答弁本文情報
平成二十年十二月十六日受領答弁第三二二号
内閣衆質一七〇第三二二号
平成二十年十二月十六日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出約百カ国により署名されたクラスター爆弾禁止条約に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出約百カ国により署名されたクラスター爆弾禁止条約に関する質問に対する答弁書
一について
自衛隊が保有するクラスター弾の種類は、「千ポンドクラスター爆弾(CBU−八七/B)」、「多連装ロケットシステム二百九十八ミリメートル、M二六多目的弾」、「七十ミリメートルRL、M二六一多目的弾」及び「〇三式百五十五ミリメートルりゅう弾砲用多目的弾」である。なお、クラスター弾の保有数については、我が国の防衛能力にかかわるものであるため、お答えは差し控えたい。
我が国は、従来から、不発弾等がもたらす人道上の懸念を深刻に受け止め、クラスター弾を含む不発弾の処理に貢献するとともに、クラスター弾に関する条約(仮称)(以下「本条約」という。)を作成する過程においても、すべての関連する国際会議に参加し、実効性のある国際約束を作成することに積極的に関与してきた。本条約は、このような取組を行ってきた我が国にとって評価し得るものであり、クラスター弾がもたらす人道上の懸念への対応に向けた国際協力を推進するとの見地から重要な意義を有すると考えている。
本年五月にダブリンで行われた国際会議における本条約の採択を受けて、我が国の安全保障上必要となる措置についての検討を進めつつ、今後の具体的な対応振りを真剣に検討した結果、我が国の防衛に万全を期するためクラスター弾の機能の補完措置を早急に講じていくこと等により対処するものとし、この方針が安全保障会議において了承されたことも踏まえ、政府として本条約に署名するとの決定に至ったものである。
中曽根外務大臣は、本年十二月にオスロで行われた本条約の署名式において、我が国が行うクラスター弾を含む不発弾対策の支援について、現在実施中のもの又は最近決定され今後間もなく実施されるものの総額は約七百万米ドルとなる見込みであることを表明した。かかる支援の具体的内容は、レバノン共和国における被害者支援及び不発弾処理に対する支援、ラオス人民民主共和国における不発弾処理を行う政府機関の能力強化に対する支援、並びにカンボジア王国、ラオス人民民主共和国、アフガニスタン・イスラム共和国及びベトナム社会主義共和国における地雷及び不発弾の処理に対する支援である。
御指摘の三か国によるクラスター弾の製造量については、いずれの国も安全保障上の理由から公表しておらず、政府としてお尋ねの割合についてお答えすることは困難である。
本条約第二十一条1は、締約国が非締約国に対して本条約を批准等するよう奨励することを規定しているところ、我が国が本条約の締約国となった場合には、この規定に従って行動することとなる。他方、クラスター弾の規制に関しては、御指摘の三か国を含む本条約にいまだ署名していないクラスター弾の主要な保有国及び生産国が締結している、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約(昭和五十八年条約第十二号)の枠組みにおいても、現在交渉が行われているところ、政府としては、実効的な新たな議定書が作成されるよう積極的に貢献していく考えである。