答弁本文情報
平成二十五年七月二日受領答弁第一一五号
内閣衆質一八三第一一五号
平成二十五年七月二日
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員河野正美君提出我が国の国土を保全するための土地取得の規制強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員河野正美君提出我が国の国土を保全するための土地取得の規制強化に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「外国人の土地所有を規制する法令」としては、外国人土地法(大正十四年法律第四十二号)が存在し、同法第一条が相互主義の観点から、同法第四条が「国防上必要ナル地区」について、それぞれ政令により外国人及び外国法人の土地取得等を制限することができる旨を定めているが、現在、同法に基づく政令は定められていない。
外国人土地法に基づく政令により御指摘の観点から外国人の土地取得等を規制することについては、同法第一条が相互主義を前提とした規定であること、同法第四条の「国防上必要ナル地区」が大日本帝国憲法下における陸・海軍の軍事活動を前提とした規定であること、さらに、同法が外国人及び外国法人の土地に関する権利の制限の態様、制限に違反した場合の措置等について政令に包括的、白紙的に委任していることといった問題があると考えている。
外国人及び外国法人の土地取得の実態について網羅的に調査を行い、その詳細を把握することは必ずしも容易ではないが、例えば、森林については、農林水産省において、外国人及び外国法人の森林取得に関する調査を平成二十二年以降毎年行っているところであり、本年四月に公表した当該調査の結果によれば、平成二十四年中に外国に所在する外国法人又は外国に住所を有する外国人と思われる者により森林が取得された事例の件数及び面積については、それぞれ、八件及び合計約十六ヘクタールとなっており、また、自衛隊施設に隣接する土地については、防衛省において、所管の行政財産の管理業務の一環の中でその現況の把握に努めてきているところである。
御指摘の「土地の使用や取得に関する現在の規制」としては、土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、一定面積以上の土地取引の規制に関する措置を講じている国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)に基づく規制や、水源の涵養を始めとする森林の有する公益的機能の維持を図るため、保安林制度や民有林における開発行為に対する許可制度等を設けている森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)に基づく規制などがあり、これらの規制はそれぞれ一定の機能を果たしていると思われることから、現時点で直ちに「土地の使用や取得に関する・・・規制」を「強化」する特段の必要性があるとは考えていないが、御指摘の「水源地や水源を涵養する森林、国境の島嶼、防衛施設周辺の土地の取引」の規制の在り方については、水資源、国土の保全及び安全保障上の重要性に鑑み、関係府省庁の連携を図りつつ、制限の必要性や個人の財産権の保障、国際約束との整合性等の諸事情をも総合考慮した上で、検討してまいりたい。