答弁本文情報
平成二十三年六月十七日受領答弁第二三三号
内閣衆質一七七第二三三号
平成二十三年六月十七日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員浅野貴博君提出いわゆる布川事件で容疑者とされ服役させられた人物の無罪が確定した件に対する政府の見解に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員浅野貴博君提出いわゆる布川事件で容疑者とされ服役させられた人物の無罪が確定した件に対する政府の見解に関する質問に対する答弁書
一及び二について
御指摘の「布川事件」については、最高裁判所で無期懲役の判決が確定したものの、再審の判決において、櫻井氏及び杉山氏が犯人であることを推認させる間接証拠は存在せず、また、両氏の自白には信用性がなく、任意性にも疑問があるため、両氏が犯人であると証明するに足りる証拠は存在しないとして、強盗殺人につき無罪が言い渡されたものと承知しているが、お尋ねは、具体的事件の捜査手続及び刑事裁判手続における捜査機関の活動内容及び裁判所の判断に関わる事柄であるので、お答えを差し控える。
お尋ねの櫻井氏及び杉山氏の取調べを担当した警察官及び検察官は、既に退職している。
警察庁としては、当時、所要の捜査が尽くされたものと認識しているが、再審の無罪判決を厳粛に受け止めている。
警察庁としては、お尋ねの櫻井氏及び杉山氏の取調べを担当した警察官に対し、謝罪するよう求めることは考えていない。
検察当局においては、御指摘の「布川事件」の捜査・公判活動は適法に行われたものと認識しつつ、再審の無罪判決を厳粛に受け止めているものと承知している。
検察当局においては、お尋ねの櫻井氏及び杉山氏の取調べを担当した検察官に対し、謝罪するよう求めることは考えていないものと承知している。
政府としては、御指摘の富山県氷見市の事件、鹿児島県志布志市の事件及び「足利事件」において、司法手続を経て明らかにされた問題点について重く受け止めており、捜査当局において、今後とも、信用性のある供述の確保とその裏付け捜査の徹底、証拠物やその鑑定等の客観的な証拠の十分な収集、検討等に意を用い、事件の適正な捜査処理に努めるべきと考えている。
なお、現在、法制審議会において、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するため、取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方の見直しや、被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の導入等、刑事の実体法及び手続法の整備の在り方について審議がなされているところであり、また、国家公安委員会委員長の研究会において、治安水準の維持という観点も踏まえて、取調べの高度化と可視化、捜査手法の高度化等について幅広く検討することとしており、諸外国の取調べ、捜査手法等について調査を行うとともに、我が国の取調べの機能等について、順次検討を進めているところである。