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答弁本文情報

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平成二十三年七月十九日受領
答弁第三一五号

  内閣衆質一七七第三一五号
  平成二十三年七月十九日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員吉井英勝君提出大規模災害時における情報収集衛星の活用に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員吉井英勝君提出大規模災害時における情報収集衛星の活用に関する再質問に対する答弁書



(一)及び(二)について

 お尋ねについては、内閣官房、警察庁、消防庁、公安調査庁、外務省、経済産業省、海上保安庁、国土地理院及び防衛省において、それぞれの所掌事務の範囲内で、被災地における被災者の捜索及び救援並びに被災地の状況把握等を行うに当たり、内閣衛星情報センターから、同センターが行った情報収集衛星の撮像画像の判読・分析の結果(以下「情報収集衛星の画像情報」という。)の配付を受け、これを情報源の一つとして利用したところである。

(三)について

 お尋ねについては、情報収集衛星の性能と運用状況が明らかになると、これを基に撮像対象から隠蔽工作等の対抗措置が講じられることにより、円滑な情報収集活動が困難となるおそれがあるからである。

(四)について

 政府としては、情報収集衛星の画像情報の利用に加え、必要に応じ、民間の商用衛星や航空機により撮影された画像を活用しているところであり、「情報収集衛星の画像は必要としないのではないか」との御指摘は当たらないと考える。

(五)について

 お尋ねについては、情報収集衛星の性能及び運用状況が明らかになり、今後の安全保障上の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

(六)及び(七)について

 政府としては、情報収集衛星の画像情報については、情報収集衛星等に関する秘密について保全措置を講じている者以外の者には非公開としており、東日本大震災への対応を行うに当たり、当該保全措置を講じている者以外の者に対して衛星の画像を提供する必要があったことから、内閣衛星情報センターが、商用衛星の画像を購入したものである。

(八)について

 お尋ねの商用衛星画像の購入金額及び購入先は、QuickBirdの画像が二千百七十六万九千八百六十円及び株式会社日立ソリューションズ、WorldView-1の画像が四百九十四万九千二百八十円及び同社、WorldView-2の画像が六百六十八万九千百三十円及び同社、IKONOSの画像が百二十六万円及び日本スペースイメージング株式会社並びにGeoEye-1の画像が百四十一万七千五百円及び同社である。
 また、今回の購入に係る各衛星の直下視の分解能は、QuickBirdが六十センチメートル、WorldView-1が五十センチメートル、WorldView-2が五十センチメートル、IKONOSが一メートル及びGeoEye-1が五十センチメートルであると承知している。

(九)について

 お尋ねの画像購入の契約に当たっては、内閣衛星情報センターにおいて公募を行ったが、参加の意思表明があったのが株式会社日立ソリューションズ及び日本スペースイメージング株式会社のみであり、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第二十九条の三第四項に規定する「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当することから、当該二社と随意契約を締結したものである。
 なお、当該契約においては、年間を通じた画像の単価を定めており、(八)についてでお答えした購入金額に対する予定価格は存在しない。

(十)について

 レーダ衛星は、光学衛星と異なり、天候及び昼夜を問わず撮像が可能であり、的確な情報収集活動を行うためには、光学衛星及びレーダ衛星のそれぞれの機能を活用する必要があると考えている。

(十一)について

 情報収集衛星については、今後とも、外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主な目的として、有効に活用していくこととしている。

(十二)について

 お尋ねの情報収集衛星は合計で十五機である。また、情報収集衛星の開発については、内閣衛星情報センターから、その委託を受けた事業者が、複数の事業者からの提案を受け、その技術や価格を総合的に評価した上で衛星の製造を請け負う事業者を選定することとしており、現時点において、今後、衛星の製造を請け負うこととなる事業者は未定である。したがって、「三菱電機の情報収集衛星の受注を確保することを保障するためだからではないか」との御指摘は当たらないと考えている。

