答弁本文情報
平成二十二年十一月十二日受領答弁第一二二号
内閣衆質一七六第一二二号
平成二十二年十一月十二日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員中島隆利君提出利根川の洪水流量計算に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員中島隆利君提出利根川の洪水流量計算に関する質問に対する答弁書
一及び二について
御指摘の「利根川の流出計算で使用された「流域分割図」や「流出モデル図」」については、御指摘の記者会見における馬淵国土交通大臣の発言のとおり、「構想段階の洪水調節施設の建設予定地点を推定できるもの」であることから、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第五条第五号に規定する「公にすることにより・・・不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」がある不開示情報に該当すると判断している。
なお、御指摘の「二訂 建設省河川砂防技術基準(案)調査編」に掲載されている「利根川上流の流域分割図と流出モデル図」は、あくまで貯留関数法の計算に関する資料の例として掲載されたものであると承知しており、利根川水系工事実施基本計画等で定めた基本高水のピーク流量の検討の過程において行った流出計算に用いたものではなく、「構想段階の洪水調節施設の建設予定地点を推定できるもの」ではない。
お尋ねの「昭和三十三年洪水」の再現計算を行った時期については、資料を確認することができず、お答えすることは困難である。
お尋ねの「昭和五十七年洪水」及び「平成十年洪水」の再現計算は、平成十七年度に行っており、当該計算に使用した流出計算モデルの貯留関数法に関する資料は、平成十七年度に行った調査業務の報告書等として保存している。
また、お尋ねの「昭和五十五年の基本高水流量計算資料の記載事項」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、昭和五十五年に利根川水系工事実施基本計画を変更した当時の関係資料は確認されていない。
お尋ねの「計算条件の相違点」については、御指摘の平成十七年三月及び平成十八年七月に国土交通省関東地方整備局が発表した「利根川水系利根川浸水想定区域図」(以下「利根川浸水想定区域図」という。)並びに「平成二十二年四月二日の中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」に提出された資料」(以下「専門調査会資料」という。)に係る流出計算は、実際の堤防等の整備の状況並びに相俣ダム、藤原ダム、奈良俣ダム、矢木沢ダム、薗原ダム及び下久保ダムによる洪水調節の効果を考慮して計算したものであるのに対し、昭和五十五年に利根川水系工事実施基本計画を変更した際の基本高水のピーク流量の検討の過程において行った流出計算は、将来的に堤防等の整備が進んだ状況を想定した上で、洪水調節施設が存在しないと仮定して計算したものであるという点である。お尋ねの「流域分割数」、「流域定数」及び「河道定数」については、これらのいずれの流出計算においても同じである。また、八斗島地点におけるピーク流量は、利根川浸水想定区域図に係る流出計算では毎秒一万六千七百五十立方メートルであり、専門調査会資料に係る流出計算では毎秒一万六千七百四十八立方メートルである。
お尋ねの「計算条件の相違点」については、御指摘の「八ッ場ダム事業再評価資料」に係る流出計算は、利根川水系に年超過確率二百分の一の洪水が生起した場合について、昭和二十二年九月の洪水時の降雨パターンを用いて計算したものであるのに対し、昭和五十五年に利根川水系工事実施基本計画を変更した際の基本高水のピーク流量の検討の過程において行った流出計算は、昭和二十二年九月の洪水時の降雨実績を用いて計算したものであるという点である。お尋ねの「流域分割数」、「流域定数」及び「河道定数」については、これらのいずれの流出計算においても同じである。また、「八ッ場ダム事業再評価資料」に係る流出計算による八斗島地点におけるピーク流量は毎秒二万九百八十七立方メートルである。