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答弁本文情報

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平成十九年五月二十五日受領
答弁第二二六号

  内閣衆質一六六第二二六号
  平成十九年五月二十五日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員前田雄吉君提出観光地における旅館業界の再生のための政府の施策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員前田雄吉君提出観光地における旅館業界の再生のための政府の施策に関する質問に対する答弁書



1について

 株式会社整理回収機構(以下「RCC」という。)が確認している範囲では、RCCが事業再生を目的として破産手続開始の申立てを行った件数については、平成十七年四月から平成十八年三月までの間に六件、平成十八年四月から平成十九年三月までの間に六件及び平成十九年四月に二件であり、その業種については、建設業が一件、医療業が四件及び旅館業が九件であり、その地域については、東北地方(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県及び福島県)が三件、関東地方(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県)が五件、北陸地方(新潟県、富山県、石川県及び福井県)が一件、中部地方(山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県)が一件、関西地方(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県及び和歌山県)が二件及び中国地方(鳥取県、島根県、岡山県、広島県及び山口県)が二件であると承知している。

2について

 破産手続は、債務者の資産を処分し、換価して債権者に平等に配当することを目的とするいわゆる清算型の手続であり、債務者である企業の再生を目的とするものではないが、清算の一手段として、債務者の事業を譲渡し、その事業の再生を図る例はあると承知している。なお、破産手続を含む各種の倒産手続のうち、どの手続を利用するかは、個別の事案に応じた債権者、債務者等の関係者の選択に委ねられているところであり、破産手続を利用した事業再生を政府として奨励した事実はない。

3について

 破産法(平成十六年法律第七十五号)上、破産者の営業又は事業の譲渡は、破産財団に属する財産の処分に該当し、その権限は、裁判所が選任した破産管財人に専属しているが、その営業又は事業の譲渡をするについては、裁判所の許可が必要とされている。
 1についてで述べたRCCが破産手続開始の申立てを行った事例のうち、事業の譲渡が行われたものについては、破産管財人が選定した事業譲渡先に譲渡されたものと承知している。事業譲渡先の選定は、総債権者の利益のために活動する職務を有する破産管財人がその裁量で行うものであるが、破産管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならないこととされている。

4について

 破産法は、債務者の申立てによる破産手続に限らず、破産手続一般について、公正さを確保しつつ、その迅速化及び合理化を図ること等を目的として制定されたものであり、すべての事案について、このような目的に沿った手続が行われることを想定している。
 なお、御指摘のような事案は、迅速な手続が必要とされるものであると考えている。

5について

 RCCが確認している範囲では、御指摘の「外の四件の旅館ホテル」のうち、一件については、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)に基づき、再生手続廃止の決定の確定後、裁判所が職権で、破産手続開始の決定をしたものであり、他の三件における破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定があった日までの日数は、一件が即日、二件が七日であると承知している。RCCによると、審理回数については把握していないとのことである。

6について

 破産者の債務に係る連帯保証人についても、財産の適正かつ公平な清算を行う必要性があるため、支払不能その他の破産手続開始の原因がある場合には、その連帯保証人の債権者は、破産手続開始の申立てを行うことができることとされているところであり、御指摘の「原則禁止」は困難であると考えている。

7及び8について

 RCCにおいては、種々の事情により民事再生手続若しくは会社更生手続によることが困難な場合、又は、債務者による不正、財産の隠ぺい等が行われるおそれがあることなどから、RCCと債務者の間では解決が困難な場合に、手続の公平性及び透明性を確保し、貸付債権等について最大限の回収を図るため、破産手続開始の申立てを行うことがあるものと承知しており、「破産手続きの濫用」との御指摘は当たらないと考える。また、RCCにおいては、回収指針として「「契約の拘束性の追求」、「人間の尊厳の確保」、「企業再生の追求」という三つの指針の交点を求める」を定めているところであり、関係法令及び自らの回収指針に従い、個々の債務者の実情等を十分に把握し適切な対応に努めているものと承知している。
 なお、破産法上、破産手続開始の決定後は、裁判所が選任した破産管財人が破産財団に属する財産の管理及び処分を行い、別除権の目的である財産の受戻しについては、破産管財人が裁判所の許可を得て行うこととされ、破産債権者に対する配当については、破産管財人が同法に定められた順位に従って行うこととされているところであり、RCCが「実質、租税や、一般債権者への配当を削減して、旅館ホテル売却代金のほとんどの独り占めをねらって破産の手法を使ったことは明らかである」との御指摘は当たらないと考える。



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