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答弁本文情報

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平成十九年四月二十日受領
答弁第一七二号

  内閣衆質一六六第一七二号
  平成十九年四月二十日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員岡田克也君提出イラクにおける自衛隊の活動に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員岡田克也君提出イラクにおける自衛隊の活動に関する質問に対する答弁書



一の1について

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「法」という。)に基づく対応措置の実施に係る航空自衛隊の所要経費について、現段階で集計が終了している平成十八年十二月三十一日までの実績は、約百三十三億円であり、その内訳は、(組織)防衛本庁の(項)防衛本庁として約五十五億円、(項)武器車両等購入費として約十六億円、(項)装備品等整備諸費として約六十三億円である。
 また、法に基づく対応措置の実施に係る航空自衛隊の所要経費について、平成十九年度予算におけるその内訳は、(組織)防衛本省の(項)防衛本省として約八億円、(項)武器車両等購入費として約三千万円、(項)装備品等整備諸費として約七億円である。
 なお、人道復興支援活動及び安全確保支援活動それぞれに係る所要経費については、分離して算出することはできない。

一の2について

 航空自衛隊の部隊は、クウェートのアリ・アルサレム飛行場を拠点とし、イラク国内のアリ(タリル)飛行場、バグダッド飛行場、エルビル飛行場に対し、C−一三〇H型機による輸送を行ってきた。現在、輸送回数はおおむね週四、五回程度であり、このうち、バグダッドへの運航(平成十八年七月三十一日開始)がおおむね週一回程度、バグダッド経由のエルビルへの運航(同年九月六日開始)がおおむね週一回程度となっており、その余はアリ(タリル)飛行場への運航である。なお、同年九月の国際連合(以下「国連」という。)に対する支援開始以降、おおむね月四、五回程度が国連支援のための運航である。
 また、派遣当初から平成十九年四月五日までの間に総計四百九十回運航し、約五百二十二・四トンの物資の輸送を行った。輸送の内容は、我が国からの人道復興関連の物資、陸上自衛隊の人員・生活物資その他の補給物資、関係各国・関係機関等の物資・人員、国連支援活動関連の物資・人員である。なお、このうち、平成十八年七月十七日に陸上自衛隊派遣部隊のサマーワからの撤収以降は、運航回数が百四十五回、輸送した物資の量が約四十六・五トンとなっている。
 航空自衛隊の部隊の活動内容については、国民の理解と協力を得る観点から、できる限り公表したいと考えているが、運航を実施している自衛隊員はもとより、輸送対象となる関係各国、関係機関等の人員の安全確保に十分配慮することが必要であること等から、空輸実績の詳細な内容については公表しないこととし、定期的に、輸送回数、輸送物資等を大別した内容、輸送物資の累積重量をまとめて示しているところである。

一の3について

 我が国が実施している国連の物資及び人員の輸送は、法が規定する人道復興支援活動に該当する。

一の4について

 航空自衛隊は、国連及び多国籍軍の物資及び人員の輸送を実施しているが、その他、法に基づき、我が国の人道復興関連物資等の輸送も実施している。
 多国籍軍が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する輸送は、法が規定する安全確保支援活動に該当する。一方、多国籍軍の権限にはイラクの復興を支援する活動も含まれており、多国籍軍が実施しているかかる活動を支援するために我が国が実施する輸送は、法が規定する人道復興支援活動に該当する。
 なお、御指摘の「後方支援」の意味が必ずしも明らかではないが、安全確保支援活動は、法第三条第一項第二号に規定されているとおり、イラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国連加盟国に対して要請する国連安全保障理事会決議(以下「安保理決議」という。)第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国連の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき、国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する措置である。

一の5について

 法に基づき派遣されている航空自衛隊の部隊等の活動については、イラク政府による有効な統治の確立に向けた政治状況の進展、現地の治安に係る状況、国連及び多国籍軍の活動状況及び構成の変化等の諸事情を、政府としてよく見極めつつ、イラクの復興の進展状況等を勘案して、適切に対応してまいりたい。

