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平成十七年十一月十八日受領
答弁第四三号

  内閣衆質一六三第四三号
  平成十七年十一月十八日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員川内博史君提出BSE問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川内博史君提出BSE問題に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 我が国においては、牛海綿状脳症(以下「BSE」という。)対策として、牛肉の安全性を確保する観点から、と畜場におけるBSEに係る検査及び異常プリオンたん白質の蓄積部位である特定危険部位(以下「SRM」という。)の除去を実施しているほか、BSEのまん延を防止する観点から、反すう動物に対する反すう動物由来たん白質を含む飼料の使用の規制措置並びに牛の個体の識別のための情報の適正な管理及び伝達に関する措置を実施している。今後とも、BSE対策について、科学的知見に基づき、所要の措置を講じてまいりたい。

一の(2)について

 BSEに係る検査については、米国ではBSEの高リスク牛を対象に実施されているが、我が国では、これに加え、と畜場に搬入される牛を対象に実施している。飼料規制については、我が国では、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和二十八年法律第三十五号)に基づく飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令(昭和五十一年農林省令第三十五号)において、ほ乳動物由来たん白質は家畜等を対象とする飼料に含んではならないこと等の基準を定め、こうした基準に合わない方法により飼料を製造し、又は使用すること等を禁止しているのに対し、米国では、原則としてほ乳動物由来たん白質を反すう動物に与えることを法律で禁止しているものの、ほ乳動物由来たん白質を反すう動物以外の動物に与えることは禁止していない。SRMの除去については、我が国ではすべての牛を対象としているが、米国では月齢三十月以上の牛を対象としている。我が国では、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(平成十五年法律第七十二号)に基づき、牛の個体の識別のための情報の適正な管理及び伝達に関する措置を講じているが、米国では、このような制度はない。
 このように我が国と米国のBSE対策には相違があるが、両国において、それぞれの国内におけるBSEの発生状況や畜産業の実情等を踏まえ適切と判断される措置を実施していると考えている。

二の(1)、(4)、(6)、(8)及び(12)並びに十について

 BSEに関する現在の米国の国内における規制及び平成十六年十月二十一日から二十三日までに開催された第四回日米局長級協議を踏まえ米国政府より提示された日本向け輸出プログラム案により管理された米国から輸入される牛肉及び牛の内臓(以下「牛肉等」という。)を食品として摂取する場合と我が国でとさつ解体して流通している牛肉等を食品として摂取する場合のBSEに関するリスクの同等性に係る食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価について、食品安全委員会が検討を行っているところであり、現時点において、米国産牛肉等の輸入を再開するか否か、また、再開する場合において当該牛肉等を食品として摂取するときのBSEに関するリスクについて、お答えすることはできない。

二の(2)、(3)、(5)、(7)、(9)及び(13)、三の(4)及び(5)並びに四の(3)について

 米国において、御指摘の、牛由来の肉骨粉、動物性油脂及び血漿たん白質を豚及び鶏に与えることは禁止されていないこと、養鶏残渣及び鶏ふんを牛に与えることは禁止されておらず、肉骨粉入りの飼料が混入している可能性があること、豚及び鶏に与えられた異常プリオンたん白質はふんとして排出され、それが牛に与えられる可能性があること、牛のSRM由来の肉骨粉及び動物性油脂が生産されていること、牛のSRM由来動物性油脂及び血漿たん白質を原材料とした飼料が牛に与えられる可能性があること、伝達性ミンク脳症及びシカの慢性消耗病の発生状況、それらの疾病に罹患したミンク及びシカがレンダリングされ、牛に飼料として与えられる可能性並びにシカの摂取歴のあるクロイツフェルト・ヤコブ病(以下「CJD」という。)患者が存在することについては、食品安全委員会プリオン専門調査会(以下「プリオン専門調査会」という。)において調査審議が行われている。また、プリオン専門調査会が取りまとめた「「米国・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性」に係る食品健康影響評価について(案)」(以下「評価結果案」という。)において、養鶏残渣、鶏ふん、牛のSRM由来の肉骨粉及び動物性油脂、伝達性ミンク脳症並びにシカの慢性消耗病のBSEリスクについて検討されたことが記述されている。
 御指摘の「たたき台の米国内での増幅リスク試算」については、交差汚染によるBSEの暴露・増幅のイメージを示すため、一つの例として記述されたものであり、評価結果案のBSEの暴露・増幅リスクシナリオ(モデル)において、感染価について、国際獣疫事務局の定める百三十三度、三気圧、二十分の処理を行ったものと仮定したものであること等の説明が明記されている。

