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平成二十三年五月二十日受領
答弁第一七四号

  内閣衆質一七七第一七四号
  平成二十三年五月二十日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員橘慶一郎君提出福島第一原子力発電所事故に係る被災者支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員橘慶一郎君提出福島第一原子力発電所事故に係る被災者支援に関する質問に対する答弁書



一について

 総務省の「平成二十二年国勢調査」及び一部の地方公共団体から提供された数値を用いて推計したところでは、御指摘の警戒区域、計画的避難区域及び緊急時避難準備区域(以下「三区域」という。)の人口は約十四万六千五百人、世帯数は約五万世帯である。また、総務省の「平成二十一年経済センサス基礎調査」を用いて推計したところでは、三区域内に所在する事業所の数は約七千七百である。

二について

 農林水産省の「平成十八年生産農業所得統計」によると、その域内に三区域に指定された区域がある福島県田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村における平成十八年の農業産出額の合計は、約三百九十一億円である。
 経済産業省の「平成二十年工業統計調査」によると、三区域における平成二十年の製造品出荷額等は、約二千百六十四億円である。
 経済産業省の「平成十九年商業統計調査」によると、三区域における平成十九年の商品販売額は、約八百九十二億円である。
 農林水産省の「平成二十一年漁業生産額」によると、福島県における平成二十一年の海面漁業の生産額は、約百六十億円である。

三について

 御指摘の「税務上の対応」については、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収(以下「国税の申告・納付等」という。)に関する期限のうち、青森県、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県(以下「指定地域」という。)に国税の納税地を有する者に係るもの(当該国税の納税地が指定地域にあるものに限る。)であって、その期限が平成二十三年三月十一日以降に到来するものについて、国税通則法施行令(昭和三十七年政令第百三十五号)第三条第一項の規定に基づき、その期限を別途国税庁告示で定める期日まで延長するとしたところである。
 また、所轄の税務署長等においては、指定地域以外の地域に国税の納税地を有する者が、指定地域内にある支店等の被災により、国税の申告・納付等を期限までにすることができないと認める場合には、同条第二項の規定に基づき、当該行為をすべき者の申請により、期日を指定して当該期限を延長することとしている。
 警戒区域への一時立入りについては、「警戒区域への一時立入許可基準」(平成二十三年四月二十三日原子力災害対策本部長決定)に沿って、市町村長が「立入りができなければ著しく公益を損なうことが見込まれる者」と認める場合には、原子力災害現地対策本部長と調整の上、これを許可している。一時立入りの際には、帳簿、パソコン等を持ち出すことも可能である。

四について

 平成二十三年五月十七日現在、仮払の請求書の配布枚数については約九万八千枚、請求件数については約五万二千件、仮払補償金の振込件数については約一万八千件と承知している。

五について

 東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)においては、約五百人規模の仮払補償の実施のための体制を構築し、関係自治体の協力を得つつ、福島県外を含む避難先の自治体庁舎及び主要な避難所における説明会、個別訪問相談等を実施するとともに、仮払補償金の支払を含む原子力損害の補償に係る相談、受付等を行う百回線の専用コールセンターの開設等電話受付を強化し、また、新聞、テレビ、ラジオ等を通じて仮払補償金の支払を行っている旨を広く周知しているところであり、これらの取組により、遠隔地へ避難している方を含む全ての対象者に迅速に仮払補償金を支払うことができるよう努めているものと承知している。

六について

 御指摘については、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)(以下「賠償法」という。)に基づき文部科学省に置かれた原子力損害賠償紛争審査会が平成二十三年四月二十八日に策定した「東京電力(株)福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第一次指針」(以下「第一次指針」という。)において、政府による指示に基づく行動等によって生じた一定の範囲の損害に関する賠償の考え方を明らかにしたところであり、第一次指針の対象外となった損害項目やその範囲については、同審査会において、今後可能な限り速やかに検討を進め、その結果を取りまとめていくこととしている。また、原子力発電所事故経済被害対応チーム関係閣僚会合が同年五月十二日に決定した「原子力災害被害者に対する緊急支援措置について」においては、農林漁業者が被った営業損害のうち第一次指針において示されたものについて、東京電力に当面の必要な資金を可及的速やかに支払うことを求めるとともに、中小企業者が被った営業損害のうち第一次指針において示されたものについて、東京電力による迅速な損害賠償の実現に向け関係者間で早急に検討を実施する等の措置を講ずることとしている。

七について

 お尋ねの「現段階で固まった金額」については、賠償額について予断を与えるおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。なお、第一次指針は、政府による指示に基づく行動等によって生じた一定の範囲の損害に関する賠償の考え方を示したものであり、これにより個々の被害者に対する賠償額が確定するものではない。

八について

 お尋ねの「仮払い額」は、被災者生活再建支援法(平成十年法律第六十六号)に規定する、被災世帯となった世帯の世帯主に対し被災者生活再建支援金として支払われる額を踏まえ、東京電力が決定したものと承知している。今後、原子力損害賠償紛争審査会が策定する指針等を踏まえ、お尋ねの「追加支払い」を含め、東京電力が適切な対応を検討することになると承知している。

九について

 東京電力からは、平成二十三年五月十日に海江田国務大臣に提出した「原子力損害賠償に係る国の支援のお願い」において、社債発行や金融機関からの借入れ等による資金調達が極めて厳しい状況にあるとの認識が示されている。
 また、同文書においては、東京電力としては、その保有する有価証券及び不動産の売却、事業の整理等により、できる限りの資金を捻出し、被害者の補償等に充当する予定であることが示されている。

十について

 東京電力株式会社福島第一原子力発電所(以下「福島第一原子力発電所」という。)及び東京電力株式会社福島第二原子力発電所(以下「福島第二原子力発電所」という。)の事故を受けて、東京電力は、最大限の経営合理化と経費削減を行うこと、政府が設ける第三者委員会の経営財務の実態の調査に応じること等を文書にて明らかにしており、政府としても、被害者の方々が適切な賠償を受けられるよう、万全を期してまいりたい。

十一及び十二について

 福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故による損害については、賠償法に基づき、一義的には、東京電力が責任をもって対応することになると考えている。
 一方、政府としては、平成二十三年五月十三日に開催された原子力発電所事故経済被害対応チーム関係閣僚会合において、迅速かつ適切な損害賠償のための万全の措置、福島第一原子力発電所の状態の安定化、事故処理に関係する事業者等への悪影響の回避及び国民生活に不可欠な電力の安定供給の確保のため、「東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて」を決定したところであり、この枠組みも踏まえながら、被害者の方々が迅速かつ適切な賠償を受けられるよう、全力で取り組んでまいりたい。
 なお、平成二十三年度第一次補正予算においては、東京電力による賠償金の支払を直接支援するための経費は計上していない。

十三について

 現在最も重要なことは、福島第一原子力発電所の事故をいかに収束させるかということであり、政府として、事態の収束に最善を尽くしているところである。その上で、お尋ねの「関係する組織」の在り方については、事故の原因に関する徹底的な検証を踏まえ、議論していくことになるものと考えている。



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