答弁本文情報
平成二十七年一月九日受領答弁第八号
内閣衆質一八八第八号
平成二十七年一月九日
衆議院議長 町村信孝 殿
衆議院議員井坂信彦君提出内閣総理大臣が行う靖国神社参拝に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出内閣総理大臣が行う靖国神社参拝に関する質問に対する答弁書
一の(一)及び(二)について
内閣総理大臣その他の国務大臣の靖国神社参拝に係る公私の区別の基準については、昭和五十三年十月十七日の政府統一見解のとおりである。
お尋ねの「内閣総理大臣が「公人」としての立場で行う靖国神社参拝については、政府として立ち入るべきと読み取れる」の趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、内閣総理大臣が公的な資格で行う靖国神社への参拝を内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝としている。
お尋ねの「「公人」としての参拝」の意味するところが必ずしも明らかではないが、昭和六十年八月十五日の中曽根内閣総理大臣(当時)による靖国神社参拝は公式参拝であり、内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝の定義については、一の(三)についてで述べたとおりである。なお、当該中曽根内閣総理大臣(当時)による靖国神社参拝においては、玉串料ではなく、供花料を公費から支出している。平成十三年八月十三日の小泉内閣総理大臣(当時)及び平成二十五年十二月二十六日の安倍内閣総理大臣による靖国神社参拝は、いずれも私人としての立場で行われたものと承知している。
内閣総理大臣が私人としての立場で行う靖国神社参拝については、政府として立ち入るべきものではないことから、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。
お尋ねの「「公人としての立場」で靖国神社参拝を行う場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝は、国民や遺族の多くが、靖国神社を我が国における戦没者追悼の中心的施設であるとし、靖国神社において国を代表する立場にある者が追悼を行うことを望んでいるという事情を踏まえて、専ら戦没者の追悼という宗教とは関係のない目的で行うものであり、かつ、その際、追悼を目的とする参拝であることを公にするとともに、神道儀式によることなく追悼行為としてふさわしい方式によって追悼の意を表することによって、宗教上の目的によるものでないことが外観上も明らかである場合には、憲法第二十条第三項の禁じる国の宗教的活動に当たることはないと考える。
また、内閣総理大臣の地位にある者についても、私人として憲法上信教の自由が保障されていることは言うまでもないから、私人の立場で靖国神社に参拝することは同項との関係で問題を生じることはないと考える。
お尋ねの「靖国神社を「公人」として参拝しないこと」及び「公人としての立場で行う靖国神社参拝」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十六年十一月七日付けの「日中関係の改善に向けた話合いについて」と題する発表に示された四項目にある「両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた」とは、日中間の政治的困難を克服することは容易ではないが、これに取り組む上での基本的方向性や姿勢については一致しているところもあるという意味であり、「若干の認識の一致」に含まれる内容について、個々具体的に中国側と議論したわけではない。
安倍内閣総理大臣が靖国神社を参拝するかどうかについては、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたい。
内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝に対する政府の見解については、三の(二)についてで述べたとおりである。また、内閣総理大臣が私人としての立場で行う靖国神社参拝については、政府として立ち入るべきものではないことから、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。