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答弁本文情報

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平成二十三年六月十四日受領
答弁第二二七号

  内閣衆質一七七第二二七号
  平成二十三年六月十四日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員馳浩君提出生活保護と不正受給の問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員馳浩君提出生活保護と不正受給の問題に関する質問に対する答弁書



一及び四について

 生活保護受給者については、平成八年度以降、一貫して増加しているが、その主な要因としては、厳しい経済状況、雇用情勢の中で世帯主が失業した世帯の増加、稼働能力の乏しい高齢者が世帯主である世帯の増加が挙げられる。
 生活保護受給者の増加により、生活保護受給者の個々の状況に応じて自立・就労支援、不正受給対策等を適切に実施することが困難となるなどの影響が出るおそれがあると考えている。このため、生活保護受給者に対する自立・就労支援、不正受給対策等の実施体制の強化を図る必要があると考えており、今後、「生活保護制度に関する国と地方の協議」において、生活保護受給者に対する自立・就労支援の強化、不正受給対策等の実施体制の在り方について検討を行い、その結果を踏まえ、必要な措置を講じてまいりたい。

二について

 御指摘の診療報酬明細書(以下「レセプト」という。)の電子化については、平成二十三年四月から運用を開始したばかりであり、今後、その具体的効果を把握してまいりたい。

三について

 お尋ねの人数については把握していない。なお、厚生労働省の調査によると、公共職業安定所や福祉事務所等による就労支援策を通じて就職し、又は所得が増加した生活保護受給者の数は、平成二十一年度において四万五千三百五十三人であり、このうち生活保護を廃止した者の数は、八千八百九十七人である。

五について

 生活保護受給者の自立のためには、生活保護受給者に対する就労支援の強化とともに雇用環境の整備・確保が重要であると認識しており、引き続き、職業訓練の実施、個別求人開拓、非正規雇用者の正規雇用への円滑な移行支援等の施策を一体的に推進してまいりたい。

六について

 「平成二十一年度生活保護法施行事務監査の実施結果報告」によると、生活保護の不正受給の件数は一万九千七百二十六件、その金額は百二億千四百七十万四千円である。また、その主な内容は、稼働収入の無申告又は過小申告及び各種年金等の無申告である。

七について

 厚生労働省としては、地方自治体に対し、生活保護受給者の収入の状況を客観的に把握するため、年一回、税務担当官署の協力を得て生活保護受給者に対する課税の状況を調査するよう要請しているところであり、平成二十一年度においては、こうした調査により、不正受給件数全体の約九割に当たる一万七千六百二十一件の不正受給が発見されている。また、医療扶助については、地方自治体に対し、電子化されたレセプトの活用等により、不正行為の早期発見等を行うよう要請しているところである。
 いわゆる貧困ビジネスについては、地方自治体に対し、無料低額宿泊所等の入所者に対する訪問調査や生活保護受給者本人に対する生活保護費の直接交付等により、生活保護受給者に対する適切な支援の確保を図るよう要請しているところである。

八について

 厚生労働省としては、各地方自治体においては、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第十六条に規定する数を標準として、生活保護に係る事務の実施に支障が生じないようケースワーカーの定数を定めるべきと考える。

九について

 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第一条においては、「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」と規定しているが、同条に規定する最低限度の生活の水準については、一般国民の消費実態との均衡等を考慮しつつ、同法第八条の規定に基づき、保護基準を定めているところである。

十について

 公的年金制度は、国民全体が連帯し、世代間で支え合うことによって、高齢期等における稼得能力の喪失・減退を補填するものであり、現役時代における保険料の納付実績に応じた年金額を、原則として、個人の所得や資産の状況にかかわらず高齢期に給付する社会保険方式を採用している。一方、生活保護制度は、年金を含め利用し得る収入、資産等を活用してもなお最低限度の生活を維持することができない者に対して、当該者の状況に応じた最低生活費を保障するものであり、両制度を単純に比較することは適当ではない。
 また、労使の代表を含む最低賃金審議会における議論を踏まえ、毎年、地域別最低賃金額から税や社会保険料を控除した後の金額(以下「控除後の最低賃金額」という。)と、生活保護における若年単身世帯の生活扶助基準の都道府県内人口加重平均に住宅扶助の実績値を加えたもの(以下「生活保護水準」という。)との比較を行い、控除後の最低賃金額が生活保護水準を下回る都道府県については、生活保護水準と控除後の最低賃金額との差額を解消するまでの年数を設け、計画的に解消を図っているところである。
 なお、生活保護基準額については、納税者である国民の納得を得られるものとなるよう、現在、専門の部会において多角的な検証を進めているところである。

十一について

 政府としては、現時点においては、生活保護費に関する国と地方の費用負担の割合を変更することが必要であるとは考えていない。

十二について

 我が国と他国の生活保護の捕捉率については、我が国と他国とでは公的扶助制度の内容が異なることから、単純にこれを比較することは適当でないと考えている。いずれにせよ、今後とも、生活保護が必要とされる世帯に対し、適切に生活保護が行われるよう努めてまいりたい。



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