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答弁本文情報

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平成二十二年六月二十二日受領
答弁第五六八号

  内閣衆質一七四第五六八号
  平成二十二年六月二十二日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員阿部知子君提出予防接種健康被害の救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出予防接種健康被害の救済に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第一条の改正は、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律(平成六年法律第五十一号)により行われたものであるが、法案の提案理由説明においては、感染症の発生の減少、医学医術の進歩、国民の健康意識の向上等の予防接種を取り巻く諸環境の変化の中で、極めてまれにではあるが健康被害が発生する予防接種について、高い接種率を維持していくためには、国民の理解を得られる制度としていくことが重要であるとの認識に立ち、予防接種による健康被害についての救済措置の充実等を図る旨述べられているところである。

二について

 予防接種後副反応報告を実施することとした平成六年の改正以前においても、予防接種後に健康被害が発生した場合には、「予防接種の実施について」(昭和五十一年九月十四日付け衛発第七百二十六号厚生省公衆衛生局長通知)に基づき、市町村長から都道府県知事を経由して国に報告がなされていたところである。
 平成六年の改正においては、御指摘の予防接種禍集団訴訟を始め予防接種に関する一連の訴訟における司法判断及びこれらの訴訟を通じて形成された世論を踏まえ、極めてまれに健康被害が発生する予防接種について国民の理解を得られる制度としていくため、国民に対する情報提供を充実することとしたところであり、その一環として、予防接種による健康被害の発生状況を把握し、予防接種後の被接種者の健康状況の変化についての情報を広く国民に提供すること及び今後の予防接種行政の推進に資すること等を目的として、予防接種後副反応報告制度を創設したところである。

三について

 御指摘の公表の遅れ等は、平成二十一年四月の新型インフルエンザ発生以降、予防接種を含む感染症対策業務全般が繁忙を極めたことによるものである。現在、集計作業等を進めているところであり、終了後、その結果を速やかに公表してまいりたい。

四について

 予防接種法第十一条第一項に規定する認定に要する処理期間は、平成十八年度から平成二十年度までの三年間の平均で約十か月となっているが、平成六年の改正以前にした認定については、その申請日時に係る記録を保存していないため、お尋ねのような比較を行うことは困難である。なお、認定の審査体制については、改正前後で特段の変更はない。

五について

 御指摘の平成十年度及び平成二十年度に実施された調査については承知している。また、御指摘の三氏らによる調査については、少なくともその一部が、白木博次氏の著作である「冒される日本人の脳−ある神経病理学者の遺言」(藤原書店)に、田中昌人氏の著作である「予防接種被害の発達的特徴と改善措置の基本方向」(障害者問題研究第二十六巻第四号、全国障害者問題研究会)に、二木立氏の著作である「九〇年代の医療と診療報酬」(勁草書房)に掲載されていることは承知している。
 また、お尋ねの「数的な実態」としては、平成二十一年度に疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会において認定された四十件のうち主なものを挙げると、BCGによる瘢痕ケロイド及び骨炎・骨髄炎がそれぞれ七件及び六件、急性灰白髄炎の予防接種による麻痺が四件となっている。また、お尋ねの「疾病・障害の部位、診断名」としては、ジフテリア、百日せき、破傷風、日本脳炎、麻しん、風しん及びインフルエンザの予防接種では、アナフィラキシー並びに脳炎、脳症その他の中枢神経症状及びそれらに伴う後遺症等があり、急性灰白髄炎の予防接種では、急性灰白髄炎及びその後遺症等があり、BCGでは、リンパ節の腫脹、接種局所の膿瘍、骨炎等がある。また、お尋ねの「重症度、社会復帰の可能性、家族の心身あるいは経済的負担」については、認定患者ごとに異なることから、一概にお答えすることは困難である。
 また、お尋ねの要望としては、平成二十一年十二月に全国予防接種被害者の会から保健福祉事業の充実について要望を受けたところであり、これを踏まえ、「予防接種健康被害者への対応について(依頼)」(平成二十二年六月二日付け厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)において、都道府県を通じて市町村に対し、例えば、介護が必要な予防接種健康被害者に対して介護・福祉制度について適切な情報提供を行うとともにニーズに応じた利用ができるよう支援すること等について協力依頼をしたところである。

六について

 お尋ねのような調査研究は、厚生労働省として把握している限りでは、実施されていないものと承知している。
 また、御指摘の「利用率」については、予防接種後副反応報告は、「定期の予防接種の実施について」(平成十七年一月二十七日付け健発第〇一二七〇〇五号厚生労働省健康局長通知)に規定する予防接種後副反応報告書報告基準等に基づき医師が予防接種後に一定の症状を認めた場合に行われるものであり、報告事例のすべてが健康被害救済の対象になるとは限らないことから、直ちにその高低を論ずることはできないものと考えている。
 また、お尋ねの措置としては、予防接種を実施する際に、予防接種後の通常起こり得る反応及びまれに生じる重い副反応並びに予防接種健康被害救済制度について医師から被接種者又はその家族に説明を行うよう指導してきているところである。

七の(一)から(三)までについて

 御指摘のような一般化、定型化した医学的な判断基準を認定拒否処分の理由として提示することとしたのは、平成二十年五月以降のことであり、予防接種と健康被害の因果関係の認定は極めて専門的な知見を要するものであり、簡便な補足的説明を付記すると、かえって一般国民にとって理解が困難となる場合があること等を踏まえたものであるが、認定拒否処分の理由を相当詳細に提示する方が望ましいとの意見があったこと等を踏まえ、平成二十二年三月以降、医学的な判断基準の当てはめについて詳細な説明を加えることとしたものである。

七の(四)について

 疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会における委員等の意見について、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第十二条の規定に基づく開示の請求があった場合には、平成二十二年五月以降、御指摘の答弁も踏まえ、当該分科会の委員の氏名等の個人を識別することができる情報及び第三者の個人情報に係る部分を除き、原則として、すべて開示することとしている。

八について

 御指摘のような見直しとしては、医薬品副作用被害救済制度(生物由来製品感染等被害救済制度を含む。厚生労働省医薬食品局所管)における薬事・食品衛生審議会薬事分科会副作用・感染等被害判定第一部会及び同第二部会についても、実施を検討することとしている。また、どのような健康被害救済制度について御指摘のような検討を行う必要があるかについては今後検討していく必要があり、その結果も踏まえて、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)等関係法令の適切な運用に努めてまいりたい。



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