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答弁本文情報

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平成二十年十月三十一日受領
答弁第一五一号

  内閣衆質一七〇第一五一号
  平成二十年十月三十一日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員石井郁子君提出大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員石井郁子君提出大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善に関する質問に対する答弁書



一について

 文部科学省としては、お尋ねについて、博士課程修了後の研究者の進路が明確にされていないとの指摘があることは認識している。

二について

 文部科学省としては、博士課程を修了し、高度な知識及び能力を身に付けた者が、それを生かし、十分活躍できる社会が形成されることは重要であると考えている。

三及び四について

 文部科学省としては、研究者の多様な職業選択を支援する取組を実施するとともに、研究者が任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積み、厳格な審査を経て准教授等のより安定的な職を得る仕組みを導入する大学等を支援し、さらには、国内外において、産業界等の実社会の要請に適合した研究者の育成に取り組む機関を支援するなどしているところである。
 今後とも、このような施策を推進してまいりたいと考えている。

五について

 文部科学省が実施した学校基本調査では、国立大学(国立短期大学を含む。)の教員及び職員のうち本務を持つものは、平成十六年五月一日現在で十一万六千八百二十八人、平成十七年五月一日現在で十一万七千七百九十一人、平成十八年五月一日現在で十一万八千二百五十三人、平成十九年五月一日現在で十二万千百九十六人となっている。

六について

 文部科学省としては、国立大学法人への運営費交付金の交付に関しては、業務効率化への取組を求めつつ、各国立大学法人における業務の実施に必要な経費について適切に対応してまいりたいと考えている。また、国立大学法人の人件費の削減については、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成十八年法律第四十七号)第五十三条第一項の規定に基づいた対応が必要であると考えている。

七について

 政府としては、これまでにも、機会をとらえて、社団法人日本経済団体連合会に対し、各企業における博士課程修了者の採用の促進を要請するとともに、人材育成に関して大学と産業界が意見交換する場においても同様に要請してきたところであるが、これらの要請による直接的な成果を具体的な人数で示すことは困難である。
 文部科学省としては、博士課程修了者が、教員や公務員も含め社会の多様な場で活躍することは重要なことと考えており、今後とも、三及び四についてで述べた施策を引き続き推進してまいりたいと考えている。

八について

 文部科学省では、三及び四についてで述べたとおり、研究者が任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積み、厳格な審査を経て准教授等のより安定的な職を得る仕組みを導入する大学等を支援しているところである。平成十八年度及び平成十九年度には、北海道大学、東北大学、筑波大学、東京大学、東京医科歯科大学、東京農工大学、東京工業大学、お茶の水女子大学、電気通信大学、横浜国立大学、長岡技術科学大学、金沢大学、信州大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学、長崎大学、熊本大学、北陸先端科学技術大学院大学及び早稲田大学の二十一大学、約二百五十名の研究者が、その支援対象となっている。また、平成二十年度においても、新たに九大学を支援対象としたところである。
 文部科学省としては、今後とも、このような支援を推進してまいりたいと考えている。

九について

 文部科学省においては、御指摘の事業による支援を受けているすべての大学等から、平成十九年度には三百七十名以上の研究者が産業界等に就職しており、当該研究者が就職先の企業において高く評価されていると聞いている。
 文部科学省としては、御指摘の事業は、人文・社会科学を含めた科学技術に携わる人材を対象としたモデル事業と位置付けており、今後は大学等において御指摘の事業で得られた知見を生かして、人文・社会科学の研究者による多様な職業選択を支援するための取組を含めた多様な取組が展開されることを期待している。また、文部科学省としては、当該事業による支援を受けている大学等が、その取組に係る情報を他の大学等と共有する場を提供してきたところであり、当該事業による支援を受けていない大学等においても、研究者による多様な職業選択を支援するための取組が展開されることを期待している。

十について

 大学の非常勤講師の給与については、各大学の設置者が、労働関係法令に基づき、当該非常勤講師の業務内容等に応じて決定すべきものであり、文部科学省が非常勤講師の給与の目安を示すべきものではないと考えている。

十一について

 大学の教員総数に占める本務を持たない非常勤講師の割合については、文部科学省において三年に一度実施している学校教員統計調査において集計を行っており、平成十六年度における当該割合は十九・六パーセントである。

十二について

 文部科学省としては、専任教員としての採用については、各大学の自主的な判断に委ねられるものであると考えている。

十三について

 御指摘の「大学院の定員制度の柔軟化」の意味が必ずしも明らかではないが、国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第九条第一項に規定する国立大学法人評価委員会が平成十六年十月に定めた「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の各年度終了時の評価に係る実施要領」においては、各国立大学法人が行うべき業務を十分に行ったかどうかを測る基本的な指標の一つとして収容定員の充足状況を挙げているところであり、文部科学省としては、今後とも当該実施要領に基づき、国立大学法人の評価を適切に行ってまいりたいと考えている。

十四について

 政府としては、平成二十年七月に閣議決定した「教育振興基本計画」において、経済協力開発機構の加盟国における公財政支出の状況等を参考の一つとしつつ、必要な教育予算について財源を措置し、特に高等教育については、世界最高水準の教育研究環境の実現を念頭に置きつつ、教育投資を確保することとしているところである。



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