二の(10)について

 我が国では、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律に基づく飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令において、ほ乳動物由来たん白質は家畜等を対象とする飼料に含んではならないこと等の基準を定め、こうした基準に合わない方法により製造された飼料等を販売の用に供するために輸入することを禁止している。

二の(11)について

 食品安全委員会の所掌事務は、食品安全基本法第二十三条第一項に規定されており、御指摘の国内家畜防疫の観点からのリスクの検討は、これに含まれないと考えている。

三の(1)について

 米国ニュージャージー州におけるCJD患者の集団発生として報道された事例については、平成十六年五月に米国疾病対策予防センターと同州保健当局が共同で作成した調査報告書等を入手し、当該報道に係る患者には変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(以下「vCJD」という。)の症例は見られなかったと報告されていることを承知している。
 米国アイダホ州におけるCJD患者の集団発生として報道された事例については、米国疾病対策予防センターが同州当局とともに調査中であると聞いている。

三の(2)について

 米国で平成十四年四月に確認された在米英国人のvCJD患者については、過去に献血を行ったことはないとの報告を米国疾病予防管理センターが行ったと承知している。その後、米国においてvCJD患者の新たな発生は確認されていない。
 現在、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に基づく製造販売の承認を受けている血液製剤(すべて国内における献血により得られた血液で製造されている輸血用血液製剤を除く。)については、その製造過程においてvCJDの病原体の除去に効果があるとされる様々な物理的化学的処理等の安全確保措置を講ずることとされているところである。仮に米国で新たなvCJD患者が発生した場合、当該患者の血液を原料とした血液製剤等が我が国に輸入されるリスクは明確ではないが、その時点の状況を総合的に判断し適切に対処してまいりたい。

三の(3)について

 米国プリオン病病理サーベイランスセンターが、プリオン病が疑われた二十六例のハンターを調査し、そのすべてが典型的な孤発性又は家族性のプリオン病の病像を呈していると公表していることを承知している。これらの症例はvCJDではないと考えられるが、シカ由来の感染性プリオン病かどうかは明確ではないと考えている。
 米国において、シカ肉(内臓、骨等を含む。)が混入したレンダリング製品の油脂及び肉エキスが直接人の食用となっているかについては承知していないが、米国産のシカ肉(内臓、骨等を含む。)並びに油脂及び肉エキスを含むその加工品については、シカの慢性消耗病の人への感染が科学的に否定されていないことを考慮し、「輸入鹿肉等の取扱いについて」(平成十四年十月二日付け食監発第一〇〇二〇〇二号医薬局食品保健部監視安全課長通知)により、平成十四年十月から輸入者等関係営業者に対し、輸入を自粛するよう指導を行っているところである。

三の(6)について

 現在、薬事法に基づく製造販売の承認を受けているヒト胎盤製剤(以下「プラセンタ」という。)で、米国を採取国又は原産国とするヒト胎盤を原料としたものはなく、また、人に由来するものを原料としたコラーゲンで同法に基づく承認を受けているものはないが、人に由来するものを原料としたプラセンタ、コラーゲン等について、個人輸入により米国から輸入されている事例があることは承知している。また、人に由来するものを原料とするプラセンタ、コラーゲン等の使用がvCJD患者の発生の原因となるとの科学的知見は得られていないことから、現時点においては、これらの使用者による献血は制限していない。
 人に由来するものを原料とする特定生物由来製品については、「人由来原材料を使用した医薬品、医療用具等の品質及び安全性の強化について」(平成十七年二月九日付け薬食発第〇二〇九〇〇三号厚生労働省医薬食品局長通知)により、vCJD患者が発生した国を採取国又は原産国とする人に由来するものを原料として使用してはならないことを関係事業者に対して指導しているところである。仮に米国で新たなvCJD患者が発生した場合、人に由来するものを原料とする特定生物由来製品を介して我が国でvCJD患者が発生するリスクは明確ではないが、その時点の状況を総合的に判断し適切に対処してまいりたい。

