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平成二十八年二月二十六日受領
答弁第一三七号

  内閣衆質一九〇第一三七号
  平成二十八年二月二十六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員長妻昭君提出最低賃金が全国一律でない現状等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出最低賃金が全国一律でない現状等に関する質問に対する答弁書



 平成二十七年度においては、地域別最低賃金額が最も低い都道府県は鳥取県、高知県、宮崎県及び沖縄県であり、これらの県における最低賃金額は六百九十三円である。また、地域別最低賃金額が最も高い都道府県は東京都であり、同都における最低賃金額は九百七円である。地域別最低賃金は、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第九条第二項に規定されているように、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力(以下「地域における労働者の生計費等」という。)を考慮して定められなければならないものであるから、地域の実情を踏まえずに最低賃金を「全国一律にすることを検討する」ことは適切ではなく、また、「都市と地方の最低賃金格差を今以上に埋めること」が具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、右で述べたような最低賃金についての都市部と地方との間の額の差については、地域における労働者の生計費等が適切に考慮された結果であると考えている。また、同条第三項において、同条第二項の「労働者の生計費を考慮するに当たつては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」とされていることも踏まえ、地域別最低賃金の決定に当たっては地域における労働者の生計費が適切に考慮されていることから、「最低賃金を生活保障の観点から再定義する検討をはじめる」必要はないものと考えている。
 お尋ねの先進主要七箇国のうち最低賃金が全国一律でない国は、日本国、カナダ及びアメリカ合衆国であり、アメリカ合衆国については、連邦最低賃金のほか、州によって州別の最低賃金が設定されていると承知している。
 御指摘の「都市と地方の最低賃金差は二十の指標で経済力を勘案して決めている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現在、中央最低賃金審議会においては、地域別最低賃金額の改定の目安について四十七都道府県を四つのランクに分けて示しており、当該ランクの設定に当たっては、経済指標として、「一人当たりの県民所得」、「雇用者一人当たりの雇用者報酬」、「都道府県庁所在都市別二人以上世帯の一か月当たりの支出」、「都道府県庁所在都市別消費者物価地域差指数」、「都道府県庁所在都市別標準生計費」、「一人一時間当たり所定内給与額(五人以上)」、「常用労働者一人一時間当たり所定内給与額(五人以上)」、「常用労働者一人一時間当たり所定内給与額(中位数)(一〜二十九人(製造業九十九人))」、「常用労働者一人一時間当たりきまって支給する現金給与額(一〜四人)」、「パートタイム女性労働者の一人一時間当たり所定内給与額(五人以上)」、「常用労働者一人一時間当たりきまって支給する現金給与における第一・二十分位数(一〜四人)」、「一人一時間当たり所定内給与における第一・二十分位数(五〜九人、十〜二十九人)」、「常用労働者一人一時間当たり所定内給与における第一・二十分位数(一〜二十九人(製造業九十九人))」、「新規高校学卒者の初任給(十人以上)」、「中小・中堅企業春季賃上げ妥結額(千人未満)」、「一就業者当たり年間製造品出荷額(四人以上)」、「一有業者当たり年間出来高(建設業)」、「一就業者当たり年間販売額(卸売業、小売業)」、「一就業者当たり年間事業収入額(一般飲食店)」及び「一就業者当たり年間事業収入額(サービス業)」を用いている。このような経済指標の在り方については、労使の代表を含む「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会」における議論を踏まえ、中央最低賃金審議会において決定されるべきものであると考えている。
 お尋ねの「最低賃金改定後の詳細な影響の検証をすること」及び「最低賃金で働くことの多い非正規雇用の声をより反映させること」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、都道府県労働局長による地域別最低賃金の決定は、前年度の最低賃金の引上げの影響及び非正規労働者を含む労働者を代表する委員の意見を踏まえた最低賃金審議会の審議の結果に基づき適切に行われていると考えている。
 御指摘の目安制度の在り方については、同協議会において、おおむね五年ごとに見直しを行うことが適当であるとされており、前回の見直しの検討に係る報告書は平成二十三年二月十日に取りまとめられたところである。今回の見直しの検討は、同協議会において、平成二十六年に開始され、見直しの検討に係る報告書を本年度内に取りまとめることを当初目指していたが、本年一月二十日に行われた同協議会においては、当初目指していた本年度内の取りまとめに関わらずに慎重に検討を重ね、関係者の意見を踏まえて、取りまとめることとされたところである。


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