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平成二十年十二月九日受領
答弁第二九一号

  内閣衆質一七〇第二九一号
  平成二十年十二月九日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員吉井英勝君提出情報収集衛星の情報開示に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員吉井英勝君提出情報収集衛星の情報開示に関する質問に対する答弁書



(一)から(三)までについて

 我が国は、宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約(昭和五十八年条約第七号。以下「条約」という。)に基づき、情報収集衛星を含む人工衛星を条約第二条一に規定する登録簿に登録するとともに、条約第四条一に基づき、同登録簿に登録された人工衛星に関する所要の情報を国際連合事務総長に提供している。お尋ねの諸外国の対応については、承知していない。

(四)について

 人工衛星による電波の利用に当たっては、あらかじめ人工衛星の無線局について電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の規定に基づき申請を行い、総務大臣の免許を受ける必要がある。また、人工衛星の無線局の免許に当たっては、国際電気通信連合憲章(平成七年条約第二号)に基づく無線通信規則上、原則として、国際周波数登録原簿に登録するため、外国の無線局との間で有害な混信を生じさせることのないように調整を行い、その結果を国際電気通信連合へ通告することが必要である。

(五)について

 情報収集衛星については、電波法に基づき申請を行い、承認を受けている。情報収集衛星の免許申請日、落成検査日及び免許日については、これらを明らかにすることより、今後の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあることから、公表していない。
 また、国際電気通信連合通告日、国際周波数登録原簿登録日については、国際電気通信連合憲章第四十八条により、通告に係る義務が免除されており、周波数の通告手続は行っていない。

(六)について

 情報収集衛星は、これまで独立行政法人宇宙航空研究開発機構と開発委託の随意契約を結んで調達しているが、当該委託の内容について秘密にする必要があることから、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第二十九条の三第五項及び予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)第九十九条第一号の規定に基づき、随意契約としているものである。

(七)について

 お尋ねの「日米衛星調達合意」とは、「非研究開発衛星の調達手続等について」(平成二年六月十四日付けアクション・プログラム実行推進委員会決定。以下「決定」という。)を指すものと考えるが、「「日米衛星調達合意」のような国際取り決め」や「「衛星調達合意」」が、具体的に何を指すのか必ずしも明らかでないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

(八)について

 国家の安全保障のために不可欠な情報収集衛星の調達については、決定が適用されないこととなっている。

(九)について

 一般に、「衛星のシリーズ化」とは、特定の目的を有する一連の人工衛星の開発及び運用を継続的かつ体系的に行うことを指すものであり、我が国における実例としては、通信衛星「さくら」、放送衛星「ゆり」、気象衛星「ひまわり」などの事例がある。

(十)について

 情報収集衛星は「シリーズ化した衛星」に含まれるが、いずれにせよ、国家の安全保障のために不可欠な情報収集衛星の調達については、決定が適用されず、公開の入札手続を利用する必要はないものと考えている。

(十一)について

 鹿児島県警察においては、ロケットに情報収集衛星を積み込んでいるか否かも含めた諸般の情勢に応じて、必要な警戒警備を実施している。
 種子島宇宙センターにおけるH−UAロケットの打ち上げについては、平成十三年八月二十九日十六時零分に試験機一号機で「レーザ測距装置」、平成十四年二月四日十一時四十五分に試験機二号機で「民生部品・コンポーネント実証衛星(つばさ)」及び「高速再突入実験機」、同年九月十日十七時二十分に三号機で「データ中継技術衛星(こだま)」及び「USERS宇宙機」、同年十二月十四日十時三十一分に四号機で「環境観測技術衛星(みどりU)」等、平成十五年三月二十八日十時二十七分に五号機で「情報収集衛星」の打ち上げを実施した。また、同年十一月二十九日十三時三十三分の六号機の打ち上げ失敗を経て、平成十七年二月二十六日十八時二十五分に七号機で「運輸多目的衛星新一号(ひまわり六号)」、平成十八年一月二十四日十時三十三分に八号機で「陸域観測技術衛星(だいち)」、同年二月十八日十五時二十七分に九号機で「運輸多目的衛星新二号(ひまわり七号)」、同年九月十一日十三時三十五分に十号機で「情報収集衛星光学二号機」、同年十二月十八日十五時三十二分に十一号機で「技術試験衛星[型(きく八号)」、平成十九年二月二十四日十三時四十一分に十二号機で「情報収集衛星レーダ二号機」及び「光学三号機実証衛星」、同年九月十四日十時三十一分に十三号機で「月周回衛星(かぐや)」等、平成二十年二月二十三日十七時五十五分に十四号機で「超高速インターネット衛星(きずな)」の打ち上げを実施した。
 また、お尋ねの警備人数については、これを明らかにすることにより、今後の警備に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