三の(7)について

 薬事法に基づく生物由来原料基準(平成十五年厚生労働省告示第二百十号)においては、米国産の反すう動物に由来する原材料を医薬品等に用いることは原則として認められていないが、治療上の効果が当該原材料を用いることによるリスクを上回る場合等には、その使用が認められているところである。御指摘の抗リウマチ薬エンブレル(以下「エタネルセプト製剤」という。)については、その製造工程において米国産の子牛の血清が原料として用いられていることから、そのリスク及び治療上の効果について十分な検討を行い、使用者が伝達性海綿状脳症に感染するリスクは極めて低い一方、エタネルセプト製剤は既存の治療では効果が不十分な関節リウマチ患者に用いられるものであることから、その治療上の効果はリスクを上回るものと判断し、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた上で、平成十七年一月十九日に薬事法に基づく輸入承認が行われた。このような事例は他にも存在するが、これらについては、輸入承認を受けた事業者に対して、BSEが発生していない国を原産国とする原料への速やかな切替え、切替えがなされるまでの間における使用者に対する情報提供等を指導しているところである。
 また、エタネルセプト製剤に係る輸入承認が行われた後、当該輸入承認を受けた事業者から、海外においてエタネルセプト製剤を投与中にCJDを発症した二症例についての報告があり、薬事・食品衛生審議会伝達性海綿状脳症対策調査会において検討を行ったところ、当該二症例がvCJD患者である可能性は非常に低く、国内での販売を見合わせる必要はないとの結論を得た。また、二症例のうち既に死亡している一症例については、脳の組織検査が行われたと承知している。

三の(8)について

 医療行為を介した異常プリオンたん白質の伝達の予防については、平成九年二月に「クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアル」を作成し、その中で基本的な留意点を示しているほか、平成十五年三月には、医療行為ごとにより詳細な留意点をまとめた「クロイツフェルト・ヤコブ病感染予防ガイドライン」を作成し、「医療機関におけるプリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病を含む)感染防止対策の推進について」(平成十六年九月十四日付け医政指発第〇九一四〇〇一号厚生労働省医政局指導課長・健疾発第〇九一四〇〇一号厚生労働省健康局疾病対策課長連名通知)等により同ガイドラインの周知徹底に努めているところである。
 また、血液製剤については、「血液製剤の使用指針及び輸血療法の実施に関する指針について」(平成十一年六月十日付け医薬発第七百十五号厚生省医薬安全局長通知)等により、血液製剤の一層の適正な使用の推進に努めているところである。

三の(9)について

 vCJDは、BSEに感染した牛の異常プリオンたん白質を経口摂取すること等によって感染すると考えられており、一の(1)についてで述べたとおり、今後とも、BSE対策について、科学的知見に基づき、所要の措置を講じてまいりたい。

四の(1)及び(2)について

 「BSE疫学検討チーム検討会開催要領」(平成十四年十一月十二日付け十四生畜第五千二百八十二号農林水産省生産局長通知)に基づき設置されたBSE疫学検討チームの検討結果を取りまとめた「牛海綿状脳症(BSE)の感染源及び感染経路の調査について」(以下「疫学検討チーム報告書」という。)においては、「動物性油脂を介した感染経路としては、代用乳の原料として添加されており、・・・これを感染経路として結びつけることは難しい面がある」とされているところであり、現時点においても、代用乳が我が国のBSEの感染経路であると断定することはできないと考えている。国内でBSEの感染が確認された牛の二十例のうち平成七年十二月から平成八年八月までの間に生まれた十三例が株式会社科学飼料研究所の高崎工場で生産された代用乳を摂取していたことは事実であるが、このことのみをもってBSEの病原となる異常プリオンたん白質が同工場で一定時期に製造された代用乳に存在したと断定することはできないと考えている。

四の(4)について

 疫学検討チーム報告書において仮定している一頭の牛を原料として製造される肉骨粉の重量、と畜獣の内臓脂肪から製造される動物性油脂の重量及び肉骨粉製造時に生産される動物性油脂の重量の積算根拠については、疫学検討チーム報告書の「4.2.5肉骨粉と動物性油脂の牛への換算式」において示されているとおりである。
 御指摘のプリオン専門調査会吉川座長の答弁は、疫学検討チーム報告書に記述された換算方法及び国際獣疫事務局の定めるイエローグリースの不溶性不純物含有率の基準を基にして述べたものであると承知している。
 また、我が国では、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律に基づく飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令において、動物性油脂の不溶性不純物の含有量は、〇・一五パーセント以下でなければならないことが定められており、この範囲内であれば動物性油脂の飼料としての使用が原因となってBSEに感染するリスクは低いものと考えている。