(十三)から(十五)までについて

 お尋ねについては、内閣衛星情報センターにおいて、レーダ一号機について、専門家の協力を得て、運用障害が発生した平成十九年(二千七年)三月以降、衛星のデータを基に原因究明等を行い、運用障害が発生した原因は厳しい宇宙環境下における運用による電源系の経年劣化であると考えられる旨の調査結果を同年八月に取りまとめた。また、レーダ二号機についても、専門家の協力を得て、運用障害が発生した平成二十二年(二千十年)八月以降、衛星のデータを基に原因究明等を行い、同様の調査結果を同年十二月に取りまとめた。内閣衛星情報センターとしては、これらの調査結果を基に、レーダ一号機及びレーダ二号機の運用障害は故意により発生したものではなく、契約上の責任はないと判断したものである。
 情報収集衛星については、光学衛星を含め、電源系の経年劣化も勘案しつつ、打ち上げ後五年の時点で一定以上の確率で正常に機能しているよう設計しているものであり、厳しい宇宙環境下では、五年以内であっても正常に機能しなくなることもあり得ると考えている。

(十六)について

 情報収集衛星については、今後とも、外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主な目的として、有効に活用していくこととしている。
 また、情報収集衛星により撮像した画像については、これを詳細に分析することにより、情報収集衛星の性能及び運用状況が明らかになり、今後の安全保障上の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあることから、その公開を行っていないところである。

(十七)について

 お尋ねの「だいち」後継機(ALOS−2、ALOS−3)については、これに搭載する予定である地球観測装置について、現在、技術開発中である。また、当該地球観測装置を用いて撮像した画像については、「だいち」と同様に公開し、又は提供し、広く関係機関の利用に供することとしている。

(十八)について

 お尋ねの「こだま」については、平成十四年(二千二年)九月に打ち上げられたものであるが、現在、その設計寿命である七年より一年十か月を超えて運用中である。「こだま」の後継機については、現在その整備計画を検討中である。また、現在、データ伝送に「こだま」を利用しているのは、独立行政法人宇宙航空研究開発機構が所有する国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」のみである。

(十九)について

 国内に三つの受信管制局を設置している理由は、情報収集衛星が日本上空を通過する広い範囲で、情報収集衛星からのデータ受信及び情報収集衛星の管制を確実に行う必要があるためである。
 また、お尋ねの各年度における施設別の支出額については、平成十八年度(二千六年度)は、中央センターが六億九千三十九万七千三百九十五円、副センターが二億四千百九十七万四千四百三十一円、北受信管制局が三億八千七百四十八万三千六百円、南受信管制局が一億五千三百一万三千三百五十円であり、この他、これらの施設について一括して契約を行ったため各施設に区分できない支出が三百五十一万千六百二十円ある。平成十九年度(二千七年度)は、中央センターが三億六千百八十八万五千百二十五円、副センターが二億七千七百八十二万六百五十四円、北受信管制局が三億八千六百四十六万八千二百五十円、南受信管制局が二億九千六百七十五万七百九十円であり、この他、これらの施設について一括して契約を行ったため各施設に区分できない支出が百五万六千円である。平成二十年度(二千八年度)は、中央センターが六億二千八百七万千百五十円、副センターが二億七千九百十八万六百八十九円、北受信管制局が四億七千百五十二万二千二百四十円、南受信管制局が一億六千八百三十六万九千百八十円であり、この他、これら施設について一括して契約を行ったため各施設に区分できない支出が千百六十二万千五百五十八円である。平成二十一年度(二千九年度)は、中央センターが七億二千七百六十四万二千八百五十円、副センターが二億八千百九十三万三千五百二十九円、北受信管制局が三億二千百四十二万八千百円、南受信管制局が二億千四百五十一万六千六百八十円である。平成二十二年度(二千十年度)は、中央センターが六億九千六百三十万七千二百五十円、副センターが二億七千九百二十二万六千八百八十七円、北受信管制局が三億千九百八十五万七千三百円、南受信管制局が一億千百万四千五百三十円である。
 なお、平成十七年度(二千五年度)以前については、関連資料の保存期間が経過しているため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