(十二)について

 情報収集衛星の打ち上げに際しては、独立行政法人宇宙航空研究開発機構等から警備要請を受けているところであるが、鹿児島県警察においては、警備要請の有無にかかわらず、諸般の情勢に応じて、必要な警戒警備を実施している。

(十三)について

 平成二十年十一月一日現在、独立行政法人宇宙航空研究開発機構においては、宇宙技術開発株式会社から四十七名、有人宇宙システム株式会社から二十三名、株式会社エイ・イー・エスから十五名、三菱重工業株式会社から十三名、三菱電機株式会社から十一名、株式会社IHIから十一名、株式会社コスモテックから十名、株式会社IHIエアロスペースから九名、HIREC株式会社から八名、日本レコードマネジメント株式会社から六名、川崎重工業株式会社から六名、富士通株式会社から五名、三菱スペース・ソフトウェア株式会社から四名、株式会社IHIエアロスペース・エンジニアリングから四名、ソラン株式会社から四名、日本電気航空宇宙システム株式会社から三名、日本電気株式会社から三名、大興電子通信株式会社から三名、社団法人日本経済団体連合会から三名、株式会社スペースサービスから三名、株式会社IHIエスキューブから三名、日本電気ファクトリエンジニアリング株式会社から二名、大陽日酸株式会社から二名、千代田アドバンスト・ソリューションズ株式会社から二名、昭和電工株式会社から二名、三菱マテリアル株式会社から二名、三菱プレシジョン株式会社から二名、株式会社富士通アドバンストソリューションズから二名、株式会社日本旅行から二名、ジェイ・アール・イー株式会社から二名、明星電気株式会社から一名、富士通エフ・アイ・ピー株式会社から一名、富士重工業株式会社から一名、日油株式会社から一名、日本飛行機株式会社から一名、日本電気通信システム株式会社から一名、日本アビオニクス株式会社から一名、東京エレクトロニツクシステムズ株式会社から一名、中菱エンジニアリング株式会社から一名、多摩川精機株式会社から一名、綜合警備保障株式会社から一名、新日鉄ソリューションズ株式会社から一名、三向ソフトウェア開発株式会社から一名、三栄ハイテックス株式会社から一名、株式会社日立プラントテクノロジーから一名、株式会社東芝から一名、株式会社九電工から一名、株式会社パスコから一名、株式会社シーピーブロッサムから一名、株式会社ケイ・ジー・ティーから一名、株式会社クオテックから一名、株式会社エヌ・ティ・ティ・データから一名、株式会社SRAから一名、沖電気工業株式会社から一名、ネットワンシステムズ株式会社から一名、テック航空サービス株式会社から一名、セコム株式会社から一名、日本エア・リキード株式会社から一名、株式会社日本航空インターナショナルから一名、NECメディアプロダクツ株式会社から一名、MHIエアロスペースシステムズ株式会社から一名、KDDI株式会社から一名を受け入れている。
 内閣衛星情報センターの職員の出身企業名、人数等については、情報収集衛星の運用等にかかわる事項であり、これらを明らかにすることにより、今後の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

(十四)について

 お尋ねの出張者名、出張先や出張目的については、これらを明らかにすることにより、情報収集衛星の運用等の実態が明らかとなり、今後の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

(十五)及び(十六)について

 政府としては、情報収集衛星について、福岡県西方沖地震のような大規模災害への対応においても有効に活用しているところであり、答弁内容に誤りはない。また、御指摘の消防庁次長に対する処分又は訓告等は行われていない。

(十七)について

 情報収集衛星については、「情報収集衛星の導入について」(平成十年十二月二十二日閣議決定)において、外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主な目的とすることが定められており、政府としては、当該閣議決定に基づき、安全保障とともに大規模災害への対応においてもこれを有効に活用しているところであるが、その具体的な利用状況、撮像した画像の数量及び提供した画像の数量については、これらを明らかにすることにより、今後の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

(十八)について

 情報収集衛星は、外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主な目的とするものであり、政府としては、今後とも、これを有効に活用してまいりたい。

(十九)について

 御指摘の委託研究については、平成十五年度及び平成十六年度に実施したが、その結果、当時の委託先である石川島播磨重工業株式会社が想定した新型国産打ち上げロケットであるGXロケットと情報収集衛星との間に整合性があるとの見通しが得られたところである。なお、情報収集衛星はGXロケットによる打ち上げを前提として開発されているものではない。
 また、GXロケットの需要の見通しについては、今後、調査、検討を行うこととしている。



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