四の(5)について

 農林水産省においては、平成十七年度先端技術を活用した農林水産研究高度化事業に係る研究課題を公募したところ、吉川東京大学大学院教授から、「牛海綿状脳症(BSE)の感染源及び感染経路の調査について」との課題で応募があり、当該事業の応募要領で定められた審査基準に照らして審査したところ適当であると認められたため、採択したものである。この調査においては、これまでに国内でBSEの感染が確認された牛の二十の事例を調査することとされており、BSEの感染源及び感染経路を特定する上で有意義なものであると考えている。

五の(1)及び(3)について

 御指摘の唐木専門委員は、食品安全委員会及びプリオン専門調査会における米国産牛肉等に関する食品健康影響評価に係る調査審議には加わっていない。このため、唐木専門委員の御指摘の活動によって食品安全委員会における当該調査審議の中立性及び公正性が損なわれたことはないと考えている。
 平成十七年十月十二日に、寺田食品安全委員会委員長から唐木専門委員に対し、食品安全委員会としての活動ではない個人的な活動であっても、食品安全委員会の中立性及び公正性について国民から誤解を受けないよう留意されたい旨、注意喚起を行っている。

五の(2)について

 唐木専門委員が「食品安全委員会における調査審議方法等について」(平成十五年十月二日食品安全委員会決定)の三に規定する特別の利害関係を有する専門委員に該当するか否かについては、唐木専門委員が所属するリスクコミュニケーション専門調査会及び肥料・飼料等専門調査会における審議の公平さに疑念を生じさせるか否かによって判断されるものであり、御指摘は当たらないものと考える。

六の(1)について

 食品の安全に係る不正行為の防止については、食品衛生法等の一部を改正する法律(平成十五年法律第五十五号)において、法令違反に対する十分な抑止力となるよう罰則の強化が行われたところである。

六の(2)及び(3)について

 消費者の合理的な選択に資するため、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)に基づく加工食品品質表示基準(平成十二年農林水産省告示第五百十三号)において、外国で生産された加工食品について原産国名を、国内で製造された加工食品のうち加工度の低い二十食品群について原料の原産国名を、それぞれ表示することが義務付けられている。また、「外食における原産地表示に関するガイドラインについて」(平成十七年七月二十八日付け十七総合第八百八十七号農林水産省総合食料局長通知)により、外食事業者に対し、メニューの主たる原材料等の原産地表示を行うよう指導を行っているところである。また、消費者に対して、これらの表示制度についての啓発に努めていく考えである。
 医療行為を介した異常プリオンたん白質の伝達については、三の(8)についてで述べたとおりである。また、輸血や血液製剤の投与による異常プリオンたん白質の伝達の予防については、異常プリオンたん白質の伝達の理論的なリスクを勘案し、一定期間以上、英国等に滞在した者に対する献血の制限を行うとともに、三の(2)についてで述べたとおり、血液製剤の製造過程において安全確保措置を講ずることとされているところである。

六の(4)について

 学校給食でどのような食品を使用するかについては、学校給食の実施者が判断するものであり、米国産牛肉等の使用についても、関係省庁における安全性についての判断を踏まえつつ、学校給食の実施者において、判断されるものである。
 なお、文部科学省においては、学校給食の食品の購入に当たり、その安全性について十分配慮するよう、学校給食の実施者に対し指導しているところである。

七の(1)について

 食肉加工における安全対策として、「と畜場法施行規則の一部を改正する省令の施行について」(平成十三年十月十七日付け食発第三百八号厚生労働省医薬局食品保健部長通知)において、背割りを行う従事者について、安全確保の観点からゴーグル及びマスクを着用することを求めている。

七の(2)について

 平成十七年一月に日本生活協同組合連合会から御指摘の舌へん桃の除去に関する意見が提出されたが、その時点で既に、厚生労働省関係牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則(平成十四年厚生労働省令第八十九号)において、舌へん桃は牛の特定部位とされていたことから、本件については御指摘の公開審議において議論されなかった。

