分の施行の一年後に施行することとしても、御指摘の公約に矛盾するものであるとは考えていない。
また、放送は、有限希少な国民的財産である公共の電波を排他的に使用して行うものであり、国の政治、文化、社会等に多大な影響を与えるメディアであるという観点から、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)制定当時から放送局に対する外資規制は行われてきたものである。第百六十二回国会に提出した電波法及び放送法の一部を改正する法律案は、最近における放送事業をめぐる対日直接投資の増大等社会経済情勢の変化を背景として、これに的確に対応し、現行の放送に係る外資規制の実効性を確保しようとするものであり、これが御指摘の公約に矛盾するものであるとは考えていない。
会社法案においては、二についてで述べたとおり、いわゆる三角合併等が許容されることとなっており、このいわゆる三角合併等に係る課税の繰延べについては、会社法案のうちいわゆる合併等対価の柔軟化に関する部分の施行までの間に、課税の公平・適正及び租税回避防止の観点も十分に踏まえ、検討してまいりたいと考えている。
我が国は、自然的条件から、災害が発生しやすい国土となっているが、防災体制の充実、国土保全事業の推進、気象観測施設・設備の充実等により、災害被害の軽減を図ってきており、我が国の防災に関する知識や技術については、本年一月に神戸で開催した国連防災世界会議等を通じ国際社会に対し積極的に周知に努めている。また、特に甚大な被害が予想される首都直下の地震については、中央防災会議首都直下地震対策専門調査会において検討を深め、今後、予防対策、災害発生時の応急対策及び復旧・復興対策を含む総合的な対策の大綱や、被害軽減量を数値目標として定めた地震防災戦略などを策定することとしており、これらの防災・減災対策についても積極的に周知していくこととしている。