答弁本文情報
平成十九年七月十日受領答弁第四四八号
内閣衆質一六六第四四八号
平成十九年七月十日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出「消えた年金」問題等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出「消えた年金」問題等に関する質問に対する答弁書
一について
全国五十五箇所の年金相談センターのうち、平成十九年六月三十日に開庁したものは五十三箇所、同年七月一日に開庁したものは五十箇所である。
年金相談センターは面談による年金相談を行うためのものであり、電話による相談に対応することは考えておらず、電話による年金相談は、年金電話相談センターや中央年金相談室等において全国共通の電話番号による「ねんきんダイヤル」やフリーダイヤルの「ねんきんあんしんダイヤル」で対応している。
お尋ねの電話がつながらない年金相談センターの箇所数については、時間帯により電話回線の混雑状況が異なること等から、一概にお答えすることは困難である。
年金相談センターにおける電話対応については、受付時間の確認や来訪時に必要な書類の問い合わせ等についてお答えするものであり、これらの点につき十分広報するとともに、職員による対応ができない場合であっても年金相談センターとして必要な対応ができるよう徹底していくこととしている。
休日に開庁している年金相談センターに関する情報については、現在、社会保険庁ホームページに掲載しているところであるが、引き続き自治体の広報等を含め、様々な広報手段により周知徹底を図ることとしている。
年金相談センターの休日における開庁については、利用者の利用状況等を踏まえつつ、当分の間、引き続き実施することとしている。
厚生労働省としては、通常の電話相談業務については、「専門知識不要」、「簡単な電話対応」と認識しているものではなく、これまで、電話による相談業務に必要な研修を行った上で相談業務に従事させているところである。また、電話による相談業務を民間業者に委託する場合には、社会保険労務士等専門知識を有する者をスーパーバイザーとして一定割合以上配置することを電話業務の委託の条件とするとともに、当該業者において年一回のテストの実施により相談員の年金に係る知識を確認させているところである。
一方、平成十九年六月十一日から、今回の年金記録問題による相談件数の増加に対応するため、「ねんきんあんしんダイヤル」を開設したところであるが、そこでは問い合わせに対し、まずは、基礎年金番号などの基本的な情報を聞き、その後、速やかに記録回答票を送る「後日お答え方式」を採っているところであり、これらについては、年金に係る専門的な知識がない者でも対応できるものと考えている。
なお、この方式による「ねんきんあんしんダイヤル」に対応する職員を採用する際には、以上述べたような業務を行うことを前提とし、丁寧な対応ができる者を募集するよう配慮してまいりたい。
現在、「ねんきんダイヤル」による電話相談のための席として四百六十六人分を確保しており、そのうち業者への委託は二十二人分である。また、「ねんきんあんしんダイヤル」による電話相談のための席として千百二十人分を確保しており、そのうち業者への委託は九百二十人分である。
「ねんきんダイヤル」の拠点である年金電話相談センターについては市場化テスト(モデル事業)として二箇所の運営を業者に委託しているが、その相談員に対しては、採用時に社会保険庁において二十三日間の研修を行ったところである。
平成十九年六月十一日に開始した「ねんきんあんしんダイヤル」の電話相談業務に係る委託業者については、その相談員は年金業務についてのごく初歩的な知識を身に付ければ対応可能な相談業務に従事するものであり、当該相談員に対しては、採用時に社会保険庁において三時間程度の研修を行っている。
社会保険庁からの年金相談業務の受託業者やその相談員については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第七条の規定により守秘義務が課せられているほか、社会保険庁と受託業者との契約においても、受託業者に守秘義務を課すとともに、受託業者と相談員との間で個人情報の漏えい、目的外利用を禁じた契約を締結すること等を義務付けているところである。
平成十九年三月十三日時点において、政府としては、社会保険オンラインシステムによって管理している基礎年金番号が付されていない又は基礎年金番号に統合されていない年金手帳記号番号に係る記録が約五千万件あることは認識していた。
今回の年金記録問題の主な背景としては、社会保険庁職員の職務に対する心構えが不十分であること、年金記録に係る種々の事務処理の仕組みが不適切であったことが挙げられる。
日本年金機構法(平成十九年法律第百九号)は、組織を非公務員型の公法人とすることによって、業務の効率化、国民に対するサービスの向上を図るとともに、職員の意識改革を図るものであり、今回の年金記録問題との関連においても必須かつ適切なものと考える。
お尋ねの横領件数及び総額については、当時の資料が残っていないため、把握できていない。
なお、横領事案が判明した場合には、保険料は本人から支払われているものとしてその都度年金記録を訂正している。
御指摘のような資料はない。
御指摘の記録には、それぞれ基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所等の個人情報が収録されており、お尋ねについては、現在、個人情報保護の観点からその可否について検討中であり、現時点でお答えすることは困難である。