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平成二十三年六月七日受領
答弁第二一五号

  内閣衆質一七七第二一五号
  平成二十三年六月七日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員野田聖子君提出東京電力福島第一原子力発電所事故に係る原子力損害賠償及び当該事故を起因とするエネルギー政策の見直し等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員野田聖子君提出東京電力福島第一原子力発電所事故に係る原子力損害賠償及び当該事故を起因とするエネルギー政策の見直し等に関する質問に対する答弁書



一の1から4まで及び6について

 平成二十一年度における我が国の発電電力量は、九千五百六十四億キロワットアワーである。また、平成四十二年度における発電電力量は、経済産業省が平成二十二年六月に公表した「二〇三〇年のエネルギー需給の姿」においては一兆二百億キロワットアワーと試算している。東日本大震災が電力需要に直接与える影響についてお示しすることは困難であるが、現在基幹電源として年間発電電力量の約三割を担っている原子力発電の在り方や電気事業の在り方を含めた今後のエネルギー政策の在り方については、東日本大震災を踏まえ、国民各層の御意見を伺いながら、予断なく議論を行うこととしており、「エネルギー基本計画」(平成二十二年六月十八日閣議決定)の見直しや将来の電力需給については、そうした議論の中で検討してまいりたい。
 なお、「エネルギー基本計画」の見直しに当たっては、エネルギー政策基本法(平成十四年法律第七十一号)第十二条の規定に基づき、経済産業大臣が関係行政機関の長及び総合資源エネルギー調査会の意見を聴き、見直しの案を作成した上で、閣議決定することとなる。

一の5について

 「夏期の電力需給対策について」(平成二十三年五月十三日電力需給緊急対策本部決定)においては、電力需要の抑制に当たっては、経済活動への影響を最小化するため、使用最大電力を抑制することを基本とし、需要家が創意工夫を凝らして操業・営業時間の調整及び変更、休業日及び夏季休暇の分散化等に計画的に取り組むことにより、企業活動に極力支障の出ないようにすることとしている。

二の1について

 原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号。以下「原賠法」という。)第三条第一項ただし書の「異常に巨大な天災地変」については、昭和三十六年の法案提出時の国会審議において、「人類の予想していないような大きなもの」であり、「全く想像を絶するような事態」であるなどと説明されており、これは、原子力損害については、一義的に原子力事業者が責任を負うべきであるという趣旨であると理解している。
 このため、政府としては、今回の東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故(以下「福島原子力発電所事故」という。)に係る原子力損害については、同項ただし書ではなく、原子力事業者がその賠償責任を負うとする同項本文が適用されることを前提に対応を進めているところである。なお、平成二十三年五月十日には、東京電力から海江田原子力経済被害担当大臣に対し、原子力事業者が原賠法第三条に基づき損害賠償を行うために必要な援助について規定した原賠法「第十六条に基づく国の援助の枠組みを策定していただきた」いとの要請がなされているところである。

二の2、三の4及び四の2について

 東京電力は、福島原子力発電所事故の収束に向けた対応に係る費用の増大や火力発電に必要な化石燃料の価格の高騰等により、賠償に係る費用に加え相当な資金が必要となる見込みである一方、資金調達の面で厳しい状況に置かれており、二の1についてで述べたとおり、平成二十三年五月十日には、東京電力から海江田原子力経済被害担当大臣に対し、原子力事業者が原賠法第三条に基づき損害賠償を行うために必要な援助について規定した原賠法「第十六条に基づく国の援助の枠組みを策定していただきた」いとの要請がなされたところである。これを受け、政府としては、同条に規定する必要な援助として、「東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて」(平成二十三年五月十三日原子力発電所事故経済被害対応チーム決定。以下「政府の支援の枠組み」という。)を決定したところであり、これを具体化することにより、東京電力その他の原子力事業者の資金調達が困難となることは避けられるものと考えている。
 なお、政府の支援の枠組みは、原子力事業に係る巨額の損害賠償を負う可能性がある全ての原子力事業者が、相互扶助の観点から、本来あるべき原子力発電のコストを負担するという考え方に基づいたものである。

二の3について

 お尋ねの「東電と国の負担」の意味するところが必ずしも明らかではないが、福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に要する費用については、原賠法に基づく原子力損害賠償補償契約により政府から東京電力に補償される額を超える分は、原賠法に基づき一義的に賠償責任を負う東京電力が負担すべきものと考えている。

三の1及び2について

 政府としては、政府の支援の枠組みの決定に先立ち、平成二十三年五月十日に、東京電力が「全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うこと」を、東京電力に確認している。御指摘の発言は、「金融市場のルールを無視」し、政府が金融機関に東京電力に対する貸付債権の放棄を法的に求めることを意図したものではなく、当該確認事項を踏まえ、政府が東京電力に公的資金の注入等の支援を行うに当たっては、国民的な理解が必要であるとの見解を示したものである。政府としては、こうしたことも踏まえ、東京電力が「全てのステークホルダーに協力を求め」ることが必要であり、東京電力及び東京電力の「全てのステークホルダー」は、それぞれ民間の立場で、必要な協力について判断するものと考えている。

三の3について

 お尋ねの「当事者、国(納税者)、契約者以外の支払者(たとえば、他電力会社)を認定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府の支援の枠組みにおいては、東京電力を含む原子力事業に係る巨額の損害賠償を負う可能性がある全ての原子力事業者の相互扶助の観点から、本来あるべき原子力発電のコストを負担することとしている。また、東京電力のその他の「ステークホルダー」については、それぞれ民間の立場で、必要な協力について判断するものと考えている。

四の1について

 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第三十七条に規定する一般電気事業者の社債権者の法的地位については、政府の支援の枠組みにおいても変更されるものではなく、お尋ねの「超法規的措置」を採ることは考えていない。



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