答弁本文情報
平成二十六年六月二十七日受領答弁第二五〇号
内閣衆質一八六第二五〇号
平成二十六年六月二十七日
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員長妻昭君提出全要素生産性と格差の関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出全要素生産性と格差の関係に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの全要素生産性については、一般には、資本や労働といった生産要素の投入量だけでは計測することのできない全ての要因による生産への寄与分のことを指すと認識している。お尋ねの「具体的な構成要素」が「資本や労働といった生産要素の投入量だけでは計測のできない全ての要因」の具体例を指すとすれば、例えば、革新的な技術の導入や、産業間の資源配分の変化等があると承知している。
全要素生産性上昇率は、算出方法等により値が異なることから、一概に申し上げることは困難であるが、経済協力開発機構(以下「OECD」という。)のデータによれば、平成十三年から平成十九年までの年平均では、日本はOECD加盟二十か国中第八位、平成十九年から平成二十三年までの年平均では、OECD加盟十九か国中第四位の上昇率となっている。
全要素生産性の向上については、例えば、人的資源の質の向上、資本ストックの質の向上、経済活動に関する社会的仕組み全般の改革等が重要な要因と認識している。政府としては、人材育成や職業訓練の拡充、先端設備への投資促進並びに事業再編の促進、コーポレートガバナンスの強化及びイノベーション促進のための取組の強化等に取り組んでいる。
我が国の経済成長のためには、民間投資の拡大、人材の活用・育成、イノベーションの促進等により、潜在成長率を高めていくことが必要である。また、急速な少子高齢化の進展により、我が国の生産年齢人口が減少する中、潜在成長率を高めるためには、就業率の上昇も重要である。このため、希望する誰もが働くことができ、持てる力を最大限に発揮して生きることができる環境の整備は重要な課題であり、格差対策や社会保障政策等の実施により、格差が固定せず、誰にも何度でもチャンスがある社会を築くことで、「頑張る人は報われる」という社会の信頼の基盤を確かなものとするとともに、意欲ある全ての人々が社会参加や再チャレンジできる環境を整備していくことも重要である。
他方、格差対策や社会保障政策が、人的資源の質の向上等、全要素生産性の上昇に寄与すると考える要因に対してどのような効果を有するか一概には言えない。