八の(1)について

 我が国へのBSE病原体の侵入防止のための対策として、飼料又は肥料に供される可能性のある偶蹄類の動物の肉骨粉等について家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)に基づき輸入の規制が行われている。また、「米国から輸入される牛肉等の取扱いについて」(平成十五年十二月二十六日付け食安監発第一二二六〇〇一号医薬食品局食品安全部監視安全課長通知)により、BSE発生国を原産国とする牛由来原材料を含む食品については、事業者に対し、輸入を行わないよう指導を行っているところである。さらに、米国産の反すう動物に由来する原材料を用いた医薬品については、原則として薬事法に基づく製造販売の承認を行わないこととしている。

八の(2)について

 国際獣疫事務局では、家畜及び畜産物の国際貿易の円滑化を図りつつ、国境を越えて家畜疾病が伝播することを防止するため、加盟国が守るべき基準を定めた国際動物衛生規約を策定しており、その中で飼料規制も含めたBSEに関するリスク評価を行うこととされている。我が国としてはこのような国際基準の策定に積極的に参画していくことが重要であると考えている。

八の(3)について

 食品として輸入される動物性油脂及び肉エキスについては、八の(1)についてで述べたとおり、BSE発生国を原産国とする牛由来原材料を含む場合については、事業者に対し、輸入を行わないよう指導を行っているところである。また、食品への異物の混入及び有害物質の残留については、輸入の際、検疫所が所要の検査を行うこととしている。

九の(1)について

 厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設(以下「対日輸出施設」という。)に対する現地調査を実施することが必要と考えている。具体的には、米国政府による対日輸出施設の監督状況、日本向け輸出証明プログラムに規定する品質管理プログラムの文書化の状況、SRMの除去の実施状況、月齢二十月以下の月齢証明についての遵守状況等について現地において確認したいと考えている。
 お尋ねの抜き打ち検査の実施については、対象が外国にある施設であることから困難と考えている。

九の(2)について

 米国の食肉処理施設における牛の月齢確認及びSRMの除去については、それぞれの施設について策定が義務付けられたマニュアルに従って実施されており、これらが適切に実施されているかについては、我が国ではと畜検査員が実施しているのと同様に米国農務省の検査官が検証を行っていると承知している。なお、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合においては、九の(1)についてで述べたとおり、対日輸出施設に対するこれらの対策の実施状況について我が国の担当官が現地調査を実施する必要があると考えている。

九の(3)について

 米国のSRM除去のマニュアルについては、それぞれの食肉処理施設において作成されるものであり、個々の食肉処理施設のマニュアルの詳細な内容については承知していないが、平成十七年七月十四日に開催された第二十七回プリオン専門調査会の資料としてそのマニュアルの例が公表されている。
 なお、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合においては、対日輸出施設に関しては、日本向け輸出証明プログラムにSRMとして除去すべき具体的な部位を記載することとしており、当該部位について適切に除去がなされているか否かについては、我が国の担当官による現地調査において確認したいと考えている。

九の(4)について

 お尋ねの「科学的な中枢神経組織の付着検査キット」による検査とは、グリア細胞繊維性酸性たん白質を指標とした試験法による検査と考えられるところ、当該検査による検証を行うことは、我が国においても義務付けられていないことから、米国にこうした検証を求める必要はないと考えている。

九の(5)について

 背割り後にせき髄を除去した枝肉及び背割りに使用した背割りのこぎりに付着したせき髄片の高圧洗浄による除去の有効性については、平成十三年度厚生科学特別研究事業による「牛海綿状脳症(BSE)に関する研究」において、グリア細胞繊維性酸性たん白質を指標とした試験法による検証が行われ、有効性が確認されている。

九の(6)について

 平成十六年六月に米国で開催された日米BSE協議に係る第二回専門家及び実務担当者会合においては、米国内の食肉処理施設の視察が行われ、当該視察時には我が国の報道関係者に対しても当該施設の内部が公開されたところであり、今後とも必要に応じ、我が国の担当官による現地調査に際して当該施設を我が国の報道関係者に対して公開することについて米国政府に要請してまいりたい。

九の(7)について

 米国でBSEの発生が確認された日以降については、メキシコからの牛の輸入の実績はない。



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