答弁本文情報
平成二十年一月二十九日受領答弁第一〇号
内閣衆質一六九第一〇号
平成二十年一月二十九日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出肝炎被害者救済策等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出肝炎被害者救済策等に関する質問に対する答弁書
一の@及び四について
厚生労働省としては、同省ホームページに掲載している約七千の医療機関(あて先不明であるものを除く。)に対し、昨年十一月七日に、フィブリノゲン製剤を投与された方々に対する可能な限りの投与の事実の伝達及び肝炎ウイルス検査の受検の呼びかけをお願いするとともに、当該医療機関において同製剤を投与したことが判明した人数、同製剤を投与した事実を伝えた人数、診療録、手術記録、分娩記録、製剤使用簿等の保管状況等についての調査(以下「保管状況等調査」という。)を行うよう協力の依頼(以下「医療機関あて協力依頼」という。)を行ったところである。
また、舛添厚生労働大臣は、本年一月八日の衆議院厚生労働委員会において、御指摘のような厚生労働省が医療機関に対して指示している旨の答弁は行っていない。
現在、保管状況等調査に対する医療機関からの回答を集計しているところであるため、お尋ねの投与の事実の伝達についての現状認識についてお答えすることは困難である。また、お尋ねの調査結果についての発表の時期は現時点では未定である。
平成十四年三月四日の三菱ウェルファーマ株式会社からの報告によると、フィブリノゲン製剤を使用された者は、推定約二十八万人とされているが、厚生労働省としては、医療機関を通じて、これらの方々に対して早急に可能な限り投与の事実の伝達及び肝炎ウイルス検査の受検の呼びかけが行われるよう取り組んでまいりたい。
お尋ねについては、昨年十月二十四日から本年一月二十三日までの三か月間において、一の@についてで述べたとおり、医療機関あて協力依頼を行ったほか、社団法人日本医師会会長に対し、昨年十月二十六日に、保管状況等調査についての協力依頼を行うとともに、昨年十一月七日に、医療機関あて協力依頼についての理解と協力を求めたところである。
政府としては、B型及びC型肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成については、国民や実施主体である都道府県への周知やその実施準備のための期間が必要であることから、本年四月一日から実施する予定で平成二十年度予算案に必要額を計上しているところであり、同日以前の治療費について助成対象とすることは考えていない。
厚生労働省としては、御指摘のインターフェロン治療の際の休暇について、特に肝炎患者の権利として認めることは考えていないが、インターフェロン治療を必要とする患者に対する配慮の必要性について、事業主への普及啓発に努めてまいりたい。
厚生労働省としては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十八条の二の規定の趣旨を踏まえ、インターフェロン治療を必要とする患者に対する配慮を行うよう、事業主に求めてまいりたい。
政府としては、与党肝炎対策プロジェクトチームにおいて決定された医療費助成案を踏まえ、平成二十年度予算に医療費助成のために必要な額を計上したところであるが、当該助成案における自己負担額については、高額療養費制度を踏まえ、患者の負担が過度なものとならないよう設定されたものであると承知している。第百六十八回国会に提出された肝炎対策基本法案及び特定肝炎対策緊急措置法案については、引き続き国会等で議論されるものと考えている。
厚生労働省としては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の理事長には、独立行政法人として公共性の高い同機構の業務に関する高度な知識及び経験や適正かつ効率的な運営の能力を有する者が望ましいと考えており、次期理事長についても、こうした点を踏まえつつ、早急に決定したいと考えている。
厚生労働省としては、製薬企業への職員の再就職については、平成八年五月三十一日以降、「事務次官、官房長及び薬務局の指定職を経験した者が、製薬企業の役員に再就職することについて、自粛を促す」ことや「本省課長以上の経験のある者が、離職後二年以内に製薬企業に再就職することについては、人事院への再就職の承認申請を行わないよう自粛する」こと等の自粛措置を講じてきているところであり、今後ともこれらの措置に基づき、適切に対処してまいりたい。
厚生労働省としては、薬事・食品衛生審議会薬事分科会申し合わせ(平成十九年四月二十三日)を参考に、御指摘の検討会の構成員の過去三年間の講演料等の受領の有無について調査を行っており、今後、更にさかのぼって調査を行うことは考えていない。また、当該調査の結果によれば、御指摘の検討会の構成員の行為は、当該申し合わせ上の利益相反行為に当たるものではなく、問題ないと考えている。
厚生労働省としては、フィブリノゲン製剤投与後の四百十八例の肝炎等発症患者の症状等に関する調査について、調査票、調査の手順を示した書類等の作成等所要の準備を行い、本年一月十六日に、患者本人又はその遺族等に対して、現在の健康状態等に関する調査票、平成十四年頃の健康状態等に関する調査票、フィブリノゲン製剤投与時の症状に関する調査票等を送付し、当該患者の健康状態、治療内容等について調査を行っているところである。患者本人又はその遺族等に対しては、調査票等が届いてから三週間以内に返送していただくようお願いをしているが、当該調査結果の公表時期については未定である。
厚生労働省としては、調査票にフィブリノゲン製剤投与後の肝炎等の症状の発症に関し、自由に御回答いただく欄を設けており、当該回答欄に本人又は遺族等の声を記入していただくことが可能であると考えている。
御指摘の「四一八名のリスト」に記載がある方々が、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第\因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法(平成二十年法律第二号)第二条第三項に規定する特定C型肝炎ウイルス感染者に該当するか否かについては、同法の規定に基づき、裁判所において個々に判断されるものであると考えている。また、厚生労働省としては、お尋ねの救済対象者の人数及び裁判所に既に申請している人数については、把握していない。
一のA及びB、二のA並びに三についてでお答えしたとおり、厚生労働省としては、現在、保管状況等調査に対する医療機関からの回答を集計しているところであるが、調査項目のうち、診療録等の保管状況については、本年一月十一日時点で回答のあった医療機関において、平成六年以前の診療録等の記録が一部でも保管されているか否かについて、同月十七日に同省ホームページに掲載したところであり、今後、順次集計した回答を掲載することとしている。
お尋ねについては、昭和六十三年六月三十日以前にフィブリノゲン製剤を投与した記録に関し、診療録、製剤使用簿等の保管状況等について質問したものである。
御指摘の柳澤前厚生労働大臣の答弁は、ウイルス性肝炎を高額療養費制度上の特定疾病に追加するには、健康保険法施行令(大正十五年勅令第二百四十三号)の改正が必要である旨を述べたものであり、現在、政府において検討中の肝炎患者のインターフェロン治療に対する医療費助成そのものについて述べたものではない。なお、現在政府において検討中の医療費助成については、事業実施要綱に基づいて実施されている特定疾患治療研究事業と同様の手続による患者自己負担に対する助成を考えており、現行法の改正や新たな立法を行わずに、平成二十年度予算において実施することが可能であると考える。