答弁本文情報
平成二十年十一月十一日受領答弁第一六八号
内閣衆質一七〇第一六八号
平成二十年十一月十一日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員長島昭久君提出海賊対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長島昭久君提出海賊対策に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘のような状況において、各国が自国の法令上の犯罪を取り締まるため、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において武器を使用することは、一般に国際法上禁じられていない。
また、御指摘の武器の使用は、海上において我が国の法令上の犯罪を取り締まるため、海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)第二十条第一項において準用する警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)第七条の範囲内で行うものであり、憲法第九条に反するものではない。
海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号。以下「条約」という。)第百一条は、海賊行為について、「私的目的のため」に行われるものであることを規定しているが、その認定は、個別具体の事例に則して判断すべきものであり、お尋ねに対して一概にお答えすることは困難である。
海賊行為の認定は、行為の目的についていかなる主張がされていたとしても、国際法上、条約第百一条に照らして判断されることになると考えている。
総合海洋政策本部においては、海賊に対する取締りのための法制度上の枠組みについて、条約等に則し、検討を進めているところであり、現時点でお答えすることは困難である。
政府としては、貿易立国である我が国にとって船舶の航行の安全の確保が不可欠であることにかんがみ、海賊問題への対応において重要な役割を果たす沿岸国との関係では、その海上取締り能力の強化と人材育成への協力を行ってきているところであり、今後とも、御指摘の決議が全会一致で採択されたことなどを踏まえ、沿岸国に対する協力を含め、海賊対策に積極的に取り組んでいく必要があるものと認識している。
ソマリア沖の海賊対策として、海上保安庁の巡視船を派遣することは、日本からの距離、海賊が所持する武器、有志連合軍の軍艦等が対応していること等を総合的に勘案すると、現状においては、困難である。
また、政府としては、総合海洋政策本部の下、関係府省が、自衛隊の活用を含めた海賊対策の在り方について、法制面の整備を含め所要の検討を進めているところである。
一般に、軍艦が、公海上において、民間船舶の安全を確保するために併走したり、民間船舶を襲撃しようとする海賊に対して、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用したりすることは、当該民間船舶の旗国の排他的管轄権を侵すものとは考えられず、国際法上、問題はないと考えられる。
公海上で海賊行為が行われた場合であって、日本国民に対する殺人、傷害等我が国の刑罰法令が適用される犯罪が犯されたときに想定される我が国の司法警察権の行使としては、例えば、犯人の逮捕、関連する物件の押収等が挙げられる。
また、お尋ねの「司法警察権の行使権限を付与」している国があるかどうかについては、現時点では、政府として把握していない。