二の1について

 法に基づく対応措置の実施に係る陸上自衛隊の所要経費について、現段階で集計が終了している平成十八年十二月三十一日までの実績は、約七百二十一億円であり、その内訳は、(組織)防衛本庁の(項)防衛本庁として約四百八十二億円、(項)武器車両等購入費として約九十三億円、(項)装備品等整備諸費として約百四十七億円である。
 なお、人道復興支援活動及び安全確保支援活動それぞれに係る所要経費については、分離して算出することはできない。

二の2について

 陸上自衛隊が人道復興支援活動として実施した主な活動は、次のとおりである。
 1 医療に係る活動については、ムサンナー県内四か所の病院の医師等に対する診療・治療技術の助言・指導、サマーワ救急車センター要員に対する搬送技術指導、県医薬品倉庫及び県保健局に対する医療技術指導等を合計二百七十七回実施した。
 2 給水に係る活動については、平成十六年三月二十六日から平成十七年二月四日までの間、合計約五万三千五百トン、延べ千百八十九万人分の水を供給した。
 3 公共施設の復旧・整備に係る活動としては、ムサンナー県内の三十六校の学校の整備、三十一か所・合計約八十キロメートルの生活道路の整備のほか、ウルク遺跡、オリンピック・スタジアム、ルメイサ浄水場、ワルカ浄水場、低所得者用住居等六十六か所の補修を実施し、延べ約四十九万人、一日最大約千百人程度の現地雇用を創出した。
 お尋ねの「費用対効果の算定」の意味が必ずしも明らかではないが、陸上自衛隊派遣当時、自己完結能力があり自ら身を守ることができる自衛隊以外に、現地において安全に活動を実施し得る主体はなかったと認識しており、このような現地の治安情勢等を踏まえれば、陸上自衛隊の活動は、十分な効果を挙げ、イラクの復興に大きく貢献したものと考えている。

二の3について

 陸上自衛隊は、安全確保支援活動として、平成十六年五月十六日から同年六月十日までの間及び同年六月二十五日から同年七月一日までの間、陸上自衛隊サマーワ宿営地において、オランダ軍に対し、合計約千百七十トンの水の補給を実施し、また、平成十七年五月五日、負傷した韓国軍兵士に対し、クウェートのアリ・アルサレム基地からクウェート国際空港までの間の輸送を実施した。
 なお、御指摘の「後方支援」の意味が必ずしも明らかではないが、安全確保支援活動は、法第三条第一項第二号に規定されているとおり、イラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国連加盟国に対して要請する安保理決議第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国連の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき、国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する措置である。

三の1について

 御指摘のような活動はない。

三の2について

 多国籍軍の活動は、安保理決議第千七百二十三号を始めとする安保理決議に基づきイラクの安全及び安定の回復や人道復興支援に係る活動を実施するものであり、これら安保理決議に基づく活動を行う多国籍軍の要員等の輸送等は、政府として、法に規定する人道復興支援活動又は安全確保支援活動のいずれかに該当するとの認識の下、これを行っている。

三の3について

 お尋ねの「合意書又は協定」等の意味が必ずしも明らかではないが、国連との間では、政府は、自衛隊による国連イラク支援ミッションを支援するための空輸に関する交換公文を締結している。

三の4について

 御指摘の「評価」がどのようなものを想定しているのか必ずしも明らかではないが、政府は、自衛隊のイラク派遣に当たっては、政府調査チームの派遣結果や、累次イラクを訪問した内閣総理大臣補佐官の調査結果を含む諸情報を総合的に分析した結果、ムサンナー県を中心としたイラク南東部等で、自衛隊の部隊等が法に基づく対応措置を実施することが可能であり、かつ適当であると判断した。
 また、法第四条の基本計画に定める対応措置が終了したときは、政府は、法第五条第二号に基づき、その結果を国会に報告することとしている。



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