(二十)について

 お尋ねの内閣衛星情報センター設置以来の省庁別の出向者数については、調査に膨大な作業を要することから、お答えすることは困難である。内閣衛星情報センターの定員は平成十三年度(二千一年度)が百六十四名、平成十四年度(二千二年度)が百九十一名、平成十五年度(二千三年度)が二百四名、平成十六年度(二千四年度)が二百六名、平成十七年度(二千五年度)が二百六名、平成十八年度(二千六年度)が二百八名、平成十九年度(二千七年度)が二百九名、平成二十年度(二千八年度)が二百八名、平成二十一年度(二千九年度)が二百十名、平成二十二年度(二千十年度)が二百十五名及び平成二十三年度(二千十一年度)が二百十九名である。

(二十一)及び(二十二)について

 お尋ねについては、内閣衛星情報センターにおいては、民間企業や独立行政法人等の出身者については、全て公募等による採用を行っている。民間企業や独立行政法人等の内訳等を明らかにした場合、当該民間企業や独立行政法人等に対する不正な働きかけが行われること等により、国の重要な情報等が漏洩するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。また、これまで、民間企業や独立行政法人等の内訳等を明らかにしたことはない。

(二十三)について

 内閣衛星情報センター所長の人事については、職歴のほか、所長に求められる能力や適性等を公正かつ厳格に判断し、適材適所の観点から行っているものである。内閣衛星情報センターの出向者の人事についても、適材適所の観点から行っているものである。

(二十四)について

 国会議員に対して議員会館に説明に赴く際に名刺を持参している内閣衛星情報センター職員もおり、「答弁は誤りではないか」という御指摘は当たらないと考えている。

(二十五)について

 お尋ねについては、個々の状況により異なるものであることから、一概にお答えすることは困難である。

(二十六)について

 お尋ねについては、H−UAロケットの材料費及び燃料費の高騰が主な理由である。

(二十七)について

 予算上、「製造費と打ち上げ費」を一括して計上しているのは、H−UA七号機(平成十七年(二千五年)打ち上げ)、H−UA九号機(平成十八年(二千六年)打ち上げ)及びH−UA十三号機(平成十九年(二千七年)打ち上げ)からH−UA十八号機(平成十九年(二千七年)打ち上げ)までのロケットである。これは、これらのロケットの打ち上げ者との間では、ロケットの製造及び打ち上げについて一括して契約を締結していることから、この契約形態に合わせて予算を計上したものである。

