答弁本文情報
平成十九年八月十五日受領答弁第二三号
内閣衆質一六七第二三号
平成十九年八月十五日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員平野博文君提出本年度新司法試験に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員平野博文君提出本年度新司法試験に関する質問に対する答弁書
一の1について
植村栄治元司法試験考査委員(以下「植村元考査委員」という。)については、従前から差し控えるよう要請していた受験指導を行うなど、司法試験考査委員として不適正な行為が判明したことから、平成十九年六月二十九日付けで司法試験考査委員を解任するとともに、今後、司法試験考査委員・予備試験考査委員として任命しないこととしたところである。また、このような司法試験考査委員による受験指導については、今後とも、その再発防止に努めることとしている。したがって、植村元考査委員の不適正な行為に関し、平成十九年新司法試験について特段の措置をとらないとしたとしても、御指摘のように「誤ったメッセージを与えるもの」ではないと考えている。
植村元考査委員の行為が平成十九年新司法試験の論文式試験の答案作成に反映できるような有利な情報を与えたとは言い難いと認められることを踏まえ、司法試験委員会において、採点結果が判明していない現段階においても、再試験等特段の措置を講じる必要はないとされたものである。
植村元考査委員の行為は、司法試験の公正さに疑念を抱かせかねない不適正なものであるが、実施された司法試験について特段の措置をとる必要があるか否かは、行為の当否とは別に判断されるべきものと考えている。もっとも、司法試験の公正さに対する信頼を損ねることのないよう、植村元考査委員が行ったような不適正な行為の再発防止の方策を検討しているところであり、その検討状況を踏まえつつ、必要な措置を講じてまいりたい。
文部科学省が実施している「法科大学院における答案練習会等の実態調査」においては、一定の調査対象期間に在籍した新司法試験考査委員である教員を含む全教員について、学生等からの要請による勉強会等も含め、当該教員が指導したすべての答案練習会等を対象として調査している。
平成十九年六月二十九日付けで、すべての司法試験考査委員に対し、司法試験考査委員の任期中、勉強会、答案練習会等の受験指導をしたことがないかという点について、報告を求めたものである。
御指摘の「学生に対し本試験問題と類似する事案・論点・判例等に触れる機会を与えた「おそれ」があるとしているもの」が、いかなるものを指すのか明らかではないが、法務省及び文部科学省が把握する限り、試験問題の事前漏えいに当たる行為は、認められない。