答弁本文情報
平成二十年五月十六日受領答弁第三六三号
内閣衆質一六九第三六三号
平成二十年五月十六日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出後期高齢者医療制度に係る保険料の実態調査等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出後期高齢者医療制度に係る保険料の実態調査等に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの人数については、把握していない。また、お尋ねのケースについては、例えば、夫が七十五歳以上で後期高齢者医療の被保険者であり、妻が七十歳以上七十五歳未満で国民健康保険の被保険者である場合において、夫の一部負担金の負担割合の判定に当たり、本年七月までの経過措置により夫婦の所得又は収入を基準にして一割負担となっていたところ、本年八月からは、夫の所得又は収入のみを基準に判定することになるため、三割負担になるという場合である。
お尋ねの実態調査は、単身者が国民健康保険から後期高齢者医療に移行した場合、夫婦が共に国民健康保険から後期高齢者医療に移行した場合、夫婦の一方が国民健康保険から後期高齢者医療に移行した場合及び家族と同居する者が後期高齢者医療に移行した場合について、それぞれ一定の所得を前提とした事例を設定し、市町村ごとに移行前と移行後との世帯の保険料額の変化及び被保険者に被保険者証が届いていない事案や保険料の年金からの特別徴収の方法による徴収に係る事務手続に誤りがあった事案が生じたこと等の運用面の問題に係る対応状況等について、調査を行うものである。
御指摘の事実を正確に把握するための調査を行うこととした場合、各都道府県の後期高齢者医療広域連合(以下「広域連合」という。)及び各市町村にとって膨大な負担となることが見込まれることから、制度開始直後の多忙な時期に、制度の円滑な運営に支障を来さないよう、一定の所得を前提とした事例を設定し、保険料負担に係る各市町村の保険料額の傾向を把握することとしたものである。
お尋ねについては、実態調査の取りまとめを待って、お答えできる範囲でお答えするべきことであると考えている。
お尋ねのそれぞれの事例において、保険料が上がる場合は様々であり、一概にお答えすることは困難である。また、それぞれの事例における保険料が上がる割合については、把握していない。
御指摘の六万千円については、平成十八年の健康保険法等の一部を改正する法律案の提出に当たっての試算において平成二十年度の後期高齢者医療の医療給付を賄うために必要な後期高齢者一人当たり保険料額を試算したものである一方、御指摘の七万二千円については、各広域連合が平成二十年度において医療給付、審査支払手数料、葬祭費、財政安定化基金拠出金及び保健事業に要する費用等の見込みに照らし、おおむね二年を通じ財政の均衡を保つことができるように算定した保険料の全国平均であり、このような違いにより御指摘の差額が生じているものと考えられる。
お尋ねの平成二十年度における後期高齢者医療の平均年間保険料は、各広域連合において算定した保険料を全国平均したものとすると、七万二千円であるが、平成二十七年度における後期高齢者医療の平均年間保険料の試算は行っていない。なお、平成十八年の健康保険法等の一部を改正する法律案の提出に当たっての試算においては、医療給付を賄うために必要な後期高齢者一人当たり保険料額として、平成二十年度においては六万千円、平成二十七年度においては八万五千円と試算しており、これらの数値を用いて機械的に計算すれば、平成二十年度から平成二十七年度への伸び率は約三十八パーセントとなる。
御指摘の国民健康保険の平均年間保険料については、平成二十年度のそれは現時点で把握しておらず、平成二十七年度のそれは試算を行っていない。なお、平成十八年の健康保険法等の一部を改正する法律案の提出に当たっての試算においては、国民健康保険における医療給付及び後期高齢者支援金を賄うために必要な被保険者一人当たり保険料として、平成二十年度においては七万九千円、平成二十七年度においては九万七千円と試算しており、これらの数値を用いて機械的に計算すれば、平成二十年度から平成二十七年度への伸び率は約二十三パーセントとなる。
平成十八年の健康保険法等の一部を改正する法律案の提出に当たっての試算並びに後期高齢者医療及び国民健康保険の平成二十年度及び平成二十七年度における平均年間保険料については、十二について及び十三についてでお答えしたとおりであり、お尋ねの七年後における後期高齢者医療及び国民健康保険の平均年間保険料の引上げ率の比較についてお答えすることは困難である。また、お尋ねの七年目以降の後期高齢者医療及び国民健康保険の保険料の引上げ率についての試算は行っていない。
お尋ねについては、国民健康保険から後期高齢者医療に移行する場合において、国民健康保険の保険料の計算方法や医療費の水準が市町村ごとに異なるため単純な比較は難しいことから、国民健康保険について、約八割の市町村が採用し、最も多くの国民健康保険の被保険者に係る保険料の算定に用いられている方式に着目し、当該方式を採用する市町村における保険料率等の平均値を用いることにより、国民健康保険の保険料から後期高齢者医療の保険料への代表的な変化について、導入前後の傾向を算定したものである。従って、これらの方式を採用している自治体を全国平均と勝手に位置づけたとの御指摘や今まで嘘の宣伝をしたとの御指摘については当たらないものと考えている。