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答弁本文情報

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平成十九年六月二十二日受領
答弁第三八〇号

  内閣衆質一六六第三八〇号
  平成十九年六月二十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員郡和子君提出いわゆる混合診療問題及び未承認薬剤の授受に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員郡和子君提出いわゆる混合診療問題及び未承認薬剤の授受に関する質問に対する答弁書



一の1について

 我が国の医療保険制度においては、基本的に、疾病、負傷等の発生を保険事故として保険給付を行うものであり、これらが発生する前の単なる予防については、保険給付の対象とならない。

一の2及び3について

 我が国の医療保険制度においては、一連の診療の過程において、保険診療と保険外診療を併用することを原則として認めていないが、これは、保険診療を受ける患者の自己負担が不当に増大することを防ぐとともに、保険診療の過程において安全性等が担保されていない医療が併用されることを防ぐ趣旨であり、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号。以下「療担規則」という。)第五条等により、健康保険法(大正十一年法律第七十号。以下「健保法」という。)第七十四条第一項に定める一部負担金を超える費用の徴収を原則として禁ずるとともに、療担規則第十八条により、特殊な療法又は新しい療法等(以下「特殊療法等」という。)を禁止し、さらに、療担規則第十九条により、使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成十八年厚生労働省告示第九十五号)別表に収載されている医薬品(以下「収載医薬品」という。)以外の薬物の使用等を原則として禁止している。
 御指摘の投与については、これを患者負担により行わないこととされているため、療担規則第五条等に違反するものではなく、虚血性心疾患、虚血性脳血管障害等における血栓及び塞栓形成の抑制は、アスピリンの本来的な薬理作用であること、御指摘の投与と同様のアスピリンの効能に関して薬事規制上の承認がなされている国が存在すること等を踏まえると、療担規則第十八条において禁止されている特殊療法等に該当するものではない。さらに、アスピリンは既に収載医薬品であり、その使用について、療担規則第十九条に違反するものではないことから、動脈硬化性疾患危険因子を有する高齢者に及ぼすアスピリンの一次予防効果に関する研究(以下「JPPP試験」という。)において、御指摘の投与以外の診療についての保険請求を行うことは可能である。

二の1について

 厚生労働大臣等は、療担規則に違反する疑いのある事実を把握した場合には、その事実の真偽、違法性等について総合的に検討した上で、必要に応じ、関係する保険医療機関等に対し、健保法第七十三条等の規定に基づく指導又は健保法第七十八条等の規定に基づく報告等の徴収(以下「指導等」という。)を行うこととなる。

二の2について

 御指摘の外部からの調査請求手続については、特に定められておらず、療担規則に違反する疑いのある事実に関する情報提供については、厚生労働省及び都道府県において随時受け付けているところである。
 また、厚生労働大臣等が指導等を開始する際の手続については、「保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について」(平成七年十二月二十二日付け保発第百十七号厚生省保険局長通知)の別添1「指導大綱」及び別添2「監査要綱」に定められている。

三について

 現在、神奈川社会保険事務局において、引き続き御指摘の調査を行っているところであり、事実関係等が確定していない段階で、その結果等についてお答えすることは差し控えたい。

四について

 厚生労働省保険局医療課(以下「医療課」という。)においては、平成十九年五月二十四日午前九時半ころ、「民主党郡和子議員の秘書代理」と名乗る者(誰何したが答えは得られなかったため氏名は不詳)から、JPPP試験がいわゆる混合診療に該当するか否か等について照会を受けたものである。
 当該照会については、医療課から厚生労働省の外部の者に情報を伝達したという事実はなく、また、当該照会は医療課の所掌事務である社会保険診療報酬に関すること以外に、他部局の所掌事務とも密接にかかわる内容であったことから、医療課より省内関係部局に対して、照会内容に係る事実確認等を行ったことはあるが、確認したところ、これらの部局から外部の者に情報を伝達したという事実もない。ただし、そのような事実確認の一つとして、厚生労働省医政局研究開発振興課から、池田教授に臨床試験の実施方法等について確認した事実はある。

五について

 薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第五十五条第二項は、製造販売の承認を受けた効能以外の効能を標ぼうして製造販売をされた医薬品の販売、授与等を禁止するものであり、製造販売の承認を受けた効能のみを標ぼうして製造販売をされた医薬品を授与された医師が自らの責任の下、当該効能以外の効能の有無を調べる等の目的で当該医薬品を使用して臨床試験を行ったとしても、当該授与は、同法第五十五条に違反するものではなく、これは、当該医薬品の製造販売業者が、研究計画書、契約等により当該臨床試験への使用を承知しているか否かにかかわらないものである。

六について

 厚生労働大臣等は、薬事法に違反する疑いのある事実を把握した場合には、その事実の真偽、違法性等について総合的に検討した上で、必要に応じ、関係する製造販売業者に対し、同法第六十九条に基づく立入検査等を行うこととなる。
 御指摘の外部からの調査請求手続については、特に定められておらず、薬事法に違反する疑いのある事実に関する情報提供については、厚生労働省及び都道府県において随時受け付けているところである。
 また、厚生労働大臣等が立入検査等を開始する際の手続については、「薬事監視指導要領について」(昭和五十八年五月二十五日付け薬発第四百六号厚生省薬務局長通知)の別添「薬事監視指導要領」に定められている。

七について

 お尋ねについては、池田教授が、厚生労働科学研究費補助金公募要項の記載を誤って解釈したことを認識した時点で、自ら当該補助金の使用を中止し、未使用分の返還を申し出ていること等を踏まえると、引き続き、池田教授に委員として「治験のあり方に関する検討会」に参画いただくことは問題ないと考えている。



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