答弁本文情報
平成二十二年十一月九日受領答弁第一〇三号
内閣衆質一七六第一〇三号
平成二十二年十一月九日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員村田吉隆君提出労働基準監督機関の役割に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員村田吉隆君提出労働基準監督機関の役割に関する質問に対する答弁書
一について
労働基準監督官は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百一条、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第三十二条等の規定に基づき、臨検、帳簿及び書類の提出要求等(以下「臨検等」という。)を行うものであり、臨検等は行政指導には当たらないが、いずれにせよ、労働基準監督官は、法律の施行に必要な限度で臨検等を行うことができるものである。
お尋ねの労働基準監督機関の基本的役割は、法定労働条件の確保による労働者保護にあり、これを果たすために行う監督指導の目的は、使用者に対して法違反を指摘するとともに、法の趣旨を十分に理解させ、法遵守のための方法等について助言指導することにより、その的確な是正と遵法意識の定着化を図ることにあると認識している。
労働基準監督官は、臨検等の結果、労働基準法に違反して賃金が支払われていないことが確認された場合や、労働時間数等の全部又は一部について賃金が支払われていない事実がある旨の労働者からの申告があることなど、同法に違反して賃金が支払われていない疑いがあるため、使用者に対し当該労働時間数等を自主的に確認するよう指導を行った結果、同法に違反することが確認された場合には、当該違反を的確に是正させるため、使用者に対しその不払賃金の支払をするよう勧告を行うものである。
これらの勧告や指導は、厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)第四条第一項第四十一号に掲げる厚生労働省の所掌事務に関する行政指導として行うものである。
労働基準監督機関においては、御指摘のようにタイムカードの記録により算定された労働時間に基づく賃金の支払を強要しているわけではなく、タイムカードの使用を含め、個々の事業場の実情に応じた適切な方法により確認された労働時間に基づき、賃金を支払うよう行政指導を行っているものである。
現在、労働基準監督官が、労働基準法上、同法に違反して支払われていない賃金の支払を命ずる権限を有していないことは、昭和六十二年当時と同様である。
労働基準法第百一条に基づく臨検等は、犯罪捜査のために行うものではないが、いずれにせよ、同法の施行に必要な限度で行うことができるものである。