答弁本文情報
平成二十年十一月十四日受領答弁第二一〇号
内閣衆質一七〇第二一〇号
平成二十年十一月十四日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員辻元清美君提出前航空幕僚長の自衛隊法および自衛隊員倫理法違反に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員辻元清美君提出前航空幕僚長の自衛隊法および自衛隊員倫理法違反に関する質間に対する答弁書
一の1について
防衛省としては、田母神前航空幕僚長は、民間企業が主催する懸賞論文に対して個人の資格で応募したと承知しているが、同氏が、当該懸賞論文の懸賞金等を受け取ったか否かについては、お答えする立場にない。
御指摘の論文(以下「当該論文」という。)については、「部外に対する意見の発表について」(昭和五十六年二月二十三日付け官広第八百十四号。以下「官房長通知」という。)に定める通報が、田母神前航空幕僚長から適切になされておらず、官房長通知に定める手続が執られていない。
一の2についてで述べたとおり、当該論文については、官房長通知に定める通報が適切になされておらず、平成二十年十月三十一日に、懸賞論文の主催者が、受賞論文を公表したことにより、論文の内容が明らかになったところである。
懸賞金等が明示された上で一般に募集され、公平・公正な審査が行われている懸賞論文であれば、賞金等を受け取ることは自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)第三条第二項に反するものではない。
田母神前航空幕僚長が御指摘の懸賞論文に応募したことについては、自衛隊法施行令(昭和二十九年政令第百七十九号)第八十六条各号に定める政治的目的に該当するとは認められず、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第六十一条において制限されている政治的行為には該当しない。
なお、田母神前航空幕僚長は、入隊時に服務の宣誓をしている。
田母神前航空幕僚長が、他の隊員に対して、御指摘の懸賞論文に応募するよう勧めていたか否かについては、現時点において、確認されていない。
当該論文には、先の大戦に関する政府の認識と明らかに異なる見解が述べられていると考えており、不適切であるとともに、憲法に関連する重要な事項について不適切な形で見解を述べていると認識している。
田母神前航空幕僚長の御指摘の懸賞論文への応募は、航空幕僚長の職務として行ったものではなく、私人として行ったものである。しかしながら、航空幕僚長のような要職にある者は、私人としての立場であっても、公的な立場での意見表明であると受け取られるおそれがあることにかんがみれば、意見の発表に当たって自らの立場と責任を自覚し節度をもって行うことは当然である。
田母神前航空幕僚長の勤務期間についての延長期限の繰上げによる退職については、防衛省より事前に内閣総理大臣秘書官を通じて麻生内閣総理大臣に報告した上で、防衛大臣が、その権限において行ったものである。