(二十八)について

 H−UA七号機及びH−UA九号機を除くH−UA一号機からH−UA十二号機までの各ロケットについて、@開発に係る予算額、A打ち上げに係る予算額、B打ち上げ日、C打ち上げ依頼者、D打ち上げ者及びE搭載した衛星等の名称をお示しすると次のとおりである。
 H−UA一号機 @八十三億三千三百万円 A十二億六千五百万円 B平成十三年(二千一年)八月二十九日 C及びD宇宙開発事業団(当時)が自ら打ち上げ EH−UAロケット性能確認用ペイロード二型「VEP−2」
 H−UA二号機 @九十三億六千八百万円 A十二億六千九百万円 B平成十四年(二千二年)二月四日 C及びD同事業団が自ら打ち上げ E民生部品・コンポーネント実証衛星「つばさ」(MDS−1)
 H−UA三号機 @八十九億八千七百万円 A十二億千百万円 B同年九月十日 C及びD同事業団が自ら打ち上げ Eデータ中継技術衛星「こだま」(DRTS)及び次世代型無人宇宙実験システム(USERS)
 H−UA四号機 @七十九億七千二百万円 A十三億九千六百万円 B同年十二月十四日 C及びD同事業団が自ら打ち上げ E環境観測技術衛星「みどりU」(ADEOS−U)
 H−UA五号機 @八十五億五千二百万円 A十九億二千七百万円 B平成十五年(二千三年)三月二十八日 C内閣衛星情報センター D同事業団 E情報収集衛星光学一号機及びレーダ一号機
 H−UA六号機 @八十五億四千九百万円 A十九億二千六百万円 B同年十一月二十九日 C内閣衛星情報センター D独立行政法人宇宙航空研究開発機構 E軌道投入に失敗した情報収集衛星光学機及びレーダ機
 H−UA八号機 @八十七億八千七百万円 A十二億六千九百万円 B平成十八年(二千六年)一月二十四日 C及びD同機構が自ら打ち上げ E陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
 H−UA十号機 @七十六億五千三百万円 A十九億千二百万円 B同年九月十一日 C内閣衛星情報センター D同機構 E情報収集衛星光学二号機
 H−UA十一号機 @百四億三千六百万円 A十四億三千二百万円 B同年十二月十八日 C及びD同機構が自ら打ち上げ E技術試験衛星[型「きく八号」(ETS−[)
 H−UA十二号機 @九十一億五千百万円 A十九億三百万円 B平成十九年(二千七年)二月二十四日 C内閣衛星情報センター D同機構 E情報収集衛星レーダ二号機及び光学三号機実証衛星
 H−UA七号機及びH−UA九号機並びにH−UA十三号機からH−UA十八号機までの各ロケットについては、予算上、「製造費と打ち上げ費」を一括して計上しているため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、@一括して計上している予算額、A打ち上げ日、B打ち上げ依頼者、C打ち上げ者及びD搭載した衛星等の名称をお示しすると次のとおりである。
 H−UA七号機 @九十三億六千万円 A平成十七年(二千五年)二月二十六日 B国土交通省及び気象庁 C株式会社ロケットシステム D運輸多目的衛星新一号「ひまわり六号」(MTSAT−1R)
 H−UA九号機 @百一億二千二百万円 A平成十八年(二千六年)二月十八日 B国土交通省及び気象庁 C同社 D運輸多目的衛星新二号「ひまわり七号」(MTSAT−2)
 H−UA十三号機 @百十五億四千二百万円 A平成十九年(二千七年)九月十四日 B独立行政法人宇宙航空研究開発機構 C三菱重工業株式会社 D月周回衛星「かぐや」(SELENE)
 H−UA十四号機 @百十四億二千八百万円 A平成二十年(二千八年)二月二十三日 B同機構 C同社 D超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)
 H−UA十五号機 @九十億二千三百万円 A平成二十一年(二千九年)一月二十三日 B同機構 C同社 D温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)
 H−UA十六号機 @九十四億九千百万円 A同年十一月二十八日 B内閣衛星情報センター C同社 D情報収集衛星光学三号機
 H−UA十七号機 @百三億三千百万円 A平成二十二年(二千十年)五月二十一日 B同機構 C同社 D金星探査機「あかつき」(PLANET−C)
 H−UA十八号機 @九十八億七千二百万円 A同年九月十一日 B同機構 C同社 D準天頂衛星初号機「みちびき」

(二十九)について

 H−UAロケットについては、平成十四年(二千二年)六月十九日に総合科学技術会議において、また、同年六月二十六日に文部科学省宇宙開発委員会において、H−UAロケットを我が国の基幹ロケットと位置付けるとともに、民間の効率的かつ迅速な経営手法によりコスト低減・信頼性向上を進めるため、その技術を民間に移転すべきである旨の意見がとりまとめられた。当該意見を踏まえ、同年十一月、宇宙開発事業団(当時)が公募を行い、技術移転先として三菱重工業株式会社を選定し、平成十五年(二千三年)二月、同事業団と同社との間で、H−UA標準型を用いた打上げサービス事業の実施に係る基本協定が締結された。同年九月、同事業団等の統合により設立された独立行政法人宇宙航空研究開発機構と同社との間で技術移転契約が締結され、同契約に基づき、段階的に技術移転が実施され、平成十九年(二千七年)三月に完了したものである。また、当該技術移転に際し、同社より国及び同機構に対する金銭の支払は行われていないが、同契約上、同社が国及び同機構以外の者から打ち上げを受託した場合は、同機構に対し、同社から金銭が支払われることとなっている。

(三十)について

 お尋ねについては、国又は独立行政法人宇宙航空研究開発機構は、三菱重工業株式会社から、H−UA一号機からH−UA十八号機までのロケットの製造及び打ち上げに必要な経費について費用負担を求められた。当該必要な経費については、(二十八)についてで述べたとおり予算計上している。



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